【障害福祉からの転職体験】「転職は1度失敗しても終わりじゃない」 人間関係の良い職場でキャリアアップに成功

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【障害福祉からの転職体験】「転職は1度失敗しても終わりじゃない」 人間関係の良い職場でキャリアアップに成功

千葉県のデイサービスに勤務する34歳のSさんは、大学卒業後に障害者の就労支援を行うNPO法人に就職するも、人間関係がうまくいかず約1年で退職。他業界の仕事を経験した後に福祉業界に戻り、2015年に現在の職場に転職しました。Sさんは長年、職場の人間関係で悩みを抱えてきたそう。経験を積んだ今だからわかる、人間関係の良い職場の見抜き方とは?施設見学で見るべきポイントなども伺いました。

「正社員からパートになってほしい」と言われた

――まず、Sさんの職歴を最初から教えてください。

新卒で障害者の就労支援サービスを運営するNPO法人に就職しました。

――福祉業界にはもともと興味があったのですか?

はい。子どもの頃はおじいちゃんおばあちゃん子だったんです。高校時代には特別養護老人ホームでアルバイトをしていて、自分に合いそうだなと感じていました。

――就職先は高齢者介護ではなく障害福祉だったんですね。

リーマンショック直後だったので、内定をもらえるだけありがたいなと。イベントをきっかけにトントン拍子で選考が進んだので、そこで働くことにしました。でも、1年も経たないうちに退職してしまったんです。

――何があったのでしょう?

自分に至らない点が多かったですね……。確かに人と接するのは好きなんですが、実は過去に不登校を経験したことがあって、思うように人とコミュニケーションが取れない一面もあるんです。そのせいで、職場の人間関係がうまくいかなくなってしまいました。

――そうだったんですね……。

飲食業も運営する法人だったので、接客を任されることもあって。全くうまくいきませんでしたね。厳しく叱責されるうちに気持ちがくじけてしまい、この業界から離れることにしました。

――離れたあとはどんな仕事を?

物流倉庫での仕事や営業職など、3年ほど転々としました。仕事が合わないこともあれば、怒号が鳴り響くような職場に当たってしまうこともあって、辛い時期でした。人間関係でも苦労することが多かったです。

そんなとき、ずっと登録していた転職サイトを通じてスカウトが届いたんです。埼玉県で障害者の就労支援や放課後等デイサービスを運営する法人からでした。

――一度離れると決めた福祉業界からのスカウト、どう思いましたか?

もう福祉業界に戻るつもりはなかったのですが、それまでの3年間を振り返ってみると、失敗しながらも経験を積んできたので、今の自分はあの頃とは違うんじゃないかと思えたんです。それで、「もう一回トライしてみよう」と思い、2015年3月に転職しました。

――福祉業界でまた働くことを決意したんですね。

そうです。でも、この職場でもまた失敗してしまったんです。運転免許を取り立てで、しかも土地勘のない場所での勤務だったので、利用者さんの送迎で何度か迷惑をかけてしまって……。入社して数か月で「正社員からパートになってくれないか」と言われてしまいました。

――それは辛い出来事でしたね。

はい。将来は結婚して家庭を持ちたかったので、先々のことを考えると正社員にはどうしてもこだわりたかったんです。人間関係は良い職場だったので悩みましたが、自分に土地勘があって正社員として雇ってくれる職場を探そうと思い転職活動を始めました。

その結果、2015年9月に千葉県でデイサービスを運営する会社への入社が決まりました。現在はそこで介護職や生活相談員の仕事を担当しています。

施設見学でチェックすべきは「職員同士の関係性」

――転職活動はどのように進めたのですか?

条件に合う企業をなるべく多くチェックしたかったので、転職サイトを使いました。企業数が多くて大変かなと思ったのですが、自分の求める条件で絞っていくと意外にも20〜30件しか残らなかったので、あとはそれをしらみつぶしに見ていきました。

――どのような条件を設定しましたか?

正社員として雇用してくれること」「土地勘のある場所であること」「人間関係が良いこと」の3つです。転職サイトで比較した中でもっとも条件の良かった会社に応募し、社長面接を受けるとすぐに入社が決まりました。

――「人間関係の良さ」は判断が難しそうですね。

社長と面接をしたときに、安心して話せる人だなと感じたんです。会社の規模が小さかったので、この人が経営する会社ならきっと大丈夫だろうと思いました。

ただ、職場の人間関係が気になる方はできるだけ施設見学をするべきだと思います。

――施設見学ではどこに注目するといいでしょう?

