今回取材させていただいたのは、静岡県にある「介護老人保健施設もくれん」。こちらは、医療法人社団「健寿会」を母体とする施設です。ほかにも、有料老人ホームなど複数の介護施設を手掛けています。 介護長の小野田さんと、介護主任の松山さんに、仕事のやりがいや温かいチームワーク作りの秘訣についてお話を伺いました。
お話を伺った方
介護長:小野田 三代子さん
介護主任:松山 雅さん
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ー 「もくれん」の事業内容について教えてください。
小野田さん: 私たちの施設は「健寿会」という創立37年の医療法人が運営しており、一番の強みは、何と言っても母体である「山の上病院」が徒歩2~3分のすぐ隣にあること。入所者様の体調に変化があった際も、迅速かつスムーズな医療連携が図れます。ご家族様からも「何かあってもすぐに病院で診てもらえる」「退院後も、また元の施設に戻れる」という安心感が決め手となって当施設を選んでくださったというお声をよくいただきます。法人としては、他にもグループホームや介護医療院などを静岡市内に総ベッド数829床を展開しており、地域の中で切れ目のない医療と看護・介護の連携を提供できる体制が整っているのも特徴です。
(明るい雰囲気で生き生きと語ってくださる小野田さん)
ー 松山さんは、もともと金融業界で働かれていたと伺いました。なぜ介護の業界を選ばれたのでしょうか。
松山さん: 私はこの「もくれん」が開設された14年前からお世話になっていますが、それ以前は金融業界で働いていました。当時は、朝早くから夜遅くまで、月末には朝帰りになることも当たり前でした。結婚して子どももいましたが、仕事に忙殺され、心身ともに疲弊してしまいました。 最終的にはドクターストップがかかり、1ヶ月ほど休職することに。その時に友人から「これからは介護の時代だよ。『ありがとう』と人に感謝される仕事だよ」と、ヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修)の取得を勧められたんです。それが、この業界に足を踏み入れる大きなきっかけとなりました。
ー 大きなキャリアチェンジですね。実際に介護の仕事を始めたときのことを詳しく教えてください。
松山さん: 正直なところ、最初は本当に大変でした。私は身体が小さいので、体力勝負のこの仕事が続けられるか、すごく悩みました。でも、一つひとつ、おむつ交換などの技術を身に付け、できることが増えていく中で、入所者様から「ありがとう」と声をかけていただける。その一言が本当に嬉しくて。「ああ、友人が言っていたのはこのことか」と実感しました。その小さな喜びの積み重ねが、私にとっての大きなやりがいになり、今日までこの仕事を続けてこられたのだと思います。
(介護士として働き始めた頃を思い返しながら語ってくださる松山さん)
ー 小野田さんは、子育ての時期も経て看護師として何十年も勤続されていると伺いました。長く働き続けられる一番の理由は何ですか?
小野田さん: 私がこの法人に長く勤められている一番の理由は、子育てへの理解が非常に深いからです。これはもう、他のどこにも負けない一番の魅力だと、自分で話していても思いますね。 子育ては思った以上に大変で、様々な悩みが尽きませんでした。でも、ここには同じように子育てをしながら働く仲間がたくさんいて、「わかるよ」と共感してくれたんです。 子どもの急な発熱で仕事を休まなければならなかった時、次の日に出勤すると、皆が「大丈夫だった?〇〇さん、元気になった?」と心配してくれる。これが本当に嬉しくて…。忙しい職場だと、どうしても「どうして休んだの?」という雰囲気があったりしますが、ここでは全く違いました。その温かさに救われ、かれこれ30年が経ちました。
ー 素晴らしい文化ですね。それは小野田さんが管理職になられた今も、大切に受け継がれているのですね。
小野田さん: はい。職員たちには「お子さんのことで何かあったら、仕事のことは気にしなくていいからね」と常に伝えています。「無理せずに、来れそうだったらでいいからね」と声をかけると、お母さんたちも安心して働きやすいようです。 今の職場は、短時間勤務や急なシフト変更にも柔軟に対応してくれる文化があります。それが結果的に、職員の定着に繋がり、施設の安定した運営を支えているのだと思います。
松山さん: 本当にそう思います。小野田介護長がいるからこそだと思っています。私も以前子育てとの両立でくじけてしまったことがありましたが、どんなに忙しくても話を聞いてくれるし、守ってくれます。それで助けられて長く続けられているんです。他の職員も同じように言っていますよ。
ー お休みは取得しやすいですか?
小野田さん: ここは他の施設より休日が多いと聞いています。土日祝日の日数分を、月の中でシフト休としてしっかり取ることができます。有給も、体調不良の時はもちろん、予定がある時に事前に希望を出せば調整してもらえます。かなり手厚い環境だと思います。
ー 中途採用の方も多いと伺いました。入社後の研修など、スムーズに業務を始められる取り組みはありますか?
小野田さん: 私たちの施設では、画一的な研修プログラムというものは設けていません。というのも、その方のスキルや経験値が全く違うからです。 そこで大切にしているのが、一人ひとりの実力に合わせたフォローです。一人の指導担当がつくというよりは、複数の先輩職員がプリセプターのような形で関わり、仕事ぶりをチェックしながら、その方のペースに合わせて業務を教えていきます。 経験が浅い方には、1ヶ月、2ヶ月と時間をかけてじっくりと基本を教えますし、経験豊富で即戦力となる方には、どんどんチームの中心として活躍してもらいます。その方の個性や実力をしっかりと見極め、柔軟に対応することが、結果的に一番早く職場に慣れてもらうための近道だと考えています。
ー お二人の間にも強い信頼関係が感じられます。職員間の連携を円滑にするために、工夫されていることはありますか?
