訪問看護師の給料は本当に高い?病院との年収・手取りを徹底比較

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訪問看護師の給料は本当に高い?病院との年収・手取りを徹底比較

夜勤や残業が多い病院勤務から訪問看護への転職を考える際、「訪問看護師の給料は本当に高いのか?」「生活水準を維持できるか」といった収入面の不安は尽きません。訪問看護師は、病院勤務とは異なる手当や給与体系が影響するため、表面的な平均値だけでは判断が難しい状況です。

この記事では、公益社団法人日本看護協会(以下、日本看護協会)の「看護職員の賃金に関する実態調査」(以下、実態調査)を基に、訪問看護師の給与を解説し、あなたの収入に対する不安を解消するためのヒントをお伝えします。

訪問看護師の給料は病院より高い?平均年収の実態

結論から言うと、平均年収では病院勤務の方が高いという結果が出ています。ただし、給与の内訳を詳しく見ると、その評価は大きく変わります。

「訪問看護は夜勤がないから給料が下がる」と思われがちですが、実際はどうなのでしょうか。ここでは、日本看護協会の実態調査を基に、数字で見るリアルな年収事情を解説します。

最新データによる結論:訪問看護と病院の給与比較

調査の結果、訪問看護師の年収は病院勤務に比べて約26万円低い結果となっています。しかし、ここで注目すべきは「基本給」です。

総支給額や年収では差がありますが、「基本給」だけで比較すると、その差は約3,000円にとどまり、統計上はほぼ同水準です。

比較項目 訪問看護師(常勤) 病院看護師(常勤)
平均基本給月額 280,046円 283,304円
平均総支給額(月額) 383,262円 409,436円
平均年収 5,498,716円 5,762,314円

※出典:公益社団法人日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書(p18〜19)

※基本給月額:給与明細の「基本給」に記載されている金額
※総支給額:社会保険料等を控除する前の支給総額

病院勤務の方が総額が高い背景には、一般的に夜勤手当の有無が影響していると考えられます。訪問看護は基本的に夜勤がないため、その分の差額が生じています。しかし、日勤中心の働き方でありながら、基本給ベースでは病院と変わらない待遇が確保されている点は、訪問看護の特徴です。

訪問看護師の給与体系と手取り額の仕組み

訪問看護師の給与を正確に把握するには、平均年収だけでなく、「総支給額」と「手取り額」の違い、そして訪問看護特有の「給与が変動する仕組み」を理解することが必要です。特に、手当の積み上げ方が病院とは異なるため、何が基本給に含まれ、何が変動するのかを知ることは、転職後の収入安定性を判断する上で欠かせません。

総支給額と手取り額の目安

給与明細に記載される「総支給額」から、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険など)や所得税・住民税が差し引かれた金額が「手取り額」です。扶養家族の有無や前年の所得によって異なりますが、一般的に手取り額は総支給額の約70〜80%程度が目安です。

前述のデータを基に試算すると、手取り額の目安は以下の通りです。

  • 平均総支給額(月額):383,262円
  • 手取り額の目安:約287,000円〜306,000円

※上記は一般的な控除率に基づく概算であり、個人の状況により変動します。

給料に差がつくオンコールと訪問件数

訪問看護師の給料が人によって異なる主な要因は、「オンコール対応」と「訪問件数」による変動幅の大きさです。病院の夜勤手当と同様に、これらの手当がどれだけ加算されるかで、最終的な手取り額は変わります。

  • オンコール手当:
    日本看護協会の調査によると、待機1回あたりの平均手当額は2,353円、実際に緊急訪問をした場合は1回あたり平均3,527円が支給されています。待機回数や緊急出動の頻度が増えるほど、給与に上乗せされる仕組みです。
  • 訪問手当:
    多くのステーションでは「1日〇件以上」「月〇件以上」など、規定の訪問件数を超えた場合に手当が加算される仕組みを導入しています。頑張った分だけ給与に反映されるのが特徴です。

※出典:公益社団法人日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書(p14)

※補足:オンコール手当に関する数値です。

パートタイムや非常勤の給与形態

パートタイムや非常勤で働く場合、病院勤務と同様に「時給制」が基本となりますが、訪問看護ならではの特徴として「訪問1件あたりの単価」で給与が計算されるケースや、時給に加えて「訪問手当」がつくケースもあります。

移動時間も勤務時間に含まれるか、訪問件数だけで評価されるかによって実質の時給が変わってくるため、求人を確認する際は「1時間あたりの金額」だけでなく、どのような計算方法が採用されているかを確認しましょう。

