全国で912拠点(※)を展開する、セントケア・ホールディング株式会社。今回取材させていただいたのは、神奈川県にある事業所、セントケア大船です。セントケア・グループは在宅介護を軸とした、多岐にわたる介護サービスを展開しています。その現場を支える、セントケア大船サービス提供責任者の伏見さんと、訪問介護ヘルパーの岡本さんにお話を伺いました。 ※グループ連結、2025年9月末日時点 。
お話を伺った方
サービス提供責任者:伏見和美さん
訪問介護ヘルパー:岡本文子さん
鎌倉市の北西部に位置する大船。
駅前は商業施設や商店街で賑わいながらも、少し歩くと閑静な住宅街が広がっています。この町で、在宅介護が必要な方に向けた訪問介護サービスを提供するのが、セントケア大船です。
(賑やかな商店街にあるセントケア大船事業所)
事業所を訪れると、笑顔で迎えてくれた伏見さんと岡本さん。お二方は、2025年にセントケア大船に転職されたばかりとのこと。事業所で面接を受けたことも、記憶に新しいそうです。
「面接のために事業所へ行ったときに、驚いたことがあって……」と岡本さんが話し出したエピソードに、伏見さんが「そういうところで職場の雰囲気がわかるよね」と相槌を打つ場面も。
今回はそんなお二人の転職エピソードから、セントケア大船の魅力に迫ります。
ー セントケア大船の事業内容について教えてください。
伏見さん:訪問介護、訪問入浴、居宅介護支援の3つのサービスを提供しています。私と岡本さんは訪問介護の担当です。同じ事業所の中に複数のサービスがあるので、必要に応じて各サービス間で情報連携しながら、そのお客様に対して「もっとも良いケアは何か」を考えています。
たとえば、私たちが訪問介護に伺う前に、訪問入浴のスタッフがそのお客様のお宅を訪問していれば、身体の状態や、声かけしたときの反応などを事前に聞くことができます。実際に以前、寝たきりの方について「こういう動きをする時にすごく力が入るご様子だった」といった情報を共有してもらっていたおかげで、食事介助をスムーズにできた例がありました。
ー 日々働かれていて、セントケア大船の「らしさ」をどのように感じていますか?
伏見さん:会社の方針として“お客様第一主義”を掲げており、研修でもすごく大事にしています。介護はサービス業であるという考えを根本にもっており、だからか職員は自然と、サービスを提供するお相手のことを「お客様」と呼んでいるんですよね。(ご本人様を目の前にしたら○○さんとお呼びします)
実際にお客様のお宅を訪問すると、日々困っていることについて相談を受けることが多々あります。たとえば洗濯や調理、掃除などを行う生活支援のサービスの中で「これが足りないから、買い物に行ってほしい」「爪が伸びているから切ってほしい」といったことを頼まれるのは日常茶飯事です。買い物のように、対応できることはできる限りお手伝いしますが、爪切りのように法令上できないこともある。セントケア・グループでは法令遵守を徹底しているので、ルール上できないことはきちんとお断りします。
ただし、たとえできなくても「そうですよね、困っていますよね」と、お客様の気持ちを受け止めることが大事です。内容によっては、上司やチームのみんなに報告し、サービスの改善に活かしたり、他サービスへ引き継ぎ対応をすることもあります。ただ「できません」と突っぱねるのではなく、お客様の気持ちにはできる限り寄り添っていこうとするのが、セントケア大船らしさかなと思います。
(日々の業務を思い返しながら落ち着いて語ってくださる伏見さん)
ー お二人はともに、2025年に入社されたと伺いました。
伏見さん:はい、私は2月に入社して、その後すぐに岡本さんが入ってきたんだよね。
岡本さん:そうです、私は4月に入りました。研修の時から今まで、わからないことは先輩のヘルパーさん達にいろいろ教えていただいています。
ー どのような経緯で入社を決めたのか、ぜひ詳しくお伺いしたいです。ではまず伏見さんから、転職のきっかけを教えてください。
伏見さん:以前は同じ大船エリアの別の会社で、13年ほど働いていました。さまざまな資格もそこで取得させてもらい、育てていただいたのですが、残念ながら閉業することになってしまって。サービス担当者会議を通じて、これまでいろいろな事業所の方とお会いする機会があったので、閉業が決まったときには、ありがたいことにいろいろな方からお誘いの声をかけていただきました。次にどこで働くのか、正直ものすごく迷いました。
その中で、セントケア大船で働く人たちの印象が、私には大きく残っていました。みなさん共通して温かみがあり、同時にプロフェッショナルとしての芯も持っている。とくに、今もセントケア大船にいるケアマネジャーさんの、お客様への寄り添い方がとても素敵で……。最後は直感で「この人たちと一緒に仕事をしたい」と思ったのが、入社の決め手でした。
仕事って、人間関係がうまくいかないと、やっぱり続けられないと思います。私の場合は、セントケアの人たちと関わってきた中で、『ここなら大丈夫』という感覚がありました。
ー 「温かみがあり、同時にプロフェッショナルとしての芯もある」とは?
伏見さん:お客様は、さまざまな思いや事情を抱えていらっしゃいます。たとえば「今はお風呂に入りたくない」と強くおっしゃる方など、お客様の気持ちは大切にしたいけれど、皮膚やお身体の状態を考えると、どうしても今日入浴した方がいい、というケースもあります。そんなとき“目の前のお客様にとって、本当に必要なこと”を考え、一歩前に出て、やるべきケアをする。そのような芯の強さを、セントケア大船のヘルパーさん、ケアマネジャーさんたちから感じたのです。
豊富な経験と知見を持っているスタッフさんが多いので「やるべきケアをやりきる」という姿勢があります。とくに、よく口にするのが「自分の家族ならどうするか」「自分が同じ立場ならどう感じるか」ということ。そういう視点を持てるのも、優しさと強さがあってこそではないでしょうか。
ー 同じエリアで働いていたからこその、実感のこもったお言葉ですね。では岡本さんは、どのような経緯で転職されたのでしょうか?