小野田さん: 一番は、日々の「声かけ」などの「思いやり」ですね。これはもう、ひたすら意識的に行っています。特に新しい職員さんが入ってきた時は、フロアで孤立していないか、困っていないか、私自身もこまめに「どう?」と声をかけるようにしています。
松山さん: 私も全く同じです。声かけが基本だと思います。仕事の話はもちろんですが、その方の興味があること、例えば趣味の話などを通して、仕事以外のコミュニケーションも大切にしています。年代の違う職員から今の流行りを教えてもらうこともあって、私も勉強になります。
あとは何より、ネガティブな言葉を使わないようにしています。どんな時でも「ポジティブでいよう」と心がけています。その明るい雰囲気が、フロア全体のチームワークに繋がっていると感じます。
小野田さん: 介護長についていこうと思ってやっている人もいるので、その本人がネガティブな言葉を発していたらテンションが下がりますよね。だから私は絶対言わないようにしています。
(それぞれが大切にしているお考えを、笑顔で語り合う小野田さん(左)と松山さん(右))
ー 皆さんの「チームワーク」を支える、それぞれの価値観について教えてください。
小野田さん: 実は、入所者様のみならず、職員に感謝されるのがすごく嬉しいんです(笑)。だからこそ、なるべく私ができることは手伝います。それによって周りから「ありがとう」と感謝される存在でありたいといつも思っています。それが嬉しくて、また頑張れます。時には「私がいない時どうするの?」って言われるくらい、現場を手伝いすぎてしまうこともあるんですけどね(笑)。
松山さん: 私も似ていて、まずは自分から動いて「背中を見せる」という意識を常に持っています。言葉だけではなく、行動で示すことを心がけていますね。
小野田さん: あと、とにかく「楽しく」日々を過ごしたいと思っています。大きなイベントだけではなく、日々の中でも小さな楽しさを見つけて、「感謝」して「笑う」。真面目も大事だけど、良い意味で不真面目で明るくやりたいです。
ー 本日のロマンディスコ(※)のような取り組みも、その「楽しむ心」から生まれるのでしょうか?
小野田さん: はい、「楽しいことは取り入れましょう」という考え を大切にしています。日常生活において、感染対策の観点もあり、入所者様の行動はある程度制限されてしまっています。そんな中で、入所者様には非日常的なことをがんがん提供して差し上げて、どんどん刺激を与えたいと思っています。その結果、入所者様が明るくなると私たちも嬉しいです。
松山さん: みんなが楽しそうにしている雰囲気を感じると、とてもわくわくしますよね。入所者様もそうですが、職員もリフレッシュに繋がっていると思います。これからも何かイベントなどがあればどんどん協力していきたいです。
(※)ロマンディスコ:ご高齢者向けの音楽イベント。介護福祉士であるDJ玄(げん)さんが主催。撮影当日、会場は大変な熱気に包まれていました。
▼関連記事はこちらー 入所者様との関わりの中で、「この仕事をしていて良かった」と感じるエピソードがあれば教えてください。
松山さん: やはり、入所者様からの「ありがとう」という一言に尽きます。どんなに忙しくて、時にはイライラしてしまうことがあっても、その言葉をいただくと、全ての苦労が吹き飛んで、心が救われるんです。
小野田さん: 私も全く同感です。普段はあまりお話しにならない寝たきりの方が、おむつ交換をさせていただいた後に、ふと「さっぱりした。ありがとうね」と言ってくださることがあります。その瞬間の、胸が熱くなるような高揚感は、何にも代えがたい喜びです。 また、私は介護長という立場なので、職員が安心して、楽に働ける環境を作ることも大切だと考えています。例えば、認知症の症状が強い方への対応に職員が疲弊している時、私が間に入って医師と相談し、ケアの方針を立て直す。それによって現場の負担が軽くなり、職員の笑顔が増えた時に、大きなやりがいを感じます。もちろん、入所者様の安全と安心が第一ですが、それを支える職員の心身の健康を守ることも、同じくらい大切な私の仕事だと考えています。
ー 最後に、介護業界への転職を考えている方、「もくれん」で働いてみたいと考えている方へメッセージをお願いします。
小野田さん: 人を相手にする仕事なので、大変なこともつらいこともあります。でも、それ以上に「楽しい」と感じられる瞬間が、この仕事にはたくさんあります。私たちが求めるのは、何よりも「優しい気持ち」を持った方です。「私なんて優しくない」と思っている人ほど、実はとても優しい方だったりします。難しく考えず、一度この世界に飛び込んでみてください。待ってます!
松山さん: 私のように、全くの異業種から転職してきた職員もたくさんいます。「経験がないけど大丈夫かな?」と不安に思う方も、心配いりません。安心してチャレンジしてみてください。
(お話を伺った松山さん(左)と小野田さん(右))
【編集後記】
取材中、お二人のいる空間は、常に明るい雰囲気に包まれていました。「楽しいことは取り入れましょう」という価値観を大切にする小野田さん。その想いに応え、全力でサポートする松山さんやたくさんの職員の方々。今回の取材では、一人ひとりの想いが共鳴し合い、チームとなって施設全体を明るく照らしている様子が、とても印象的でした。職員自身が心から楽しむこと。それが最高のケアとなり、入所者様の笑顔に繋がっているのだと、強く感じさせられました。
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執筆者:ウェルミーマガジン編集部
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