【介護職の転職体験】「介護職はアルバイトの時期があってもいい」有老で働きながら社会福祉士を目指す

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【介護職の転職体験】「介護職はアルバイトの時期があってもいい」有老で働きながら社会福祉士を目指す

有料老人ホームでアルバイトをしながら通信制大学に通い、社会福祉士の資格取得を目指すMさん(39歳)。24歳のときに障害者介護のアルバイトを始め、その後はデイケアグループホームで高齢者介護に携わってきました。「給料よりも『学べる環境』を求めてきた」と語るMさんの転職体験談を伺いました。

非正規だったけど、資格のおかげで正社員になれた

――24歳で障害者介護のアルバイトを始めたきっかけは?

もともと飲食店や倉庫などでアルバイトをしていました。「次は何の仕事をしようかな?」と思っていたときに、重度訪問介護の仕事をアルバイト情報誌で見つけて、時給が良いのでやってみようかなと思ったんです。「合わなかったらやめればいい」くらいの軽い気持ちでした。

――どんな仕事内容だったのですか?

身体障害者の方をご自宅で介護する仕事です。私が担当したのは脳性麻痺の方が多く、結局4年間続けました。

この仕事は今までのアルバイトの中で一番長く続きました。働いているときはあまり意識していなかったのですが、一人ひとりに合わせた丁寧な対応ができるところが、自分に合っていたんだと思います。

――その時の労働条件は?

週3日が基本で、日勤で10時間、夜勤で15時間入っていました。時給は1200円です。夜は割増賃金があるので、夜勤に一回入れば2万円稼げました。生まれた時間で介護福祉士の資格も取得できました。

――なぜ資格を取得しようと思ったのですか?

当時は3年間の実務経験があれば介護福祉士の受験資格を得られたので、「せっかく受けられる国家資格があるなら受けてみよう」と思ったからです。

※平成28年度の第29回介護福祉士国家試験から、実務経験3年以上に加えて、実務者研修を修了することが必須となった(この場合実技試験が免除)

資格は取っておいて本当に良かったです。ずっと「非正規」かつ「高齢者介護の経験なし」だったのに、29歳のとき転職したデイケアで正社員として雇ってもらえたのは、介護福祉士の資格を取得していたからだと思います。

「障害者介護」と「高齢者介護」の違い

――高齢者介護の仕事を始めたのはなぜですか?

介護福祉士の勉強範囲はほとんどが高齢者介護に関する内容だったので、勉強しているうちに高齢者介護もやってみたいなと思うようになったんです。その頃には祖母が脳梗塞を起こしていたので、身近な問題としても興味がありました。

――転職活動はどのように進めましたか?

転職先の候補はハローワークで探しました。「夜勤がないこと」「家から近いこと」「(運転に自信がないので)送迎業務がないこと」の3つの条件で探すとかなり絞られたので、あとはやってみないとわからないなと思い、最初に内定が出たデイケアに入りました。

――デイケアではどんな仕事をしたのですか?

主な仕事はレクリエーションの準備・進行と、レクリエーション中のトイレのご案内です。約20人の利用者を2人で担当し、一人は利用者の前に立ってレクリエーションを進行、もう一人は利用者を順番にトイレにお連れします。お昼ご飯のときは食事介助もしました。

――労働時間はどのぐらいでしたか?

朝8時半から17時半までの8時間勤務が基本で、サービス残業が頻繁にありました。

レクリエーションを担当するときは事前に内容や席順をまとめた企画書を責任者に提出しなくてはならないのですが、業務時間中にその時間は取れません。新しいレクリエーションを企画するときは、準備に1時間くらいかかることもありましたね。

――給料はいくらでしたか?

手取りで14、5万です。ボーナスは2、3か月分が年2回出ていましたが、一人暮らしをするには厳しい金額でした。

――やりがいはありましたか?

正直あまりなかったですね……。利用者数が多かったので、トイレを順番にご案内するのがとにかく大変でした。でも、利用者に個別の対応ができて、それを喜んでもらえたときは嬉しかったです。

「レクなんてやってられない」っていう態度をされる方がいたので、どうしたものかと思ってその方のプロフィールを見ると、能の歌い手をされていたことがわかったんです。そこで図書館に行って能の音楽に関する本を探してコピーをお渡ししたら、みんなの前で歌ってくださったことがありました。

――それは素晴らしいですね。

ただ、こういうことは時間が許す範囲でしかできなかったので、「もっと利用者と丁寧に向き合いたい」というジレンマは常にありました。

それだけでなく、この施設では研修をきちんと受けさせてもらえませんでした。施設自体が研修にあまり積極的ではなかった上に、「資格を持っているなら特に教える必要はない」という扱いを受けてしまったんです。

――高齢者介護について基礎から学ぶつもりだったのに、想定と違ったのですね。

はい。身体障害者の方をご自宅で介護する仕事では、ご本人に聞けば正解がわかりました。でも高齢者介護の場合は認知症の方もいらっしゃるので、今までのようにはいきませんでした。

仕方なく自腹を切って外部の研修に参加していましたが、体系立てた研修を受けたい気持ちは消えませんでした。結局このデイケアは3年で退職し、32歳のときに研修体制の整っているグループホームに転職しました。

研修が充実した施設の見極めポイント

――転職先はどのように見つけたのですか?

