【介護職向け】社会保険完備とは?加入条件や手取り額、扶養内勤務への影響を解説

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【介護職向け】社会保険完備とは?加入条件や手取り額、扶養内勤務への影響を解説

求人票で「社会保険完備」という記載があっても、どの保険が含まれ、ご自身の手取り額にどう影響するのか気になる方もいるのではないでしょうか。特に2024年10月の制度改正により、2026年時点では厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業などで、一定条件を満たす非常勤(パート・アルバイト)の方も社会保険の加入対象となっています。

この記事では、社会保険完備の定義や加入条件、介護職における手取り額や扶養内勤務への影響を解説します。

社会保険完備とは何を指すのか

求人票で使われる「社会保険完備」とは、一般的に、条件を満たす従業員が「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」に加入でき、勤務先を通じて「労災保険」が適用される状態を指します。これらは労働者が安心して働くための基本的な保障であり、介護現場において適切な雇用管理が行われているかを確認する一つの目安となります。

法律上は、健康保険・厚生年金保険を「社会保険」、雇用保険・労災保険を「労働保険」と分けて扱うことがあります。ただし求人票では、これらをまとめて「社会保険完備」と表記するケースが一般的です。

求人票の「完備」に含まれる主な4つの保険

求人票で「社会保険完備」と記載されている場合、主に以下の4つの保険を指します。これらは病気やけが、失業、老後など、生活上のさまざまなリスクに備えるための制度です。それぞれの主な役割は以下の通りです。

  • 健康保険:私生活での病気やけがの医療費負担を抑え、休業時の所得を一部保障します。
  • 厚生年金保険:老後の生活を支える年金に加え、障害状態になったときや死亡時にも給付が行われます。
  • 雇用保険:失業時の手当や、育児・介護休業中の給付金、資格取得の支援などを行います。
  • 労災保険:業務中や通勤時の病気やけがに対して、治療費の給付や休業補償などが行われます。

※出典:厚生労働省「知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識~(p19~22)

「社会保険あり」「各種社会保険完備」との違い

求人票には「各種社会保険完備」だけでなく「社会保険あり」と記載されることもあります。「完備」とあれば一般的に上記4つの保険すべてが対象になることを強調していますが、「社会保険あり」の場合、健康保険と厚生年金保険の2つのみを指しているケースや、一部の保険が含まれていないケースも考えられます。

求人票の記述だけで判断せず、雇用保険や労災保険を含む4つすべての要件を満たしているか、面接などで詳細を確認しておくと安心です。

※出典:厚生労働省「労働保険制度

介護職が社会保険完備を確認すべき理由

身体的な介助を伴う介護の仕事は、腰痛や感染症などのリスクと隣り合わせです。業務中や通勤中の病気やけがには労災保険、業務外の病気やけがで働けない場合には健康保険の傷病手当金などが活用できます。社会保険完備であることは、必要な保障を受けられる体制が整っているか、勤務先が法令に沿って雇用管理を行っているかを確認する重要なポイントです。

※出典:政府広報オンライン「パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象により手厚い保障が受けられます

介護職が社会保険に加入する条件

2024年10月から社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用対象が広がりました。これにより、これまで扶養内で働いていた方も、勤務先の規模によっては加入対象となるケースがあります。現在の働き方と照らし合わせて確認してみましょう。

常勤・非常勤別の社会保険加入条件

常勤の場合は、原則として健康保険・厚生年金保険に加入します。非常勤などの短時間労働者の場合、週の所定労働時間および月の所定労働日数が、常勤の4分の3以上であれば加入対象です。この「4分の3基準」を満たさない場合でも、一定の条件を満たすと加入対象となります。

※出典:日本年金機構「適用事業所と被保険者

短時間労働者でも社会保険に加入するケース

2024年10月の改正によって、非常勤などの短時間労働者が社会保険の加入対象となる企業規模は、「従業員数101人以上」から「51人以上」に引き下げられました。この従業員数は、厚生年金保険の被保険者数をもとに判断されます。2026年時点では、以下の4つの条件すべてに当てはまる場合、非常勤の方も社会保険への加入対象となります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円以上)であること
  • 2か月を超える雇用の見込みがあること
  • 学生ではないこと(※休学中の方、夜間・定時制・通信制の学生などは加入対象となる場合があります)

なお、厚生労働省は、月額賃金8.8万円以上の要件について今後撤廃する方針を示しています。現在も制度見直しに向けた議論が進められています。制度は変更される可能性があるため、最新情報も併せて確認しておくことをおすすめします。

※雇用保険については企業規模や月額賃金(8.8万円)の要件はなく、「週20時間以上かつ31日以上の雇用見込み」があれば加入対象となります。

※出典1:政府広報オンライン「社会保険の適用が拡大!従業員数51人以上の企業は要チェック
※出典2:厚生労働省「年金社会保険の加入対象の拡大について

介護職の夜勤手当や処遇改善手当は加入要件に含まれる?

