子どもの放課後の預け先として、あるいはご自身の新しい職場として、「放課後児童クラブ」や「学童保育」を検討している方は多いでしょう。
この記事では、それぞれの名称の違いや働く際の給与、必要資格の違いについて解説します。
呼び方が違う理由は?正式名称と通称・地域ごとの違い
放課後児童クラブと学童保育は、呼び方が異なるだけで、基本的な目的や役割は同じです。ここでは、なぜ複数の呼び方が存在するのか、正式名称や通称の違いについて解説します。
正式には放課後児童健全育成事業
共働きなどで保護者が日中不在となる小学生に対し、放課後の遊びや生活の場を提供する事業を、児童福祉法では「放課後児童健全育成事業」と定めています。この事業を行う施設の正式名称が放課後児童クラブです。国や自治体の統計、公式書類ではこの名称が使われるため、制度を調べる際は覚えておくとよいでしょう。
※出典1:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)」
※出典2:e-Gov法令検索「児童福祉法(6条)」
学童保育は長年親しまれてきた通称
学童保育は、昭和30年代初頭から地域住民や保護者の運動によって普及した名称です。法律で定義された言葉ではありませんが、多くの人になじみがあり、看板や求人媒体、日常会話ではよく使われています。
※出典:厚生労働省「放課後児童クラブ運営指針解説書(改訂版)(p1)」
地域によって異なる放課後の預け先の名称
さらに名称を多様化させているのが、自治体による独自の愛称です。たとえば大阪市では「いきいき」、東京都の一部の区では「きっずクラブ」などと呼ばれています。施設の名称が違っても、自治体が関わる施設の大半は、法律上の「放課後児童健全育成事業」に該当します。
※出典1:大阪市「放課後児童クラブ(学童保育)」
※出典2:江東区「放課後全般・学童クラブ」
放課後児童クラブの運営主体・月額利用料・設置場所
放課後児童クラブには、自治体が直接運営するものから民間企業やNPO法人が運営に関わるものまで、さまざまな形態があります。ここでは、こども家庭庁が公表しているデータを基に、運営主体の内訳や月額利用料の目安、設置場所について解説します。
運営主体は公立公営・公立民営・民立民営の3つ
放課後児童クラブの設置・運営主体は大きく3つに分けられます。令和7年のデータによると、自治体が設置し民間が運営する公立民営が約52.2%と最も多くなっています。次いで、民間が設置・運営する民立民営が約25.4%、自治体が設置・運営する公立公営が約22.4%です。このように、民間事業者が運営に関わるケースが全体の7割以上を占めています。
-
公立公営:自治体が設置・自治体が運営
自治体が施設を用意し、直接運営する形態です。ここで働くスタッフは、自治体に直接雇用されます(公務員または会計年度任用職員など)。 -
公立民営:自治体が設置・民間が運営
施設は自治体が用意し、実際の運営はNPO法人、社会福祉法人、株式会社などの民間事業者に委託する形態です。現在の主流であり、スタッフは委託先の民間事業者に雇用されます。 -
民立民営:民間が設置・民間が運営
民間事業者が自ら施設を用意し、運営も行う形態です。
※ここでは自治体の基準を満たして補助金を受けて運営される放課後児童クラブを指します。
※出典:こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和7年5月1日現在)(p6)」
月額利用料は4,000円〜8,000円未満がボリュームゾーン
運営主体ごとの料金の違いはデータ上で公開されていませんが、放課後児童クラブ全体としての月額利用料の目安は以下の通りです。
| 月額利用料 | 割合 |
|---|---|
| 4,000円〜6,000円未満 | 26.2% |
| 6,000円〜8,000円未満 | 20.0% |
| 2,000円〜4,000円未満 | 17.3% |
全体の97.6%の施設で月額利用料の徴収が行われており、89.2%の施設では減免措置も設けられています。また、基本の月額利用料とは別におやつ代などの実費がかかる施設もあるため、事前に確認しましょう。
※出典:こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和7年5月1日現在)(p23)」
約半数の施設が小学校内に設置されている