地域の研修会で知り合った看護師の方に、「研修体制を求めているなら、うちのグループホームががいいよ」と教えてもらったので、話を聞いてそこで働いてみることにしました。

――そのグループホームにはどのような研修体制があったのですか?

新人は基礎研修という4、5日間のプログラムに参加します。その後は、希望すれば誰でも参加できる研修が随時開催されていました。内容は介助技術から感染症対策まで多岐にわたります。外部の研修に参加した場合の費用の補助もありました。

――研修での学びは大きかったですか?

はい、とても大きかったです。これまでは「困ったら聞く」という行き当たりばったりの学び方をしてきましたが、体系立てた知識を学べて非常に勉強になりました。ベッドや車椅子への移乗の技術や、介助者の基本姿勢など、ずっと役立つ知識や技術を得られたと思います。

今は動画サイトなどでもある程度学べるのかもしれませんが、実際に現場で実践する様子を見てもらい、悪いところを直してもらえるのは研修ならではですね。

――研修の充実した施設はどうすれば見極められると思いますか?

職員の研修内容は施設のホームページに書いてある場合もありますし、具体的な内容や頻度は面接で聞いてみるといいと思います。

ちなみにこのグループホームには「研修部」がありました。もし組織構造が事前にわかるなら、研修関係の部署があるということは判断材料の一つにしてもいいかもしれません。

――グループホームではどんな仕事をしていたのですか?

食事やトイレ、お風呂の介助や、掃除洗濯などの生活全般に関する仕事です。お散歩や買い物に出かける利用者への付き添いも含みます。

利用者の様子を見て朝ごはんの時間をずらすなど融通を効かせられたので、介護する側としてもストレスは少なかったのですが、夜勤はちょっと大変でした。

9人の利用者を1人で見ていたので、例えば複数の利用者から同時にお手洗いに行きたいと言われると急に忙しくなってしまって。緊急時には他のフロアの担当者にヘルプを求めていました。

――勤務時間や給料はいかがでしたか?

平日は日勤と夜勤の両方があって、休日は普通に休めました。残業は時々ありましたが、次の人に引き継いで帰るルールがきちんと運用されていたので、そんなに多くはなかったです。

お給料はデイケアの時より5万円ぐらい上がって、手取りで19万円。ボーナスもありました。

――このグループホームにはどのくらい勤めましたか?

約4年です。最初の2年で介護職、そのあとはケアマネ(デイケア時代に資格を取得済)の仕事や、研修部の事務職を兼務していました。

――なぜ退職したのでしょう

ケアマネの仕事をしたときに相談援助に関する知識の不足を感じて、「もっと勉強したい」と思ったからです。それから、高齢者介護だけが今後の方向性じゃないなと思って、将来について立ち止まって考えるために退職しました。

大学院で得た知識を次のキャリアに活かしたい

――現在は何をしているのですか?

有料老人ホームなどでアルバイトをしながら、通信制大学に通って社会福祉士の資格取得を目指しています。今は大学3年生です。

――なぜ正社員ではなくアルバイトを選んだのでしょう?

フルタイムで働いているとすぐに1年が過ぎてしまうと感じていたので、勉強とフルタイムを器用に両方はできないなと思いました。

それにアルバイトは、一箇所で働くのと違っていろんな現場に行けるメリットがあります。最近はアプリで探せる日雇いの介護の仕事もあるので、さまざまな介護現場を見てみたい人はアルバイトをする時期があってもいいんじゃないかなと思います。

――なぜ社会福祉士の資格取得を目指しているのですか?

ケアマネの仕事で必要な知識に加えて、福祉全般について学んでみたいと思ったからです。

福祉の仕事は、高齢者や障害者に関することだけではありません。シングルマザーや生活困窮者なども含めて、さまざまな状況で困っている人たちを支えるのが福祉の役割なので、今はその方法を勉強しています。

――Mさんのキャリアの軸は「学び」なのですね。

そうですね。今は大学で勉強できているので、生活の満足度はとても高いです。通信制なのでパソコンがあれば家で受けられますし、いろんな年齢の方との出会いもあって面白いですよ。学費も高くないので、いい時代になったと思います。

――今後はどうしていきたいですか?

まだ答えは出ていませんが、高齢者介護とは違う分野でも働いてみようかと思っています。まずは大学を卒業して、社会福祉士の国家試験での合格を目指します。

――最後に、転職を検討している方へメッセージをお願いします。

自分が職場に何を求めているのか、まずはそれを明確にするのが大切だと思います。「学び」でも「給料」でも、自分自身の「譲れないもの」がはっきりしていると満足度の高いキャリアを歩めるのではないでしょうか。

インタビューを終えて

最初は「アルバイトの一つ」として始めた介護の仕事でしたが、後に向上心が芽生え、学びたい気持ちに忠実に職場を選んできたMさん。給料などの条件や業務内容だけでなく、「学び」を軸に据えたキャリアがとても素敵だなと感じました。

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カイゴジョブ編集部

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