#1 ケアマネってどんな仕事?施設と居宅を経験して見えた“支える”ということ

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#1 ケアマネってどんな仕事?施設と居宅を経験して見えた“支える”ということ

こんにちは。NPO法人「未来をつくるkaigoカフェ」代表の高瀬比左子です。

今回から、ケアマネジャー(以下、ケアマネ)をテーマに執筆させていただくことになりました。

私自身、介護福祉士として現場に立ち、施設ケアマネ、居宅ケアマネとして働いてきた経験があります。これからケアマネを目指す方や、資格を取得したものの実際に働くことに迷いを感じている方に向けて、外からは見えにくいケアマネの仕事のリアルを、できるだけ等身大の言葉でお伝えできたらと思っています。

第1回のテーマは「ケアマネってどんな仕事?施設と居宅を経験して見えた“支える”ということ」

ケアマネの仕事というと、「調整役」「書類が多い」「大変そう」といったイメージを持たれることも少なくありません。けれど実際には、利用者さんの暮らしや思いに寄り添いながら「どう生きたいか」を一緒に考えていく仕事でもあります。

ケアマネ試験を控えている方の中にも、「合格したとして、本当にケアマネとしてやっていけるのだろうか」と不安を抱えている方は少なくないと思います。今回は、施設ケアマネと居宅ケアマネ、それぞれの現場で私が感じてきた“支える”ということについて、現場の温度感とともにお話ししていきたいと思います。

ケアマネの役割は「調整役」だけではない

ケアマネジャーの仕事を一言で表すなら、「利用者さんの暮らしと制度の間に立ち、生活全体を組み立てていく仕事」だと私は思っています。

アセスメント、ケアプランの作成、サービス担当者会議、モニタリング。業務内容だけを見ると「ケアマネは調整や書類作成をする仕事」という印象を持たれることもあるかもしれません。けれど、現場でケアマネの仕事を続けていると、その本質は「書類を作ること」でも「サービスをつなぐこと」でもないと感じる場面が何度もあります。

ケアマネの本当の役割は、利用者さんやご家族の「どう生きたいか」という思いを一緒に言葉にし、それを日々の支援や暮らしにつなげていくことです。表に出てくるのはケアプランですが、その奥には何度も交わされた対話と、迷いながら出した判断の積み重ねがあります。だから私は、ケアマネは単に支援を調整する人ではなく、利用者さんの人生に伴走していく存在なのだと感じています。

施設ケアマネとして見えた“暮らし”の変化

私が最初にケアマネとして働いたのは有料老人ホームでした。いわゆる「施設ケアマネ」として、入居されている方の生活を日々近くで支える立場です。

食事の様子、夜の眠り、ご家族の面会後の表情、ふとした会話。施設ケアマネは、毎日の暮らしの中にある小さな変化を見ながら、支援やプランを見直していきます。

ある入居者さんの事例です。入所から数か月ほど経った頃、少しずつ笑顔が減り、食事も進まなくなっていった方がいました。職員の間では「体調が悪化してきたのかもしれない」「まだ環境に慣れていないのかもしれない」と、さまざまな見方が出ていました。

けれどご家族にお話をうかがう中で、その方はもともと近所の方とおしゃべりをする時間をとても楽しみにされていたこと、施設に入ってから「人と話す機会」が大きく減っていたことが見えてきたのです。

そこで共有スペースでお茶を飲む時間を意識的につくり、職員も少し腰を下ろして会話をする時間を増やしてみました。すると、少しずつ表情がやわらぎ、食事の量も戻っていったのです。

プランの数字や項目だけを見ていたらたどり着けなかった答えでした。施設ケアマネの仕事は、こうした「暮らしの中の小さな手がかり」をすくい上げながら、その方に合った支援につなげていく仕事なのだと、その時に深く実感しました。

居宅ケアマネとして感じた“支える”ことの重み

その後、居宅ケアマネとして働くようになって、見える景色はまた大きく変わりました。

施設では日々の暮らしの小さな変化を近くで見守りながら支援を考えていました。一方で、居宅では利用者さんの人生や生活そのものに触れていくような感覚があります。

利用者さんのご自宅にうかがうと、暮らしのリズム、家具の置き方、台所の様子、ご家族との関係まで、たくさんの情報が自然と見えてきます。その方がどんな毎日を積み重ねてこられたのかが、生活の中に表れているのです。

居宅で特に印象に残っているのは、ご主人を介護されていた奥さまのケースです。

お訪ねするたびに「私は元気だから大丈夫」と笑顔でおっしゃる方だったのですが、ある日「実は夜、眠れない日が続いているんです」とぽつりと話してくださいました。

それまでご自身のつらさをあまり口にされることのなかった方だったので、その言葉を聞いた時、「少しずつ信頼していただける関係になれているのかもしれない」と感じたのを覚えています。

