若手職員による「魅力発信委員会」を発足! SNS強化やYouTube配信で求職者への認知度アップ

若手職員による「魅力発信委員会」を発足! SNS強化やYouTube配信で求職者への認知度アップ

東京と埼玉2市に特別養護老人ホーム、デイサービス、グループホーム、小規模多機能など50以上の事業所を展開する、社会福祉法人すこやか福祉会。医療財団法人とグループを形成し、地域に根差した医療福祉ホールディングスとして、様々な事業を行っています。

採用においては若手職員のアイデアを活かし、先駆的な取り組みを次々と実施。応募者数や採用数の増加など採用活動への効果を発揮しています。そうした背景と具体的な取り組み内容について、本部事務局次長・中村寛史さんに伺いました。

介護の仕事や法人の魅力を発掘し、広く発信

――まずはどのように採用活動を展開しているのか、教えていただけますか?

新卒採用に関しては、毎年「今年度の目標人数」を掲げ、グループである医療財団法人と連携しながら採用活動を行っています。一方、中途採用については欠員補充がメインで、非常勤のパートタイムを中心に募集をしています。

求人媒体は主にWeb広告や自社の採用ホームページを活用していまして、紙媒体では展開していません。以前、フリーペーパーなどの紙媒体でも募集をかけていたのですが、思うように応募者が集まらず、ここ数年はWebに絞っている状況です。

これは介護業界全体を通して言えることだと思いますが、応募者数が少ないことについては以前から課題に感じ、様々な対策を講じてきました。

――具体的にはどのような対策を?

どうしたら介護の仕事に関心を持ってもらえるのか? まずは若い世代にこの業界や仕事への認知を広げることが重要と考え、各事業所から若手職員を集めて「学生対策室」という組織を立ち上げました。ここでは主に新卒の学生に向けてどうPRしていくのか、メンバーで意見交換しながら新たな施策を打っていきました。

その後、学生対策室は「ケアワーカー魅力発信委員会」に名称を変更。介護の仕事や当法人の魅力を発掘し、新卒や中途を含めた応募者に向けて広く伝えていくプロジェクトとして再スタートしました。

この学生対策室や魅力発信委員会では若手メンバーから様々なアイデアが飛び出しまして、「SNSを使ってもっと自分たちのことを発信したらどうか?」「自社の採用ホームページを充実させてみてはどうか?」などの意見が出てきました。そこから実際にFacebookやブログでの発信をスタートさせたり、医療財団法人を含めたグループ合同の採用ホームページを開設したりとPR面を強化していったんです。

――若手の方たちならではの柔軟な発想を活かしながら形にされてきたんですね。SNSや採用ホームページではどのようなことを発信されていますか?

Facebookやブログでは、各事業所で開催される行事や利用者さまとの触れ合いの様子、また訪問介護職のメンバーが考案したアイデアレシピの紹介など、ちょっとした“読み物”として気軽に見ていただけるような発信の仕方をしています。

一方、採用ホームページはより内容を充実させるべく、採用情報をはじめ、入社後のキャリアプランや資格取得制度、福利厚生の概要、さらに働く仲間の声として新卒・中途の職員に登場してもらい、入社の動機ややりがいについて語ってもらっています。

Facebookやブログは採用につなげるために一つの「チャネル」と考えていまして、そこから興味を持っていただいた方に自社の採用ホームページにアクセスしていただく。逆に採用ホームページを見て興味を持った方にFacebookやブログにアクセスしてもらい、各事業所の取り組みや職場の雰囲気をつかんでいただく。そうした双方向のいい流れを生み出せたらと考えています。

実はもう一つ「チャネル」を増やそうと、今年1月からYouTubeチャンネルを開設したんです。

YouTube配信で若い世代に向けてアプローチ

――YouTubeでの発信も魅力発信委員会で生まれたアイデアでしょうか?