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訪問看護師が給料を上げる具体的な方法

訪問看護師の給料は、病院勤務のように「勤続年数」だけで自動的に上がっていく要素よりも、自分の働き方や成果がダイレクトに反映される要素が強いのが特徴です。ここでは、先ほどの日本看護協会の実態調査を踏まえ、収入を確実にアップさせるための具体的なアプローチを3つ紹介します。

オンコール対応の回数を増やす

即効性が高く、確実な方法はオンコールの待機回数を増やすことです。前章の調査データで示した通り、訪問看護では待機1回ごとに手当が支給されるため、この回数を調整することが直接的な収入増につながります。

仮に待機回数を月4回から月8回に増やした場合、年間で約11万円の収入アップが見込めます。これはあくまで「一度も呼び出しがなく、待機のみだった場合」の最低限の試算です。

実際には、ここに出動した際の「緊急訪問手当」がさらに加算されます。オンコールは、自宅待機による確実なベースアップと、緊急訪問による上乗せ手当を組み合わせることで、効率的に年収を底上げできる仕組みといえます。

※出典:公益社団法人日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書(p14)

訪問件数を増やしてインセンティブを得る

多くの訪問看護ステーションでは、基本給に加えて「訪問件数に応じたインセンティブ」が設定されています。「1日5件以上で加算」といった明確な基準がある職場を選び、効率的に訪問件数を重ねることで、月額を数万円単位で引き上げることが可能です。面接時には、基本給の額だけでなく「インセンティブの発生条件」を詳しく確認しましょう。

管理者へのキャリアアップ

訪問看護ステーションには、病院のような複雑な階層(主任、師長、部長など)が少ない分、ステーションを統括する「管理者」の役割が重視されます。管理者は、スタッフのマネジメントや経営数値の管理を行うため、一般スタッフよりも高い手当や役職給が設定されています。現場経験を積んだ後のキャリアパスとして管理者を目指すことも、大幅な年収アップを実現する一つのルートです。

転職後の収入不安を解消する判断材料

訪問看護師への転職は、働き方次第で病院勤務と同等、またはそれ以上の収入を目指すことも可能です。同時に「将来、給料は上がるのか」「安定して稼げるのか」という不安を抱く方も多いでしょう。この不安を解消するためには、目先の月額だけでなく、長期的な視点での「給与の伸び」や、金額以外の価値を含めた総合的な判断が必要です。

年齢に伴う昇給の現実と将来性

長く働き続ける上で気になるのが「昇給」です。日本看護協会の調査報告によると、訪問看護師の賃金カーブは、同年代の病院勤務の看護師と比較して「低い金額であり、年齢の上昇とともに緩やかに上昇する」という傾向にあります。

つまり、年齢を重ねるだけでは、病院勤務以上の給与水準に達するのは難しいのが現実です。したがって、将来的に大幅な年収アップを目指すなら、単に長く勤めるだけでなく、前の章で触れた「管理者」へのステップアップに加え、専門性を高める取り組みも、将来的な年収アップにはより重要になってきます

※出典:公益社団法人日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書(p18)

安定した収入を得るための基本給の確認

インセンティブは魅力的ですが、利用者の入院や減少によって変動するリスクがあります。収入の不安を解消するカギは、変動しない「基本給」の額です。

データによれば、訪問看護師の基本給(平均約28万円)は病院勤務(平均約28.3万円)とほぼ同水準です。求人を見る際は、インセンティブを含んだ総額の高さに目を奪われすぎず、「基本給だけで生活費をカバーできるか」という視点を持つことで、精神的な安定につながります。

給与差と働きやすさのバランス

データ上、訪問看護師の平均年収は病院勤務より約26万円低い結果が出ています。しかし、これを「月額約2万円の差」と捉えたとき、夜勤がなくなり、土日休みが取りやすくなるなどの「ワークライフバランスの改善」に、その金額以上の価値を感じられるかが最後の判断基準です。

「給与を最優先して夜勤を続ける」か、「多少の差を受け入れて規則正しい生活を選ぶ」か。ご自身のライフステージに合わせて、満足のいく選択をすることが大切です。

この記事では、日本看護協会の実態調査に基づき、訪問看護師と病院勤務の看護師の給与差や手取り額の仕組みを徹底比較しました。

平均年収は病院勤務が上回るものの、基本給ベースでは差がなく、オンコールや訪問件数の頑張りが収入に直結する点が訪問看護の大きな魅力です。金額への不安をなくすためには、平均値にとらわれず、求人ごとの「手当の単価」や「働き方」を自身の目で確認することが、後悔のない転職判断につながります。

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ウェルミーマガジン編集部

執筆者:ウェルミーマガジン編集部

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