介護の現場では、利用者さん本人だけでなく、ご家族もまた気を張りながら日々を支えておられます。だからこそ、本音を話せるまでには安心と時間が必要なのだと、その時あらためて感じました。居宅ケアマネの仕事は、その安心を少しずつ積み重ねていくことでもあるのだと思います。

ケアマネは「見えない判断」の連続

そしてもう一つ、ケアマネの仕事には“目に見えない判断”がとても多いということです。

サービスを増やした方がいいのか、それとももう少し様子を見るべきなのか。利用者さん本人の希望とご家族の不安が違う時、どう折り合いをつけていくのか。「安心して暮らせること」と、「その方らしく暮らせること」。その両方をどう支えていくのかに迷う場面も少なくありません。

実際には、「この利用者さんはこのまま一人暮らしを続けられるだろうか」「今サービスを増やすことが、本当に利用者さんのためになるのだろうか」と悩み続けることもあります。制度として利用できるサービスがあっても、利用者さん自身は望んでいないこともありますし、ご家族の思いと食い違うこともあります。

だからこそ、ケアマネの仕事は“正解を出す”ことではなく、“利用者さんにとって何が大切なのかを考え続ける”ことなのだと思います。

「自分にできるだろうか」と不安を感じている方へ

ここまで読まれて「ケアマネってやっぱり大変そう」「私にはできそうにない」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

けれど、私はこう思います。ケアマネは特別な人がやる仕事ではなく、現場で誰かのことを真剣に考えてきた人にこそ向いている仕事です。

介護の現場で利用者さんの表情の変化に気づける方。
ご家族の言葉の裏側に思いを巡らせたことがある方。
「もっとこうできたらいいのに」と悩んだ経験のある方。

その感性こそがケアマネの仕事の土台になります。試験勉強で覚える知識はその感性を支える道具です。順序が逆ではありません。

ケアマネの資格は保持しつつ、現場から離れている方もいらっしゃるかもしれません。「ブランクがある」「自信がない」と感じておられるかもしれませんが、現場を経験した人だからこそ持っている「生活者への視点」は、決してなくならないものです。少し休んでいる間に耕されたものも、きっとあると思うのです。

kaigoカフェで出会ったケアマネたちの声

私が主宰しているNPO法人「未来をつくるkaigoカフェ」では、これまで、ケアマネとして働く多くの方々と対話してきました。そこでは現場では言えなかった本音がたくさん語られます。

「ケアマネとして本当にこの判断でよかったのか、いつも自問している」
「利用者さんの人生の節目に立ち会わせてもらっていることをありがたく思う日もあれば、重く感じる日もある」

そんな声を聞くたびに、ケアマネの仕事は決して一人で背負うものではないのだと感じます。

(実際のkaigoカフェの様子)
(実際のkaigoカフェの様子)

立場や経験年数を超えて語り合うと、不思議と「自分だけじゃなかった」と思える瞬間があります。悩みを共有することで、明日もう一度現場に戻る力が湧いてくる。ケアマネという仕事には、そんな対話の場が必要だと改めて感じています。

ケアマネは「誰かと育っていける仕事」

ケアマネの仕事は決して華やかな仕事ではありません。書類業務も多く判断に迷う場面もたくさんあります。それでも利用者さんやご家族の暮らしの大切な場面に関わり、その人らしい生活を支えていけることに、大きなやりがいを感じる仕事でもあります。

ケアマネ試験を受ける予定の方も、資格を持ちながら「もう一度現場に戻ろうか」と迷っている方も、どうか一人で抱え込まず、ご自身がこれまで積み重ねてきた経験を信じてほしいと思います。

この連載では今後もケアマネとして働く中で感じる悩みや葛藤、対話の大切さ、多職種との関わりなどについて少しずつお伝えしていきます。

ケアマネは、一人で頑張る仕事ではなく、利用者さんやご家族、そして支援者同士の関わりの中で、共に育っていける仕事なのだということを、私自身の経験とkaigoカフェでの実践を通してお届けしていけたらと思っています。

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高瀬 比左子(たかせ ひさこ)

執筆者:高瀬 比左子(たかせ ひさこ)

特定非営利活動法人未来をつくるkaigoカフェ主宰。介護福祉士・社会福祉士・ケアマネジャー。2000年に介護職を始め、2012年にkaigoカフェを設立。全国で語り合いの場を展開し、講演・執筆などを通じ介護の魅力を発信中。

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