はい、そうです。動画のほうが若い世代を中心に、気軽に見てもらいやすいですし、事業所の雰囲気やそこで働く職員の姿が映像を通してよりダイレクトに伝わるということで、動画配信にチャレンジすることにしました。

採用に関連するコンテンツですと、グループの事業概要を説明する動画や新卒・中途職員の仕事内容ややりがいをインタビューした動画などを配信しています。ほかにも、シニア向けの体操や介護する人のための「介助技術」を教える講座など、採用以外の介護や健康に役立つコンテンツも配信していますね。なるべく週1回の配信を目指して撮影に取り組んでいます。

――毎週配信していくとなると、コンテンツの企画を考えたり、撮影したりするのもなかなか大変そうですね。

そうなんです。私ともう一人の採用担当や委員会のメンバーなどでテーマやアイデアを出し合って、なんとか続けている状況です。撮影は各事業所の職員にお願いしていますが、通常業務がある中で期日までに撮影してもらうのは正直、難しい部分もあります。ですので、事業所のマネージャーに進捗管理などをお願いするなど協力体制を敷くようにしています。

まだ始めて7カ月程度ですので、さらに認知を広げるためにもいかにコンテンツを充実させるかがカギになりますね。ただ、視聴数やチャンネル登録数を上げることは求めていなくて、あくまで自分たちの事業に関心を持ってもらい、介護職を目指す人を増やすこと、それによって採用につながることが一番の目的だと考えています。

――実際にYouTubeを始めたことで採用にプラスの影響はありましたか?

YouTubeが直接応募につながったというケースはまだありませんが、面接に来た方からは「YouTubeを見ました!」という声をよく耳にするようになりました。

応募先を選ぶ際や内定を複数もらって最終的に入社を決める際に、このYouTubeが一つの判断材料となれば、と考えていまして。応募者の皆さんの“背中を押すきっかけ”になれるように自社の魅力を伝えていけたらと思っています。

魅力を掘り下げているからこそ応募者に伝えられる

――SNSやYouTube発信などのほかに、魅力発信委員会ではどんな取り組みを行っていますか?

新卒向けの事業説明会を委員会が主体となって企画しています。説明会は通常、対面で行っていますが、今年はコロナの影響により、Zoomを使ったオンライン説明会に切り替えました。

採用担当者からの説明だけでなく、他の事業所と中継をつないで、現場の職員から仕事のやりがいや魅力について語ってもらう時間も設けるなど工夫したところ、説明会に参加してくれた学生全員が面接を希望してくれました。画面越しでもしっかりと伝わっているんだなと手ごたえを感じましたね。

――素晴らしいですね。こうして応募者の心を動かせるのは、職員の皆さんが普段からご自身の仕事のやりがいや魅力について掘り下げたり、言葉にしたりしているからなのかなと思いますが、いかがでしょうか?

ありがとうございます。実は職員の全体会議を2カ月に1回行っていまして、そこで各事業所の取り組みや介護の現場で良かった事例について共有し合う機会があるんです。当法人では「キラっと介護」と呼んでいます。互いに成功事例や介護の仕事の魅力について出し合うことで刺激になりますし、発表の機会を重ねることで個々の発信力も高まる効果があります。それが結果的に応募者に伝える際にも役立っているのかなと思いますね。

次回の全体会議の際に、「キラッと介護」について職員が話しているシーンを撮影して、YouTubeにアップしようと考えています。やはり職員が生き生きと元気に介護の魅力を語っている姿は、見ている人の心に伝わるんじゃないかなと思います。

――応募者の心をつかむ上で面接の場も大事になってくると思いますが、何か工夫をされていることはありますか?

