作業療法士になるには?4ステップと学校選び・社会人からの道

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作業療法士になるには?4ステップと学校選び・社会人からの道

人の生活を支える仕事に興味がある方にとって、作業療法士(OT)は魅力的な職業の一つです。「作業療法士になりたいけれど、具体的に何をすればいいのか分からない」「社会人からでも目指せるのか不安」といった疑問や悩みを抱えているのではないでしょうか。

この記事では、作業療法士になるための具体的な4つのステップから、理学療法士(PT)との違い、養成校の選び方、そして社会人からの挑戦を成功させるための方法などを解説します。

作業療法士になるための4ステップ

作業療法士は、リハビリテーション専門職の一つとして、「作業療法士国家試験」に合格することで取得できる国家資格です。この資格を取得し、実際の仕事に就くまでには、主に以下の4つのステップがあります(下記の情報は、職業情報提供サイトjob tagの「作業療法士(OT)」を参照しています)。

ステップ1:養成校(大学・短期大学・専門学校)を卒業する

作業療法士になるためには、まず文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した作業療法士養成施設(大学、短期大学、専門学校など)に入学し、定められたカリキュラムを修了する必要があります。この養成校での修業年限は、原則3年以上とされています。授業では、解剖学や生理学といった基礎医学から、作業療法概論などの専門科目、そして臨床実習を通して実践的なスキルを習得します。

ステップ2:作業療法士国家試験の受験資格を得る

養成校で必要な全科目を履修し、卒業することで、作業療法士国家試験の受験資格が得られます。臨床実習を含む課程の修了が必要です。

ステップ3:国家試験に合格し資格を取得する

受験資格を得たら、年に一度実施される作業療法士国家試験を受験します。試験は主に筆記試験で行われます。重度視力障害のある方は、筆記試験の一部に代えて口述試験・実技試験が実施されます。試験では、作業療法に関する専門知識や技術などが問われます。合格すると、住所地を管轄する保健所(一部の県については県庁)へ免許申請書を提出し、作業療法士の免許を取得できます。

※出典:厚生労働省の「理学療法士免許、作業療法士免許申請について」

ステップ4:就職先を決め、作業療法士として働く

資格取得後、病院、リハビリテーションセンター、介護老人保健施設、特別支援学校、児童福祉施設など、さまざまな施設の中から自分の興味やキャリアプランに合った就職先を選びます。就職後も、最新の知識や技術を学ぶ研修や、専門性を高めるための学会参加などを通して、継続的な学習が必要です。

作業療法士の仕事内容と理学療法士との違い

作業療法士は、身体や精神に障害がある方、またはそれが予測される方に対し、「作業」を通じて心身機能の回復と社会適応を支援する専門職です。リハビリテーション職には理学療法士や言語聴覚士(ST)もいますが、作業療法士は特に「生活そのもの」に焦点を当てる点が特徴です。

作業療法士とは?仕事の定義と役割

作業療法士は、単に機能の回復を目指すだけでなく、その人が再びその人らしい生活を送れるように支援することを目標とします。この「作業」とは、食事、歯みがきなど日常生活の動作、家事、芸術活動、遊び、スポーツなど、その人にとって意味のあるすべての活動を指します。対象者の主体性を尊重し、意欲を引き出すことが作業療法士の重要な役割です。

「作業」を通じたリハビリテーションの具体例

作業療法は、対象となる疾患や年齢層によってアプローチが多岐にわたります。例えば、脳卒中後の患者さんに対しては、手の細かい動作訓練として折り紙や料理を取り入れたり、精神疾患の方に対しては、レクリエーションや創作活動を通じて、感情の表現や社会性の回復を促したりします。小児分野では、遊びを通じて協調性や学習に必要なスキルを育みます。

理学療法士との違いを比較表で解説

作業療法士と理学療法士はどちらもリハビリテーションの専門職ですが、アプローチする領域が異なります。理学療法士は主に「基本動作」(寝返り、起き上がり、歩行など)の回復を支援するのに対し、作業療法士は応用的な「生活行為」(家事、仕事、趣味など)や精神面へのアプローチに重点を置きます。

