Web・SNSで法人の魅力を発信 事業所ごとに発信力を競う仕組みも-社会福祉法人 奉優会-後編

Web・SNSで法人の魅力を発信 事業所ごとに発信力を競う仕組みも-社会福祉法人 奉優会-後編

1999年に設立し、現在は2,000名弱の職員と共に100事業所以上で介護サービスを提供する、社会福祉法人 奉優会。その成長の原動力には、設立当初からの法人理念として「女性が働きやすい環境づくりに注力」してきたことと、近年では「ダイバーシティを意識した採用活動と、Web・SNSを活用した採用・広報戦略」に取り組んできたことが挙げられます。

インタビュー後半では、多様な人材の採用がもたらす効果や、今の時代を見据えた奉優会の採用・広報戦略について、引き続き人事部長の近藤麻美さんに伺いました。

<インタビュー前編はこちらから>

「女性管理職は4割超え 女性の活躍を支える人事部の環境づくりとは?」

ダイバーシティを重視した採用活動

――奉優会では女性の活躍を設立以来の理念として掲げられていますが、ダイバーシティ採用にも積極的に取り組まれています。その背景はどこにあるのでしょう?

外国人の活躍は、当法人で掲げている女性活躍の方針と共通する部分が多いです。介護分野に携わることを希望される外国の方も日本で働く女性の地位向上を目指したいという点、また、当法人でしっかりと介護の知識や技術を身につけていただき、ゆくゆくはそれぞれの母国で更なる活躍をしてほしいと願っています。そのため、EPAなどを活用した外国人材の積極採用を行っています。

障がい者雇用については、福祉に関わる社会福祉法人として、積極的に行うべきという考えに基づいています。障がい者雇用枠だけでの採用ではなく、新卒で障がいのある方を採用したり、特別支援学校からの現場実習を受け入れ、適正の見極めや実際の就労に繋がる実習などを行っています。

奉優会で取り組んでいる障がい者雇用の実績

高齢者の採用に関しては、高齢者の活躍の場を広げる「70歳就労社会」の実現に向けた積極採用を行い、今では70代以上の職員が150名に迫る勢いです。

経験豊かな高齢者のスキルを生かし、利用者様の年齢に近いからこそ気付ける面や、年の近い話し相手になっていただくなど、利用者様がより笑顔になってくださるためにとても重要な役割を担っていただいています。

――ダイバーシティ採用に基づいた、多様な職員の割合はどのくらいになるのでしょう。

障がい者雇用で40名前後、外国人雇用で100名前後、高齢者雇用が150名前後で、法人全体の職員の2割弱は、多様な人材が活躍しています。

特に外国人材の雇用では、外国人職員がSNSなどを通じて奉優会の良いところを現地の介護業界志望者に伝えてくれています。そういった情報に刺激を受け「日本で介護の技術を学びたい」という志を持った方々が、奉優会を目指して日本に来てくれるという好循環が起きています。

――多様な人材の活躍は、これからも一層広がりそうですね。特にEPAで来日した方は生活の準備など苦労することも多いかと思いますが、就業に向けどのようなサポートを行っているのでしょうか。

EPA等で来日した外国人職員については、来日前に家探しや家具の手配などのサポートを行うのはもちろん、来日したその日から普通に暮らし始められるような支援を行っています。自宅でe-ラーニングができるよう、Wi-Fiの設置なども生活支援の一つです。その他には家賃補助や、在留カードの更新手続きなどを法人本部でサポートしています。

――多様な人材に対する、人事面でのサポート体制はいかがでしょうか?

事業所内での面談の他、人事部門でも定期的な面談を行っており、多様な人材が持つ意欲や悩みといった部分を把握するようにしています。中でも障がい者採用の職員については、本人へのサポートはもちろん、その上長に対しても障がい者の育成に関するアドバイスなどを行い、お互いの精神的な負担が軽減されるようにしています。

また、障がい者を雇用している事業所の責任者には、職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格取得を推進しており、障がいのある職員がより働きやすい環境になるよう取り組んでいます。

――その他、多様な人材の活躍推進で気を付けている点などはありますか?

障がい者職員の雇用・育成を積極的に行っている事業所ほど、人件費など事業運営上の負担が大きくなってしまう課題がありました。その課題を解決するため、現在は障がい者職員の人件費を各事業所に計上せず、法人の全事業所で案分する形を取っています。そのように仕組みを変えることで、障がい者職員を積極的に受け入れる事業所が増えてきました。

――多様な人材の活躍に関して、今どのような取組を考えていますか?