社会保険の加入条件である月額賃金8.8万円は、基本給や毎月固定的に支払われる手当をもとに判断します。一方で、残業代や休日出勤手当、臨時的に支払われる賃金などは判定基準に含まれません。

介護職の場合、毎月固定的に支払われる「処遇改善手当」や「資格手当」などは所定内賃金として扱われ、月額8.8万円の加入判定に含まれる可能性が高くなります。「夜勤手当」については、毎月定額で支給される場合は判定に含まれますが、実際の夜勤回数に応じて変動する場合は判定基準に含まれません。ご自身の給与明細や雇用契約書などで、手当の性質を確認しておきましょう。

※出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト

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社会保険完備の職場で働くメリット

社会保険に加入すると、給与から保険料が差し引かれる一方で、病気やけが、失業、老後に備えるための公的な保障を受けられます。勤務先が健康保険と厚生年金の保険料を半分負担する点も、メリットの1つです。

制度名 主なメリット 注意点
健康保険 傷病手当金や出産手当金が受け取れる 扶養から外れる場合がある
厚生年金 将来の年金額が増え、障害状態になったときや死亡時の給付も受けられる 保険料の個人負担が発生する
雇用保険 失業給付や育児休業給付金を受けられる場合がある 一定の加入期間が必要
労災保険 業務中や通勤中の病気やけがに対する補償が受けられる 業務外の病気やけがは健康保険の対象となる

将来受け取れる老齢厚生年金の増額

厚生年金に加入すると、国民年金(老齢基礎年金)に加えて「老齢厚生年金」が上乗せされます。加入期間が長く、納める保険料が多いほど将来受け取れる年金額が増える仕組みです。厚生年金への加入は老後の生活を支える手助けになります。

※出典:日本年金機構「年金の併給または選択

病気やけがによる休業時の傷病手当金

社会保険(健康保険)に加入していると、条件を満たした場合に傷病手当金を受け取れます。業務外の病気やけがで3日以上連続して休み、4日目以降も仕事に就けない場合、支給開始日から通算で最長1年6か月にわたり給付が行われます。支給額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の「3分の2」に相当する額が、1日につき支給されます。

※出典:協会けんぽ「傷病手当金

雇用保険と労災保険による生活と雇用の保障

雇用保険に加入することで、退職した際の失業給付や、介護福祉士などの資格取得を目指す際の教育訓練給付金を利用できる場合があります。また労災保険が適用される職場で、万が一業務中や通勤中に病気やけがをした場合、治療費の給付や休業補償を受けられるため、金銭的な不安を抑えて治療に専念しやすくなります。

職場が保険料の半分を負担する

健康保険と厚生年金の保険料は、勤務先と従業員が半分ずつ出し合う「労使折半」という仕組みです。ご自身が負担する保険料と同じ額を勤務先も負担するため、国民健康保険や国民年金に個人で加入する場合と比べて、保険料負担と保障のバランスを保ちやすい仕組みといえます。

介護職の手取り額は社会保険加入でどう変わる?

社会保険完備の職場で働く際に気になるのは、給与から保険料が天引きされることによる手取り額の変化です。特に扶養内で働いていた方にとっては、手取り額が一時的に下がる、いわゆる「年収の壁」も確認しておきたいポイントです。

給与から差し引かれる社会保険料の目安

社会保険料は、月々の給与をもとに決定される「標準報酬月額」に対して一定の料率を掛けて算出されます。2026年現在の厚生年金保険料率は18.3%(労使折半で個人負担は9.15%)です。健康保険料も労使で折半する仕組みであり、本人負担はおおむね5%前後となります。これらに雇用保険料などを合算して控除額が決まります。

なお、保険料率はお住まいの地域や年齢によって異なるため、実際の控除額は個別に確認しましょう。

※出典1:日本年金機構「厚生年金保険料率(p1)
※出典2:協会けんぽ「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます

介護職の平均給与による手取り額のシミュレーション

厚生労働省の調査によると、介護職の平均給与額は常勤338,200円、非常勤196,060円です。ここでは、常勤の平均給与に近い「月給30万円」と、扶養内勤務との比較をしやすい、月額賃金8.8万円の基準を少し上回る「月給10万円(非常勤例)」をモデルとして、社会保険加入後の手取り額をシミュレーションします。

項目 月給30万円(常勤例) 月給10万円(非常勤例)
健康保険料 約15,000円 約5,000円
厚生年金保険料 約27,450円 約9,150円
雇用保険料 約1,800円 約600円
所得税・住民税 約15,000円 約1,000円
手取り額の概算 約240,750円 約84,250円

※保険料率はお住まいの地域や年齢により異なります。手当の支給額や居住地域の保険料率、残業時間の変動により実際の額は異なるため、入職前に雇用契約書などで確認してください。

※出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果(p126)

