【ケアマネの転職体験】「給料アップはなくても満足」 兼務からケアマネ専従を目指して転職

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【ケアマネの転職体験】「給料アップはなくても満足」 兼務からケアマネ専従を目指して転職

介護業界で15年の経験を持つ現在38歳のDさん。34歳のときに福祉系NPOから社会福祉法人へ転職し、念願叶ってケアマネジャー専従の仕事を手にしました。転職時にはケアマネ資格のほか、大量の研修の受講歴が役立ったそう。転職における資格保有のメリットや、勉強のコツについても伺いました。

安定した経営体制を求めて、新卒から10年働いた職場を退職

――まず、Dさんの職歴を教えてください。

大学を卒業した2006年に福祉系NPOに入社しました。ヘルパーとして働き始め、4年目に介護福祉士の資格を取得。さらにその2年後にケアマネの資格を取得しています。

――入社5年目で早々にケアマネの資格を取得したのですね。

もともとケアマネになりたいと思っていたので、要件を満たした段階ですぐに受験しました。一発合格できたのですが、その後すぐにケアマネの仕事だけをできたわけではないんです。

会社がヘルパー講座を運営していたので、そこでの講師を担当することになり、同時に有料老人ホームの生活相談員をやりつつ、ケアマネの仕事は兼務で行なっていました。

――3つの職種を兼務ですか。

はい。その後、初任者研修・実務者研修事業の立ち上げと講師、ヘルパー事業所の管理者、福祉用具貸与の事業立ち上げなどを経験し、2017年に現在の職場である社会福祉法人に転職しました。

――かなり幅広い経験ですね。転職のきっかけは何ですか?

経営体制に対する不満です。代表に憧れて入社したのですが、跡取りとなる息子に極端な特別扱いをしているのを見て、少しずつ不満がたまっていったんです。

代表からは、「息子と一緒に会社を引っ張ってほしい」と言われていたのですが、それは難しそうだと感じました。

――10年以上働いた会社を辞めるのは、大きな決断だったのでは?

辞めると伝えてからパワハラを受けるようになったので、退職の決意はより固まりました。必要な書類にハンコをもらえなかったり、大勢の前で叱責されたり……。なかなか辞表を受け取ってもらえず、退職交渉には3、4か月を要しましたね。

――それは大変でしたね…。転職先を探す際は何を重視しましたか?

まずは何よりも安定した経営体制です。また、将来的にケアマネ専従で働きたかったので、そのキャリアが展望できる職場が希望でした。

――どのように候補を絞っていったのですか?

実は、転職するなら昔母親が働いていた社会福祉法人にしようとずっと思っていたんです。小さい頃に施設内で遊ばせてもらっていて、自分が福祉を目指すきっかけになった場所でもあるので、選考はその法人に絞って受けました。

――面接はいかがでした?

経歴の確認が中心だったので、特に難しいことはありませんでした。

ただ、面接官が一気に5人くらい出てきたので、そういう状況に慣れていない人は心の準備をしておいたほうがいいかもしれません。自分は講師の経験もあり、人前で話すことに慣れていたので緊張せずに済みました。

――面接でケアマネ専従を希望することは伝えました?

いえ、そもそも介護職の募集だったので、今すぐケアマネをやらせてほしいとは言いませんでした。「まずは求められる仕事をきちんとやった上で、もしできる機会があれば」という程度にしか伝えなかったと思います。

――結果はどうでしたか?

無事内定の通知をいただきました。面接から約2週間後ですね。在職中に面接を受けていたので、ブランクは10日ほどで済んでよかったです。

入社してしばらくは特養の介護職として働き、約2年後に偶然欠員が出たタイミングで、ケアマネ専従の部署に異動しました。今は当初の希望通り、ケアマネ専従で働いています。

休日もひっきりなしに連絡がくる状態から解放。念願のケアマネ専従に

――就職から現在まで、年収はどのように推移していったのでしょう?

前職の新卒入社時は年収300万円弱でスタートし、定期昇給と昇進によって退職時には年収380万円になっていました。ケアマネの仕事をしていた期間は、月5000円ほど資格手当がついていましたね。

転職後は、前職と同じ年収380万円からのスタートでした。定期昇給により少しずつ上がり、入社から4年経った今の年収は400万円です。資格手当はありませんが、今後も今までと同じペースで上がっていくと思うので安心しています。

――経験豊富なDさんですが、転職時の年収は据え置きだったのですね。

下がらないならいいと思いました。前職の会社では、転職者の経歴を踏まえた年収設定ではなかったので、転職したら年収は下がるものだと思い込んでいたんです。現職の会社は、これまでの経歴などを評価した上で年収を設定していると感じるので、ありがたいですね。

――労働時間は、転職前後で変化しましたか?