外国人職員の中には、日本で介護福祉士の資格を取得した方もいます。そのような方が、奉優会の中で更にどのようなキャリアアップをしていけるかを示していきたいです。障がい者職員についても、勤続年数など何かしら一定の基準を設け、貢献にふさわしい待遇改善を行っていける仕組みを作りたいと考えています。

その他ですと、奉優会では定年が65歳となっていますが、70歳以上の職員が多数活躍している現状に合わせ、定年年齢の引き上げも対応していきたいです。

Web・SNSで事業所の雰囲気を絶え間なく発信

――奉優会では、人材採用のFacebook、Twitter、Instagramアカウントを開設し、SNSによる情報発信を積極的に行っているんですね。

現在の求人動向として、年齢層が高い方も含め、求人を探す際に紙媒体よりWeb媒体を利用する人が増えてきています。当法人への応募についてもインターネットからの応募が多くなっており、そのような中で人材採用に関する情報発信をインターネットへと移行していくのは、自然の流れかと思います。

また、求職者の方は「奉優会の介護現場は実際どんな感じなの?」ということを知りたがっています。職員の日常の様子や、働いている中で感じたことなどを求職者、地域の方、利用者様になり得る方に届けるには、WebやSNSでの情報発信が効果的だと判断し、積極的に行うようにしています。

各事業所のSNSでは、毎日のように活動報告が発信されている

――SNSは人事部で運営されているのでしょうか?

採用や人事に関する情報を発信するアカウントは人事部で運営しています。その他、各事業所のホームページで情報発信ができる仕組みを設けており、それぞれの事業所から積極的に情報発信をしてもらっています。

各事業所から積極的に情報発信をしてもらえるよう、ホームページの更新回数やアクセス数を集計したランキングを作成し、運用実績を事業所の評価に加えるようにしています。

――運用実績の上位事業所にはどのようなプラスがあるのでしょう?

事業所の責任者は、人事考課の項目にホームページの運用実績が含まれています。一般職員の場合、所属している事業所がランキング上位であれば昇給の評価項目でプラスになるなど、情報発信を積極的に行った分、給与面にも反映されるようにしています。

――それは各事業所の現場でも、情報発信が盛り上がりそうですね。

このような仕組みを取り入れたことで、各事業所が発信する内容も、どんどん工夫が重ねられて盛り上がるようになりましたね。そのことで、奉優会の魅力をより多くの方に伝えることができるようになったと思います。

――Webの活用により、採用面で大きく変わった点や、求職者からの反応はどうでしょう?

Webベースに移行して情報の発信量が圧倒的に多くなったことにより、求職者の方に事業所の説明をする際も、ホームページやSNSの画面を見ながら説明することで、口頭だけでは伝えられない事業所の雰囲気などを実感してもらえます。また、志望動機として「ホームページやSNSを見て事業所の雰囲気が良いと感じたから」ことを挙げてくれる求職者も増え、法人全体のイメージアップにも寄与しています。

――採用面以外でのWeb活用事例はありますか?

高齢者福祉センターなどを運営する公共サービス事業部では、情報発信の対象者が元気高齢者になり、書道や華道、将棋などイベントなどの案内をWebを通じて積極的に行っています。元気高齢者の施設利用促進にも、今の時代はWebが一役買ってくれていますね。

――人事部として、今後Webの活用でより力を入れて行きたいことはありますか?

人事部が取り組んでいる目標の一つとして、職員の離職を少しでも減らしたく、今は離職率ひとけた台を目指しています。そのために働きやすさ、環境の改善などを仕組み・制度化することはもちろん、そういった情報を職員に向け適切に発信、周知できるようWebを活用していきたいですね。

※本インタビューは2020年1月23日に取材を行いました

取材メモ

多様性を意識した採用活動を始め、Web戦略については発信力の強化まで見据えた戦略の基に実行されるなど、歴史ある社会福祉法人でありながら、運営の在り方は非常に先進的であることが印象的でした。より良いケアを利用者様に提供するため、事業部をバックアップする人事部の重要性を感じられるインタビューとなりました。

今回のとなりの介護事業所は?

近藤麻美(こんどうまみ)

社会福祉法人奉優会 管理本部 人事部 部長。2009年6月 奉優会に入職。人事、労務部門を経て現在は人事部長と労務の責任者を兼務し、採用、研修、労務等全般の管理に携わる。犬と猫を1匹ずつ飼っており、仕事を離れた時はペットと触れ合う時間が癒しとなっているそう。

特別養護老人ホーム 目黒中央の家

東京都世田谷区を中心に、100拠点以上を展開する社会福祉法人。2019年にオープンした「特別養護老人ホーム 目黒中央の家」では事業内保育所や、職員同士の打ち合わせ、地域住民の集まりにも活用できるコミュニティスペースが設けられており、地域社会と融和した介護施設を目指している。

サービス種別:特別養護老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、デイサービス、認知症対応型デイサービス、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、訪問介護、居宅介護支援

住所:東京都世田谷区駒沢1-4-15 真井ビル5階

運営:社会福祉法人 奉優会

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監修者 カイゴジョブ編集部

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