手取り額の減少への対策:扶養内で働くか社会保険に入るかの判断基準

パート・アルバイトで働く方が社会保険に加入すると、保険料負担により手取り額が減る、いわゆる「106万円の壁」や「130万円の壁」と呼ばれるラインがあります。手取り額の減少をカバーするには、勤務時間を増やして年収を一定以上(目安として125万円~130万円以上)まで伸ばす必要があります。

具体的な損益分岐点は、配偶者の扶養手当の有無や居住地の保険料率などで変わります。手取り額を優先してシフトを抑えるか、将来の年金増額などの保障をとって勤務時間を増やすか、ご自身の生活スタイルに合わせて選択することが大切です。

安心して働ける介護現場の見極め方

介護職は夜勤による不規則な生活や、身体介助に伴う腰痛、感染症対応など、心身への負担がかかりやすい仕事です。そのため、社会保険完備といった法定の制度だけでなく、職場独自の福利厚生や労働環境の整備状況も、働きやすさを測る重要な見極めポイントになります。

求人票や雇用契約書でチェックすべき項目

社会保険以外にも、介護現場ならではの手当や福利厚生があります。たとえば、「資格取得支援制度」がある職場では、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの受講費用を勤務先が一部負担してくれる場合があります。求人票や雇用契約書では、以下の項目も確認しておきましょう。

  • 夜勤手当・処遇改善手当・資格手当の支給条件が明記されているか
  • 有給休暇の取得状況や、腰痛予防・感染症対策の取り組みがあるか
  • 資格取得支援制度の対象資格や費用補助の範囲が明確か
  • パート・アルバイト勤務の場合、シフトを増やした際の社会保険加入ルールが明確か

面接で確認しておきたい保険加入のタイミング

社会保険は、条件を満たす場合、原則として「入職日(働き始めた日)」あるいは「加入条件を満たした日」から加入となります。しかし、手続き漏れなどを防ぐためにも、面接や内定時に加入のタイミングをすり合わせておくと安心です。

特にパート・アルバイト勤務を希望する場合は、「週20時間以上のシフトになった際、速やかに手続きされるか」「扶養内におさまるようシフト調整の相談ができるか」などを面接時に質問しておくことをおすすめします。

健康診断や相談窓口など独自の福利厚生も確認する

介護現場の実態に即した独自の福利厚生を設けている勤務先もあります。たとえば、インフルエンザ予防接種や健康診断の費用補助、腰痛対策用コルセットの支給、夜勤時の食事補助、メンタルヘルスケアの相談窓口などです。こうした現場の負担軽減に直結する制度の有無は、職員を大切にする職場かどうかを見極める一つの判断材料になります。

社会保険完備に関するよくある質問(FAQ)

社会保険の仕組みは複雑で、働き方によって疑問が生じやすいものです。介護職として転職や復職を検討している方からよく寄せられる質問をまとめました。

Q.試用期間中でも社会保険に加入できますか?

A.加入できます。勤務時間や雇用期間などの加入条件を満たす場合は、原則として採用された日(入職日)から社会保険の対象となります。試用期間を理由に加入手続きを先延ばしにすることはできないため、適切に手続きが行われるか入職前に確認しましょう。

※出典:日本年金機構「新規適用手続き

Q.手取り額を減らしたくないから加入しない選択はありますか?

A.社会保険の加入条件(週20時間以上かつ月額賃金8.8万円以上など)を満たしている場合、原則として個人の意思で加入を外れることはできません。加入を避けたい場合は、勤務時間やシフトを調整し、加入条件を満たさない範囲(扶養内など)で働けるか職場に相談する必要があります。

※出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

Q.退職金制度と社会保険完備は別の仕組みですか?

A.別の仕組みです。「社会保険完備」は公的な保険がそろっていることを意味します。一方、退職金は勤務先が独自に設ける制度であり、法律で義務付けられているものではありません。介護業界では「中退共(中小企業退職金共済制度)」などを利用して退職金を積み立てている勤務先もあるため、希望する方は個別に制度の有無を確認してください。

※出典:独立行政法人勤労者退職金共済機構「中小企業退職金共済制度

Q.扶養内で働きたい場合、何を確認すればよいですか?

A.ご自身の勤務時間と月額賃金、そして勤務先の企業規模(厚生年金保険の被保険者数が51人以上かどうか)を確認してください。週20時間以上かつ月額賃金8.8万円以上になる場合は社会保険の加入対象となる可能性が高まります。また、配偶者の勤務先から支給される家族手当などの条件も併せて確認しておくと、世帯全体の収入を把握しやすくなります。

※出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

この記事では、社会保険完備の定義や2024年10月の適用拡大を踏まえた加入条件、手取り額や扶養内勤務への影響について解説しました。社会保険は、将来の年金や万が一の病気やけがに備えるための大切な仕組みです。特に介護職として長く安定して働きたい方にとって、社会保険完備の職場を選ぶことは、ご自身のキャリアと生活を守ることにつながります。制度を正しく理解したうえで、ご自身に合った働き方ができる職場を探してみましょう。

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ウェルミーマガジン編集部

執筆者:ウェルミーマガジン編集部

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