まず、応募が来た時点ですぐに返答するのは鉄則ですね。特に中途の場合は複数の会社に併願している方が多いため、連絡が遅れるだけで他社に決まってしまうケースも多々あります。ですので、エントリーがあったらすぐに電話で折り返し、つながらない場合はショートメールを送って、連絡がついてから3日以内に面接をセッティングするようにしています。

応募者のご都合もあるのでなかなかその通りに行かない部分もあるのですが……。面接は中途の場合、基本的に1回で、その場で内定を出すようにしています。

採用確率を高め、ミスマッチを防ぐためにもこの1回の面接が肝になりますので、当法人についてしっかりと理解してもらうことも大切だと考えています。会社概要をはじめ、キャリアプランや福利厚生、働く人の声などを盛り込んだ求人用のパンフレットを面接時にお渡しして、より具体的な対話ができるように心がけています。

「介護の仕事って楽しそう!」と思ってもらうために

――こうした様々な取り組みによって、実際に応募者数や採用人数に変化はありましたか?

新卒に関しては、おかげさまで応募者数も採用人数も増えてきております。採用人数は毎年14名程度を目標としていまして、2017年は6名とだいぶ苦戦したのですが、魅力発信委員会によるPR強化により、2019年には目標人数に達することができました。少しずつ実践の効果が出てきていますね。

中途の場合は、応募者数はここ数年、横ばいでしたが、コロナの影響で職を失った人が介護業界に流れてきていることもあり、やや増加傾向にあります。ただ、応募者が増えたからといって、介護職に適した人材、意欲の高い人材が確保できるかというとそうとも限りません。この仕事への意欲と前向きな希望を持った人に来てもらうには、介護という仕事の社会的意義ややりがい、この先どうステップアップできるかについてしっかりと見せていく必要があると感じています。

これは採用に直結するようなアプローチではないのですが、子どもたちに介護の仕事に興味を持ってもらおうと、介護の仕事体験ができる「キッズけあ」というイベントを委員会で企画しています。このイベントは2年前から行っていまして、地域の方々から好評を得ています。

――イベントではどんな体験ができるんですか?

「キッズけあ」は、グループ内の病院で行われる「健康祭り」の一つのコーナーとして開催しておりまして。たとえば、子どもたちに車椅子を押してもらって出店でお買い物する体験をしてもらったり、福祉用具のリフトに乗ってもらったりと、ちょっとしたアトラクション気分で楽しんでもらっています。

子どもたちに「介護の仕事って楽しそう!」と明るいイメージを持ってもらうことが最大の目的です。また、これは二次的な効果なのですが、そばで見守っている親御さんにも介護の仕事に興味を持ってもらえたらいいなと淡い期待も込めています。

――なるほど。こうした楽しいイベントを企画すると、職員の方たちのモチベ―ションも上がりそうですね。

確かに介護の現場だけでなく、自分たちが企画したイベントで外部に飛び出していくことによって刺激になりますし、経験値も広がると思います。実は、委員会には任期がありまして、2年で新しいメンバーに入れ替わります。つい1、2年前に入社したばかりの若手職員たちが、今度は委員会のメンバーとして活躍してくれて、採用担当としては感慨深いものがありますね。就活時代の記憶もまだ新しいので、より応募者の気持ちに寄り添ったアプローチを考えてくれると期待しています。

今はコロナの影響もあり、残念ながら外部のイベントやリアルな場での事業説明会は、しばらく開催を見合わせています。面接に関しても、オンラインを希望する方にはZoomなどで行っている状況です。この時期を前向きに捉え、オンラインをフル活用しながら、今まで届かなかった層にもアプローチできればと考えています。

【プロフィール】
社会福祉法人すこやか福祉会
本部事務局次長 中村寛史(なかむら・ひろし)さん

2001年にすこやか福祉会の特別養護老人ホームに入職。現在は人事採用・広報担当をはじめ、ケアワーカー魅力発信委員会・広報委員会事務局長として活躍。若手職員とともにSNSやYouTubeなど新しいツールを採用活動に柔軟に取り入れ、応募者数や採用数の増加に貢献。

【Youtube】社会福祉法人すこやか福祉会チャンネル

取材・文/伯耆原良子

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