転職直前の勤務時間は、基本的に8時半〜5時半。転職後は、最初は特養の職員だったので早番や遅番、夜勤がありましたが、ケアマネ専従になってからは8時半〜5時半、もしくは9時〜6時で働いています。

――さほど変化がなかったということですね。

ええ。ただ、前職では休日も職場から電話がかかってきましたし、「LINE(ライン)」もバンバン飛んできました。業務用の携帯電話を貸与され、連絡先を利用者に教えるように言われていたので、職場だけでなく利用者からも休日に連絡がきていましたね。

――いつでも連絡がくる状態だと、ゆっくり休めなさそうですね…。

当時は当たり前と思っていましたが、いま思えば確かにそうですね。現在の職場ではそういうことがないので、気持ちの面でかなり楽になりました。

――良い職場に転職できた最大の要因はなんだと思いますか?

一番はケアマネの資格を持っていたことです。現職の社会福祉法人には、ケアマネの有資格者が少なかったんです。これからケアマネ資格を取りたいと考えている人もあまりいないとのことだったので、資格を持っているだけで一目置かれている感じはありました。

また、前職では研修事業に携わっていたので、講師になるための研修を受けた経験や、実務者研修や初任者研修の講師歴はきちんと評価してもらえたと思います。面接では「介護保険制度などに詳しくない職員も多いので、ぜひ指導してあげてください」と言われました。

――研修はどのようなものを?

たくさんあります。実務者研修教員養成講習会、認知症実践者研修、管理者研修、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修、施設実習指導者研修、喀痰吸引等研修(2号研修)、相談支援専門員、サービス管理責任者研修(全分野)などです。

――そんなにたくさんとは驚きました…!

はい。これだけの研修を受講できる環境を与えてくれた点に関しては、前職の代表にとても感謝しています。

ちなみにケアマネの仕事をする上では、福祉用具専門相談員の資格が役立ちました。

――福祉用具の選定や使用をサポートする資格ですね。

そうです。業者に依頼しなくても利用者に福祉用具の詳しい説明ができるようになるので、非常に便利です。

介護現場でも、例えば車椅子の種類別のメリットや注意点を覚えていれば安全に介護できますし、他の職員さんに「こういう使い方をすると危ないですよ」と教えることもできます。

福祉用具専門相談員は講習(50時間)を受講し、講習後の筆記試験に合格すれば取得できる資格なので、取っておいて損はないと思いますね。

ケアマネは独学でも取得できる。ポイントは「勉強時間の確保」と「問題集選び」

――仕事をしながら勉強するのは大変そうですが、どう乗り越えましたか?

家に帰った後だと、ついだらけてしまったりビールに手が伸びてしまったりするので、朝早くに勉強するようにしていました。ケアマネの試験前は、朝3時半に起きて2時間半ぐらい勉強してから出勤する生活を3〜4か月続けましたね。

――それはすごい…!諦めそうになる瞬間はありましたか?

それはなかったです。勉強すればするほど普段の仕事に対する理解を深められる内容だったので、面白かったです。ポジティブに捉えるようにしていました。

――勉強で工夫したことは?

独学だったので、準備したものはテキストと問題集ぐらいですが、短い時間で効率的に勉強できるように問題集選びは慎重に行いました。

特に意識したのは、「解説がスッと理解できる文章で書かれているか」「公式テキストの参照ページが記されているか」の2点です。

――Dさんの今後の目標は何でしょう。

ケアマネの上位資格である「主任ケアマネ」の取得です。あと3年専従で働けば受験資格を得られるので、まずはそれを目指してスキルアップしていきたいです。

――ケアマネを軸にキャリアを形成していきたい思いは変わらないのですね。

そうですね。利用者を第一に考えられる点が自分に合っていると思いますし、「何かあったら相談しよう」と頼ってくれることに、やはりやりがいに感じます。

利用者が亡くなるケースもあって落ち込むこともありますが、ご家族から感謝の言葉をいただいたときは「やってきてよかったな」と思います。

――最後に、転職を検討している方へメッセージをお願いします。

介護業界の仕事は職場によって給料に大きな差があるわけではないので、給料よりも働きやすさや自分のやりたい仕事ができるかどうかを重視して転職先を選ぶのが良いのではと思っています。後悔のないようにしっかり準備をして、理想の職場への転職を実現してください。

インタビューを終えて

念願叶ってケアマネ専従の仕事を手にしたDさん。早くから資格を取得したことが転職で有利に働き、欠員補充のタイミングで希望の働き方を実現しました。

印象的だったのは、「まずは求められる仕事をきちんとやらせていただきます」という面接での意気込み。謙虚な姿勢と着実に資格を取得していく向上心の両方を兼ね備えていたことが、成功の最大の要因だったのではないかと感じました。

取材/文:一本麻衣

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