比較項目 作業療法士 理学療法士
主な対象領域 家事、仕事、趣味、遊びなどの「生活行為」 寝返り、起き上がり、歩行などの「基本動作」
アプローチ方法 手工芸、レクリエーション、応用動作の訓練など 運動療法、物理療法(例:電気刺激、温熱)など
やりがい 患者さんの生きがいの回復や生活再建の支援など 身体機能の回復と移動能力の改善による活動範囲の拡大など

作業療法士の平均給与と就職先

作業療法士の平均給与は、勤務する施設の種類や経験年数によって幅があります。e-Statの「令和6年賃金構造基本統計調査」から算出すると、作業療法士(理学療法士、言語聴覚士、視能訓練士も含む)の平均月給は約30万円で、賞与も含めた平均年収は約430万円となっています。

※平均年収の算出方法:(企業規模計10人以上)きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額

主な就職先としては、病院、リハビリテーションセンター、介護老人保健施設、特別支援学校、児童福祉施設、地域包括支援センターなどが挙げられます。特に高齢化が進む日本では、在宅や地域でのリハビリテーションのニーズが高まっており、活躍の場は多岐にわたります。

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作業療法士の取得方法と難易度

作業療法士の資格は、国が認めた専門性の高い国家資格であるため、その取得には所定の教育と試験合格が求められます。ここでは、国家試験の概要と難易度について解説します。

作業療法士国家試験の受験資格と日程

受験資格は、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した作業療法士養成施設(大学、短期大学、専門学校など)で、3年以上(または4年)の必要な知識及び技能を修得し卒業(または卒業見込み)した者に与えられます。国家試験は例年2月下旬に実施され、合格発表は3月下旬に行われます。受験要項は厚生労働省から毎年公表されますので、必ず最新の情報を確認してください。

※出典:厚生労働省の「作業療法士国家試験の施行」

最新の国家試験合格率と難易度

作業療法士国家試験の合格率は、ここ数年80%台(新卒者含む全受験者)で推移しています。決して簡単な試験ではありませんが、養成校でしっかりと学習し、受験対策を行えば合格を狙える難易度といえます。

※令和8年1月時点の情報をもとに記載しています。

※出典:厚生労働省の「第60回理学療法士国家試験及び第60回作業療法士国家試験の合格発表について」

養成校の選び方

作業療法士を目指せる養成校は、大学(4年制)と専門学校(3年制または4年制)、短期大学(3年制)があります。それぞれ修業期間、学費、教育内容に違いがあるため、自分の目標や経済状況に合わせて慎重に選択する必要があります。

大学・専門学校・短大の期間と学費の違い

大学は4年制が基本で、一般教養や研究に時間を割ける分、私立大学の学費は専門学校より高くなる傾向があります。専門学校は3年制または4年制で、実習や専門科目に集中するため、比較的早く資格を取得できますが、学校によって学費の幅があります。短期大学は3年制で、私立大学より学費が抑えられ、短期集中学習で効率が良いというメリットがあります。

学校の種類 修業期間 教育の特色 一般的な学費(目安)
大学 4年 学術研究、幅広い教養、他学科との連携 国公立:250~300万円程度
私立:550~800万円程度
専門学校 3~4年 臨床実習、専門技能の習得に特化 3年制:300~500万円程度
4年制:500~650万円程度
短期大学 3年 実習と専門知識を3年で集中的に学ぶ 400~550万円程度

※上記の学費はあくまで一般的な目安です。詳細は必ず各学校の資料で確認しましょう。

大学のメリット:研究と幅広い知識を習得

大学では、専門知識だけでなく、教養科目や研究活動に時間を割けるため、将来的に教育者や研究者を目指したい方、または作業療法士の枠を超えた幅広い知識を身につけたい方に適しています。また、学士号が取得できるため、キャリアアップの際に有利になるケースもあります。

