看護師が退職を考える際、「いつ辞めるべきか」と悩んでいる方もいるでしょう。今の職場を去る決心がつかないまま、心身に負担を感じる方も少なくありません。
この記事では、看護師が円満退職を目指す際のタイミングやポイントについて解説します。
看護師が退職すべきか迷った時の判断基準
退職は人生の大きな転機であり、感情だけで決めるのはリスクを伴います。自分の現状を客観的に見て、本当に今辞めるべきなのか、それとも現在の職場で働き続けるべきなのかを見極めることが大切です。
データから見る看護師の離職率
日本看護協会の調査によると、正規雇用看護師の離職率は全国平均で11.3%です。約10人に1人が毎年職場を離れていることになります。新卒1年目の離職率も8.8%と、看護師が職場を変えることは決して珍しいことではありません。
| 雇用・採用区分 | 離職率 |
|---|---|
| 正規雇用看護師 | 11.3% |
| 新卒採用者 | 8.8% |
| 既卒採用者 | 16.1% |
※出典:公益社団法人日本看護協会「2024年 病院看護実態調査 報告書(p11)」
健康不安がある場合は身体を優先する
身体や心からの危険信号を見逃してはいけません。朝、職場に行こうとすると涙が出る、動悸がする、眠れないといった症状は深刻です。過度なストレスは心身の不調につながることがあります。このような場合は、無理に仕事を続けるよりも、まずは専門の医療機関を受診し、自分の健康を最優先に考えて退職や休職を検討することも大切です。
キャリアアップにつながる職場なら転職は慎重に判断する
一方で、今の職場で経験を積むことが将来の転職を有利にする場合もあります。特に「認定看護師」や「専門看護師」を目指している場合、資格の取得に実務経験年数が求められます。上司への相談や部署異動、シフトの調整などで解決できる可能性がある退職理由なら、退職が必ずしも得策とは限りません。今の職場でのキャリアアップが将来の自分にとってプラスになるかどうかを冷静に判断しましょう。
退職しやすい時期の目安
退職の時期を戦略的に選ぶことで、受け取れる賞与の額や、退職のしやすさが異なります。職場の運営サイクルを理解し、周囲への影響を最小限に抑えつつ、自分にとって有利な時期を見極めましょう。
年度末の3月は比較的退職しやすい
一般的に、年度末の3月末は区切りがよく、退職時期として選ばれやすい傾向があります。4月には新入職員の受け入れや人事異動が行われるため、職場側も体制を整えやすく、業務の引き継ぎもスムーズに進むことが多いです。退職時期を考える際の候補の一つといえるでしょう。
夏・冬の賞与支給後に退職する
金銭的な損を避けるなら、夏や冬の賞与支給後に退職日を設定することを検討してみましょう。支給日に在籍していることが賞与支給の条件となっている職場も多いためです。支給直後に辞めるのは気が引けるという場合は、支給から1〜2か月後に退職日を調整すると、精神的な負担も少なく、かつ経済的な蓄えを持って次のステップへ進めるでしょう。
求人が増えやすい時期を把握して転職活動を進める
転職先を効率よく見つけたいなら、求人が増えやすい時期を把握しておくことも大切です。あくまで一般的な傾向ですが、1月〜2月や年度始めの4月、下半期に向けた7月などは、欠員補充や増員のために求人が出やすくなります。タイミングによって求人数は増減するため、求人が出やすい時期に転職活動を進めると、希望に近い職場を選べる可能性が高まります。
看護師・准看護師の求人情報はこちら避けるべき退職のタイミングと注意点
自分の都合だけで退職日を決めると、思わぬ不利益を被ったり、強い引き止めにあったりすることがあります。特に雇用契約や職場の状況を無視した強引な退職は、その後のキャリアにも悪影響を及ぼしかねません。
役割の区切りを意識する
自分が担当している役割も考慮しましょう。看護研究の発表直前や、リーダーを務める委員会の任期途中で辞めると、後任への負担が大きくなり、トラブルの原因になります。これらの活動が一段落するタイミングを見計らって退職を申し出ることで、同僚からの批判を避け、前向きな気持ちで送り出してもらえる可能性が高まります。
人手不足の時期や大型連休前
人手不足の時期や、職員が交代で休む年末年始や夏季休暇などの大型連休直前の退職は避けたほうがよいでしょう。残された職員の業務負荷が急増するため、強い不満を買うだけでなく、有給休暇の取得をめぐってトラブルに発展することもあります。円満に退職するためには、職場の状況やシフトの傾向を事前に把握しておく配慮が必要です。
奨学金の返済免除の条件を確認
病院独自の奨学金制度などは、一定年数の勤務を条件に返済が免除される仕組みを導入しているケースが多いです。所定の期間を満了せずに辞めると、返済を求められるケースがあります。退職前に必ず契約書を確認し、返済資金を準備するか、返済支援制度のある転職先を探すなどの対策を立てましょう。
勤続年数が転職に与える影響
短期離職が続くと、採用側から就業継続性を確認されやすくなることがあります。特に1年未満の離職を繰り返すと、選考で不利になることも否定できません。ただし、パワハラや過重労働が原因であれば、その事実を正直かつ前向きに伝えることで理解を得られる場合もあるため、自分の状況と市場価値を考慮して判断することが重要です。
