応募者増のコツは求職者目線の情報発信。全社員で連携するワンチーム採用でミスマッチを防ぐ

応募者増のコツは求職者目線の情報発信。全社員で連携するワンチーム採用でミスマッチを防ぐ

本社がある墨田区をはじめ、江戸川区・江東区・葛飾区で地域に密着した介護・看護サービスを展開するラックコーポレーション。訪問介護を中心に「在宅」事業を強みとしながら、小規模多機能型居宅介護やグループホームなどの運営も手がけています。

そうした現場を支える人材への対応を全社の重点課題として位置づけ、採用に関しても様々な取り組みを実施してきた同社。応募者の増加、ミスマッチの減少など採用力アップへと導いた手法について、採用企画に携わるヘルスケア事業部 部長・前田輝和さんにお伺いしました。

求職者の層に合わせてWeb求人広告の見せ方を変化

――介護職の採用について、御社ではどのように展開されていますか?

新卒・中途ともに介護職の採用を積極的に行っていまして、特に中途採用では、介護支援専門員(ケアマネジャー)をはじめ、訪問介護事業所スタッフ(サービス提供責任者、ホームヘルパー)、施設スタッフ(小規模多機能型居宅介護/グループホーム)など、多岐に渡る職種で常時募集しています。

弊社の採用活動においては、欠員が出たらその都度補充していくというスタイルではなく、経営方針としてあらかじめ「採用の5カ年計画」を策定しています。その計画に基づき、今年度の新卒・中途の採用方針や目標人数を設定。Web求人広告や自社のホームページを活用しながらリクルーティングを展開しています。

――これまで採用活動をされていて、御社として「課題」に感じていたことはありますか?

そうですね。採用したい目標人数に対して応募者数が少ないということが、以前から抱えていた一番の課題でした。このことは介護業界全体が抱える課題だとは思いますが、それ以上に求職者に対して、「自社の魅力」が伝えきれていないのではないか? ということも大きな要因として感じていたんですね。

そこでまず取り組んだのが、求職者の層に合わせてWeb求人広告の見せ方を変える、というものでした。特に中途採用では、同業他社から転職してくる経験者と、異業種からの未経験者がいて、それぞれ“会社に求めているもの”が微妙に異なっています。その点を踏まえ、「経験者」「未経験者」のそれぞれに響く形で、求人票の見せ方や表現を変えるようにしたんです。

――具体的には、どのように見せ方を変えたのでしょうか?

これは日々の面接でヒアリングする中でわかってきたことなのですが、経験者の場合は、昇進や昇給を含めて「入社後のステップアップの仕組みについて知りたい」という方が数多くいらっしゃったんです。弊社としても職員の成長支援やキャリアアップのサポートには力を入れているので、求人票にもそのことを明確に打ち出そうと考えました。具体的には、職員のキャリアパスの実例を紹介し、応募者が入社後の成長イメージや将来像が描けるように見せ方を工夫しました。

一方、未経験者が気になるのは、「初心者でも介護の仕事が務まるのだろうか?」「入社後ちゃんと教えてくれるのだろうか?」といった、会社の教育体制についてです。そこで求人票にはOJTの担当を付けてしっかりと技術や知識を教えていくことや、入社前の「体験や見学もOK」であることを強調するようにしました。

全社員で採用していく! その意識が人材獲得につながる

――なるほど。実際に求職者の層に合わせて見せ方を変えたことで、どんな変化や手ごたえを感じましたか?

求人広告の見せ方を変えたことで応募者数が増えてきているという実感はありますね。また、面接の場でも「求人広告で御社の教育体制が整っていることを知って、ぜひ働きたいと思いました」などと言ってくれる方も増えました。それぞれの求職者に対して、弊社の取り組みや魅力が伝わり、それが応募の動機につながっているという手ごたえを感じています。

――それは素晴らしいですね。先ほどのお話の中で、入社前に「体験や見学」ができるとのことですが、特に未経験者にとってはありがたいシステムだと感じました。

弊社は未経験者を積極的に採用していることもあり、応募者の約8割を占めています。先ほどもお話した通り、未経験者は介護の仕事への不安を抱えている方が非常に多いので、実際にどのように仕事を進めているのか、入社を決める前に現場を見てもらうことが大切だと考え、実施することにしました。

ただ、「体験・見学」自体は経験・未経験問わず、面接した方全員におすすめしていまして。面接は基本的に1回で、その場で内定を出すケースが多いので、こちらの採用の意思をお伝えした上で、「事業所を見てみますか?」とお声かけをしています。すると、ほぼ全員の方が希望されて、時には複数の事業所を回ったり、ホームヘルパーと一緒にお客様のご自宅に同行したりと1日がかりになることもあります。

――実際に現場の雰囲気や仕事ぶりを見て、難しいと判断される方もいらっしゃるのでしょうか?

はい。ごく稀ではありますが、「現場を見させてもらって、私には荷が重いと感じました」などと断られるケースもありますね。入社に至らなくても、それは決してマイナスなことではなくて、結果的にミスマッチを防ぐことにもつながると考えています。

――応募者の方々が実際に職場見学にいらして、一緒にお客様のもとに訪問するとなると、現場のスタッフの協力がかなり必要になってきますが、そのあたりはいかがですか?