施設の綺麗さや利用者さんの様子を気にする人が多いと思うのですが、もし人間関係を見極めたいなら、「職員同士のやりとり」に注目するといいと思います。人間関係が良好な施設は、職員同士の連携がよく取れているからです。

例えば、今の自分の職場では「〜さん今お手洗いに行っています」「〜さん今日は血圧高めてです」といった職員同士の声かけが頻繁に自然と行われています。もし人間関係がうまくいっていないと、同僚への声かけは億劫になってしまうので、こうした連携は減ってしまうはずです。

――「職員同士のやりとり」は盲点でした。

施設見学のタイミングによっては、細かいやりとりが聞こえてこない場合もありますが、職員同士の関係性は雰囲気からわかる部分もあると思うので、注意して見るといいと思います。

――転職活動でやっておいてよかったと思うことは?

一つは運転免許を取っておいたこと。免許がないと正社員になれない職場もあるからです。

もう一つは、前職で介護職員初任者研修を受けていたことです。社長に言われて受けたものでしたが、この初任者研修を通じて介助の基本を学んでいたため、転職後も初歩的な仕事はすぐにできるようになりました。後に実務者研修介護福祉士の資格を取得する上での基盤になったので、早めに取得しておいて良かったです。

介護業界はやり直しができる。1度失敗しても終わりじゃない

――転職によって給料はどのぐらい変わりましたか?

前の職場では手取り17万円ぐらいでした。今の職場も同じぐらいの金額でスタートしましたが、2016年に実務者研修を取得するとプラス2万円、2017年に介護福祉士を取得するとプラス1万円になり、今は手取り20万円は超えています。

――勤務時間はどうでしょう。

勤務時間の変化は特にありませんでした。前職では9時から18時までの週5勤務で、転職後は8時半から17時半の週5日勤務です。転職後の休みは、日曜と、月〜土曜の中の1日が交代制で休みだったのですが、今はコロナ禍に伴い施設が土日休みになったので、職員の休みも土日に固定されています。

――働きながら資格を取得するのは大変でしたか?

初任者研修や実務者研修は受講さえすれば資格を取得できるので、研修の時間だけ頑張ればよかったのですが、介護福祉士は試験対策が必要でした。

実務者研修の取得から介護福祉士の試験まで1年ほど時間があったので、その間に過去問を解いたり、一問一答のアプリを使ったりして勉強しましたね。

――効率よく勉強するための工夫は?

一つは、隙間時間を活用したこと。通勤に往復2時間かかっていたので、アプリでの学習に使っていました。疲れている夜よりも朝の方が頭に入りやすかったですね。

もう一つは、1日の勉強時間は短くても、毎日コツコツ続けてきたことです。丸1日根詰めて勉強しても、疲れて次の日やらなくなってしまったら意味がないと思い、帰宅後に毎日30~40分は勉強時間を確保していました。

――大切なポイントですね。今後の目標を教えてください。

来月オープンする3号店の管理者になる予定なので、その役割をしっかり果たしたいと思います。実は2号店がオープンするときも、社長から管理者にならないかと打診されてはいたのですが、まだ不安が大きかったので断ったんです。でも今回は当時に比べるとだいぶ自信がついてきたので、引き受けることにしました。

資格では、サービス管理責任者の基礎研修を受講済みで、2年後には実践研修を受ける予定なので、研修を通じてさらにステップアップしていきたいです。

――仕事のやりがいは感じていますか?

はい、毎日楽しいです。もちろん利用者様ありきなので日々色々ありますが、職場の人間関係が良いので頑張れます。昔は自分が先輩社員に質問するばかりでしたが、今は自分が質問に答える場面の方が増えていることを思うと、成長できたのかなと。今の職場に転職してよかったなって思います。

――最後に、転職を検討している方へメッセージをお願いします。

自分は人よりも回り道をしてしまいましたが、「失敗してもそこで終わりじゃないんだ」ということを伝えたいです。介護業界は需要が高く、やり直す機会が十分に与えられている業界です。失敗も含めていろんな経験を自分の財産にできれば、きっと自分に合う職場に巡り合えると思います。

インタビューを終えて

キャリアの前半は、うまくいかないことが多かったSさんですが、諦めずに転職活動を続けることで自分に合う職場に出会い、それ以降着実にステップアップしてきました。転職の最大の成功要因は、「失敗を糧にする」前向きな姿勢にあると感じました。

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