専門学校のメリット:実習重視と就職サポート

専門学校は、短期間で集中的に作業療法士の知識と技術を習得できるようにカリキュラムが組まれており、臨床実習の時間が多く、実践力が身につきやすいというメリットがあります。また、早く社会に出たい方や、専門職としての就職に特化したサポートを受けたい方に適しています。

夜間部・昼間部の違いと両立のしやすさ

専門学校の中には夜間部を設けている学校もあり、主に社会人や、アルバイトをしながら学びたい学生のニーズに応えています。日中に働くことで学費を稼げたり、生活費を賄えたりするメリットがあります。ただし、学習と仕事の両立には、強い意志と効率的な時間管理が求められるでしょう。

社会人からのキャリアチェンジで作業療法士になるには

「現在の仕事からキャリアチェンジしたい」「人の役に立つ専門職に就きたい」と考える社会人の方にとって、作業療法士は安定した将来性を持つ魅力的な選択肢です。しかし、年齢や学習ブランク、経済的な不安がネックになることも少なくありません。

社会人が抱える年齢や学習への不安を解消

「今から勉強して国家試験に合格できるか」「実習で若い学生についていけるか」といった不安はつきものですが、作業療法士の養成校には社会人経験者も多く、特に専門学校では社会人向けのサポート体制が充実しているケースがあります。今までの社会経験は、患者さんとのコミュニケーションや生活背景の理解に役立つ強みになるでしょう。

社会人から作業療法士になるための学校選びのポイント

社会人からの挑戦を成功させるために、下記のポイントを意識して学校選びを行うと良いでしょう。

  1. 社会人学生の在籍状況
  2. 夜間部の有無と時間割
  3. 国家試験対策の充実度
  4. 奨学金や特待生制度の有無
  5. 卒業生の年齢構成と就職実績

これらのポイントを参考に、自分のライフスタイルに合った学校を選びましょう。

学費の不安を軽減する奨学金・教育ローン制度

養成校の学費は大きな負担となりますが、国や自治体、学校独自の奨学金制度を活用することで、経済的な不安を軽減できます。特に、卒業後に特定のエリアや医療機関で働くことを条件に、返済が免除される「修学資金貸与制度」を設けている病院や自治体もあります。これらは卒業後の就職先も確保できるメリットがあり、社会人には特におすすめです。

作業療法士の将来性とキャリアパス

作業療法士は、超高齢社会である日本において、今後も需要が高まり続ける専門職といえるでしょう。

超高齢化社会における作業療法士の将来性

日本の高齢化率は高まっており、リハビリテーションや生活支援の需要は増大しています。特に、病院から在宅・地域への移行が進む中、作業療法士は「その人らしい生活の再構築」を支援する専門家として、医療機関だけでなく、介護施設、地域包括支援センター、行政(主に保健所や保健センター)など、活躍の場を広げています。

目指せるキャリアパス例

資格取得後のキャリアパスは多様です。臨床経験を積んだ後、チームをまとめるリハビリテーション科の管理職を目指したり、特定の疾患や分野(精神科、小児、ハンドセラピーなど)の専門資格を取得し、スペシャリストとして活躍することも可能です。

作業療法士に向いている人物像

作業療法士に向いているのは、相手の気持ちに寄り添える共感性、そして人の生活全体を多角的に捉えられる観察力を持つ人でしょう。また、すぐに結果が出ないリハビリテーションの過程で、患者さんに寄り添い、一緒に努力を続けられる忍耐強さや、患者さんの意欲を引き出すための創造性も重要になります。

この記事では、作業療法士になるための4つのステップから、理学療法士との違い、養成校の選び方、社会人からの挑戦の可能性、そして将来性について解説しました。作業療法士は、人の生活を支え、自立した生活を支援するという価値のある専門職です。この記事を参考に、あなたの人生設計に合った最適な一歩を踏み出しましょう。

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ウェルミーマガジン編集部

執筆者:ウェルミーマガジン編集部

介護・看護・保育に関連するお役立ち情報や楽しいコンテンツを随時発信中!みなさんの『自分に合った「ここで働きたい!」に出会える』を目指します。求人サイト<ウェルミージョブ>は会員登録数180万!

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