おっしゃる通り、現場の協力が不可欠だと思います。ただ、弊社の場合は採用を全社の重点課題と位置付けて取り組んでいるので、「全社員で一丸となって採用していこう」という意識が根付いているんですね。それは以前から経営方針として掲げられてきたということも大きいですが、職員自身も介護という仕事ではいかに「人」や「チームワーク」が大切であるかをよくわかっているからだと思うんです。一緒に働く良き仲間を迎え入れるためにも、職場見学の協力をはじめ、事業所の心地よい環境づくりなどにも力を入れてくれています。

見えにくい介護職の勤務時間を明確に提示

――ほかにも、応募者数を増やすために取り組んでいることがありましたら、聞かせてください。

求人広告の見せ方で言うと、働くエリアや勤務時間を具体的に提示したことも効果的だったと感じています。特に介護職は実際の勤務時間が見えにくいところがあり、不安に思っている応募者も多いと聞きます。そのため、求人票に勤務時間のシフトなど明確に記載し、不安を払拭してもらうように心がけています。

また、弊社が展開する訪問介護では、一つの事業所から訪問するエリアは自転車で15分以内と設定しています。求人票には各事業所が訪問するエリア・町名までも記載していますので、より業務のイメージがわくのではと思います。

――勤務時間のシフトを明確に打ち出されているとのことですが、御社ではフルタイムだけではなく、パートタイムの採用も行っているんですよね。

特に子育てや介護をしている方の中には、週5日フルタイムで働くのが難しいという方も多くいらっしゃいます。人生のその時々で大事にすべき優先順位は変わるものだと思うので、面接では本人が「今、何に力を入れたいのか?」をよくお聞きして働き方のスタイルを選んでもらう形をとっています。

というのも、本人は週5日フルタイムで働きたいという意思があっても現状が追いつかず、疲弊してしまう可能性もあるからです。面接ではその方が大事にしている優先順位、希望する働き方をしっかりとヒアリングし、それに合った働き方をこちら側から提案することもあります。最初は週3のパートタイムから始まったとしても、状況が変わればフルタイムで働けるよう柔軟に対応しています。

事業所の「色」が出るブログで直接応募も増加

――御社のHPを拝見すると、各事業所のブログが充実していて現場の雰囲気が伝わってきますね。採用にも効果を発揮しているのかなと思いますが、いかがでしょうか?

各事業所のブログに関しては、採用活動につなげる目的で5年ほど前に開設しまして。おかげさまで、最近はブログを見た方が弊社のHPにアクセスして、直接応募いただくケースも増えました。HPの閲覧数も毎月数千アクセスとかなり増えたので、その効果は大きいと感じます。

ブログには、それぞれの事業所で開催したイベントの様子や職員自身の休日での模様など、自由に楽しみながら書いてもらっています。そうすることで事業所の「色」が出て、職場の雰囲気も伝わりやすくなるのかなと思います。

――ブログの更新頻度は決めているんですか?

最低、月1回の更新はお願いしています。もちろんブログで発信するということはその分、業務が増えますので、スタート時は現場にそのことを理解してもらい、定期的な更新をしてもらうのには少々苦心しました。

職員が自ら「発信したい!」と思ってもらえるためにも、ブログは職場にとどまらず、プライベートも織り交ぜながら自由に書いていいこと。ブログを通じて応募が来た場合には、必ずその情報を各事業所に報告すること。ブログの更新回数が多い事業所は表彰して評価に組み込むこともやる気アップにつながっていると思います。

応募者は1.5倍に。ただ、採用に至るには様々な工夫が

――こうした取り組みによって応募者数にも変化があったかと思いますが、実際どのぐらい増えましたか?

応募者数は、ここ数年で1.5倍に増えました。ただ、エントリーが増えたからと言って、それが面接につながるかというとまた別の話になります。応募者はほかの事業所も併願しているため、いかに早く面接をセッティングするかが肝心なんですね。応募から面接までの間が数日間空いてしまうと、他社で内定が決まってしまうケースもありますので、複数名の体制で応募状況を把握し、レスポンスを早めることを心がけています。

――同業他社をいくつも併願しているとなると、すぐに合否の結果を出さないと心変わりしてしまう可能性もありますね。

そうなんです。そのためにも面接には事業所の担当課長、採用担当など決定権のある者が2~3名出席し、内定の場合はその場でお伝えするようにしています。やはり面接で盛り上がった時のある種、“ライブ感”って大事だと思うんですよね。

また、内定者にはなぜ採用に至ったのか? どんなところが良かったのか? を本人にフィードバックするようにしています。採用の決め手をお伝えすることで、「この会社で働きたい!」とますます入社意欲を持ってもらえると思いますので。

――応募者数を増やすだけにとどまらず、面接につなげる工夫、面接後のフォローも十分されていて、とても参考になりました。何より全社で採用するというワンチームの意識が効果を発揮しているのではないかと感じました。

うれしいです。とても採用担当の力だけでは、介護職の採用は叶えられないですから、職員一人一人が「採用担当」になるぐらいの意識で協力し合うことが大切だと考えています。これからもより多くの方に弊社の魅力が伝わり、興味を持ってもらえるよう全社員一丸となって取り組んでいきたいと思います。

【プロフィール】
株式会社ラックコーポレーション
取締役 兼 ヘルスケア事業部長 前田輝和(まえだ・てるかず)さん

出版社勤務を経て、2003年にラックコーポレーションに入社。2005年より、営業所の所長を兼務しながら、採用担当として面接・選考などに携わるように。現在はヘルスケア事業部にて、全社の採用に関わる企画・運営を手がける。

ラックコーポレーション公式ブログ

取材・文/伯耆原良子

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