岡本さん:医療事務やコンビニ勤務を経て、子どもが生まれてから介護業界に転職しました。デイサービスで1年ほど働いて初任者研修を取得したのですが、訪問介護の事業所で働いていた友人の話を聞くうちに、だんだん興味が湧いてきて、転職を考えるようになりました。
(転職当時のことを振り返りながら丁寧に語ってくださる岡本さん)
ー 訪問介護のどんなところに興味を持ったのですか?
岡本さん:デイサービスで働いていたときに、一番自分に合わなかったのが、レクリエーションの時間だったんです。大勢の前でレクをするのが苦手、という自分の性格もあったかもしれませんが、同時に「“レクの時間だからやりましょう”と強制のような雰囲気にしてしまうのが申し訳ない」と、つい思ってしまって……。やりたくない方もいらっしゃるかもしれないのに、無理やりお客様に強いるようなことはしたくない、とモヤモヤしていました。
そんなときに友人から訪問介護の仕事について聞いて「一対一で、その人に向き合える」ところがいいな、自分に合っているかもしれない、と感じました。
ー 転職先にセントケア大船を選んだのは?
岡本さん:求人サイトで情報を見て、生々しい話ですが、最初は「時給」に惹かれました(笑)。そして実際に面接を受けたのですが、そのときに驚いたことがあって。事業所に入った瞬間に、働いていたみなさんがパッと立って、私に向かって「いらっしゃいませ」とお辞儀をされたんです。「えーっ、何ここ!」と本当にびっくりしました。
面接が終わって帰るときも、またみなさんがパッと立って、挨拶をしてくださって。きっと雰囲気の良い職場なんだろうな、ここでなら頑張れそう、とそのときに思いました。
伏見さん:そうそう、その感覚はとてもよくわかります。そういう何気ないところで、職場の雰囲気がわかるよね。
岡本さん:本当にそうですね。とくに私は、訪問介護に携わるのが初めてだったので、働いている方の雰囲気がよく、初対面の人にも温かく接していらっしゃるのを見て、すごく安心できました。
(面接当時の驚きを思い出し思わず笑みがこぼれる伏見さんと岡本さん)
ー 初めて訪問介護に携わって、大変だったことはありますか?
岡本さん:一番大変なのは、当たり前ですが毎回お客様のご自宅に伺うので、お宅への道を覚えることです。また、決まった時間内にやることが多く、お客様の状況に応じて臨機応変に対応しなければいけないところも大変でしたね。たとえば、30分のサービスの最初に排泄介助をするとしても、そのときどきの排便の有無や状況によって、洗浄や清拭にかかる時間が全然変わってきます。その後のケアもあるので、時間配分はすごく難しいと感じました。
また、ターミナルケアを必要とされる方への訪問には、不安も多かったです。伏見さんをはじめ、先輩方にその都度相談し、同行してもらって、ある程度自信がついてから一人で伺うようになりました。
伏見さん:研修が終わったらいきなり一人で訪問するのではなく、同行という形で、先輩ヘルパーと一緒にお客様のお宅を回ります。一律「◯回同行したら独り立ち」といった仕組みではなく、その人の経験や不安の度合いにあわせて決めています。とはいっても岡本さんはすごく優秀で、飲み込みが早く、数回で独り立ちしていたよね。
岡本さん:いえいえ、そんな。私はもともと新しいことを始めるのがすごく怖いタイプなんです。生活が変わると、気持ちに余裕がなくなって、子どもたちに八つ当たりしちゃうんじゃないかとか、いらない心配までしてしまって。
でも、セントケア大船では、悩みを一人で抱え込まず、すぐに相談ができる雰囲気なので、本当にありがたいです。伏見さんにもたくさん相談しましたよね。きっと私の見えないところで、動いてくださっていることもあると思うんですが、そのおかげで一つひとつ乗り越えていくことができました。
ー 素敵な先輩・後輩関係ですね。最後に、ここで働きたい方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。
伏見さん:セントケア大船の魅力の一つに、長く勤めていらっしゃるヘルパーさんが多くいることがあります。経験や技術を評価し、着実に昇給していく仕組みが会社にあること。また、ライフステージに応じて“細く長く”でも安定して続けられる環境があることの結果だと思います。一対一でお客様にしっかり寄り添っていく、優しさと強さのある先輩方がたくさんいらっしゃるので、安心していらしてほしいですね。
岡本さん:私も今は子育てとの両立のため、午前中のみ、また自宅から通いやすい範囲での勤務です。それでも、伸び伸びと働かせていただいています。私にとっては「ここで働く前の自分より、今の自分の方が好きだな」と思えた職場なので、転職活動をされる方にも、そんな場所をぜひ見つけていただけたらと思います。
(お話を伺った伏見さん(左)と岡本さん(右))
編集後記
真に相手のことを考え、必要なケアを推し進めていくこと。一対一で向き合うからこそできる、寄り添い方。転職にあたりお二人が惹かれたポイントには、通じるところがあるようにも見えます。「お客様第一」はサービス業でよく聞かれる言葉ですが、訪問介護という場面での“お客様第一主義”は、優しさだけでなく相手を思う強さも必要なのだと感じた取材でした。
関連キーワード
執筆者:塚田 智恵美(つかだ ちえみ)
1988年、神奈川県横須賀生まれ。大学卒業後、教育系出版社に入社し、編集者として勤務。2016年フリーランスの編集者・インタビューライターに。現在は教育業界に限らず、幅広く人物インタビューと執筆を行う。