円満退職をかなえるためのポイント
退職の意思を伝えてから実際に職場を去るまでには、守るべきマナーと手順があります。期間の定めのない雇用契約の場合、法的には2週間前の申し出で退職が可能ですが、現場の混乱を防ぎ、自分自身の権利である有給休暇をしっかり消化するためには、計画的な行動が欠かせません。
退職を伝えるのは2~3か月前を目安にする
円満退職を目指すなら、退職希望日の3か月前、少なくとも2か月前には意思を伝えるのがおすすめです。職場側が新しい職員を募集し、採用するまでには一定の時間がかかります。そのため、早めに退職の意思を伝えることで、現場の調整がしやすくなります。就業規則に退職の申し出に関する規定がある場合も多いため、事前に確認しておきましょう。
直属の上司へ報告する際のアポイント取得方法
退職を申し出る相手は、看護師長などの直属の上司です。しっかりと話を聞いてもらうためには、忙しい時にいきなり切り出すのではなく、「今後のことでご相談したいことがあります。お時間をいただけないでしょうか」と事前にメールや口頭でアポイントを取りましょう。会議室などの落ち着いて話せる場所を確保してもらうことで、感情的にならず、誠実に意思を伝えることができます。
引き止めを回避する退職理由の伝え方
強い引き止めを避けるには、現在の職場への不満ではなく、「自分自身の事情」や「前向きな目的」を理由にすることが大切です。「実家に帰り、親をサポートしたい」「今の分野とは異なる専門スキルを別の環境で学びたい」といった理由は、上司も反対しづらくなります。嘘はつかずに、今の職場では解決できないことを理由の中心に据えるのがポイントです。
引き継ぎに配慮しつつ、有給休暇の取得を申し出る姿勢
退職前に有給休暇を完全に消化するのは、労働者の正当な権利です。ただし、強引なスケジュールを組んでしまうと反感を買う可能性があります。「〇月〇日までに引き継ぎを完了させますので、〇月〇日からは有給をいただきたいです」と、引き継ぎに配慮しつつ、有給休暇の取得を申し出る姿勢を見せましょう。担当業務のマニュアルの作成や物品配置の共有など、後任が困らないよう引き継ぎの準備をしておくとよいでしょう。
退職時期を決めた看護師が準備すること
退職日が決まったら、事務的な手続きにも目を向け、退職に伴う書類の準備や提出を進めましょう。また、転職後の生活を安定させるため、今のうちに転職市場の動向を掴んでおくことも重要です。
退職願と退職届の違いと提出時の注意点
「退職願」は退職を願い出るための書類で、受理されるまでは撤回できます。「退職届」は退職が確定した後に提出する届け出であり、原則として、職場側が拒否することはできません。どちらを提出すべきかは職場の慣習によりますが、職場ごとにフォーマットが設けられている場合もあるため、事前に確認しましょう。手書きが基本とされる職場もあるため、丁寧な字で記入し、封筒に入れてシワにならないように準備しましょう。
転職市場の動向と自分の市場価値を知っておく
退職を決めてから慌てて求人を探すのではなく、在職中から転職市場を調査しておきましょう。現在の自分の経験が他の施設でどの程度の給与条件になるのか、夜勤なしの求人はどの程度あるのかなど、希望と照らし合わせて調べておくと退職後の不安が軽減されます。人気のある好条件求人はすぐに埋まるため、早めの情報収集が鍵を握ります。
看護師の退職タイミングに関するよくある質問(FAQ)
退職を考える際、多くの看護師が不安を感じるでしょう。ここでは、よくある質問に回答します。
Q.新人看護師が1年未満で辞めても大丈夫ですか?
A.新人看護師が1年未満で退職した場合でも、再就職できるケースはあります。ただし、転職のしやすさは年齢や経験年数、退職理由などによって変わるため、一概に判断することはできません。短期間で退職した理由について説明を求められることもあるため、次の職場ではどのように働きたいのかを整理しておくことが大切です。
ただし、強いストレスや体調不良を感じている場合は、無理をして働き続けるのは避けるべきです。心身の状態や今後のキャリアを踏まえながら、今後の働き方を見直しましょう。
Q.上司に退職を切り出しにくい場合はどうすればよいですか?
A.「自分が辞めると現場に迷惑がかかるのではないか」「上司に言い出しにくい」と不安に感じる看護師は少なくありません。ただし、人員配置や業務体制の管理は職場側の役割であり、個人がすべてを背負う必要はありません。
就業規則で定められている申し出の期限を確認し、早めに意思を伝えることで、職場側も引き継ぎや人員調整の準備を進めやすくなります。感謝の気持ちと協力する姿勢を伝え、社会人としてのマナーを守って丁寧に申し出ることが大切です。
この記事では、看護師が辞めるべきか迷ったときの判断基準から、退職時期の目安、円満退職をかなえるためのポイントなどを解説しました。退職は、より良い環境へ進むための選択肢の一つです。心身の健康を第一に、キャリアプランに基づいた冷静な選択を行いましょう。
関連キーワード
執筆者:ウェルミーマガジン編集部
介護・医療・障害福祉・保育に関連するお役立ち情報や楽しいコンテンツを随時発信中!みなさんの『自分に合った「ここで働きたい!」に出会える』を目指します。求人サイト<ウェルミージョブ>は会員登録数180万!