設置場所については、学校の余裕教室(約27%)や学校敷地内の専用施設(約24%)など、小学校内への設置が全体の約51%を占めています。子どもが放課後に安全に移動できる環境が整っている点も、放課後児童クラブの大きな特徴です。
※出典:こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和7年5月1日現在)(p6)」
児童指導員の求人情報はこちら放課後児童支援員の給与水準・働き方・採用ニーズ
放課後児童クラブで働くスタッフの半数以上を占めるのが、専門資格を持つ「放課後児童支援員」です。ここでは、こども家庭庁のデータをもとに、現場で最も多く活躍している放課後児童支援員の給与水準や働き方、そして採用ニーズについて解説します。
| 運営主体 | 放課後児童支援員の賞与込み平均年間支給額(常勤・月給) |
|---|---|
| 公立公営 | 2,425,021円 |
| 公立民営 | 3,046,351円 |
| 民立民営 | 3,031,499円 |
※出典:こども家庭庁「放課後児童健全育成事業の運営指針の定着状況等に関する調査研究 報告書(p12)」
運営主体で異なる放課後児童支援員の平均年収
職員給与のデータによると、月給で働く常勤の放課後児童支援員の平均年間支給額(賞与込)は、全体平均で2,899,910円です。表の通り、運営主体別で比較すると、自治体が直接運営する公立公営よりも、民間事業者が運営に関わる公立民営や民立民営のほうが、給与水準が高い傾向にあります。
半数以上が非常勤として働く柔軟な勤務体系
雇用形態のデータを見ると、放課後児童支援員全体の約11.8万人のうち、常勤以外の非常勤職員は約6万人と半数以上を占めています。また、無資格でも働ける「補助員」に至っては、約8.8万人のうち約7.7万人が非常勤です。このことから、放課後のみの短時間勤務など、パートタイムとして柔軟に働きやすい環境が整っています。
※出典:こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和7年5月1日現在)(p14)」
待機児童が存在し採用ニーズは高い
放課後児童クラブの利用状況を見ると、令和6年に利用できなかった児童(待機児童数)は全体で16,330人となっています。前年比で1,356人減少したものの、依然として多くの待機児童が存在しており、受け皿の拡大には人員の確保が不可欠です。有資格の放課後児童支援員はもちろん、無資格の補助員も含めて、業界全体の採用ニーズは引き続き高い状態にあるといえます。
※出典:こども家庭庁「令和7年 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況(令和7年5月1日現在)(p1)」、「放課後児童対策パッケージ(p3)」
放課後児童クラブで働くために必要な資格と取得ルート
放課後児童クラブでは、専門資格である放課後児童支援員のほかに、無資格から始められる補助員というポジションもあります。ここでは、働く上で有利になる資格や、その取得方法について解説します。
専門資格の放課後児童支援員とは
放課後児童支援員は、放課後児童クラブに原則として配置が求められている専門資格です。都道府県が実施する「放課後児童支援員認定資格研修」を修了することで取得できます。子どもの発達段階への理解や安全管理、遊びを通じた育成など、現場で求められる専門知識を体系的に身につけられます。
※出典:厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「学童保育指導員」
保育士や教員免許を活かした資格取得ルート
保育士、社会福祉士、または各種教員免許(幼稚園・小学校・中学校・高等学校など)をお持ちの方は、実務経験がなくても認定資格研修を受講できます。これまでに培った教育や福祉の知見を活かし、短期間の研修を受講することで、放課後児童支援員としてスムーズにキャリアを広げられます。
※出典:こども家庭庁「放課後児童支援員に係る都道府県等認定資格研修ガイドラインの概要(p2)」
無資格や子育て支援員からスタートできます
資格を持っていない方も、補助員として働けます。特に、ご自身の子育て経験は現場で重宝される強みです。無資格から始められる補助員ですが、現場で働くにあたっては、基礎知識を身につけるために自治体が実施する「子育て支援員研修」を修了することが国から推奨されています。
ただし、施設によっては有資格者のみを採用条件とする場合もあるため、事前の求人確認は忘れずに行いましょう。
※出典:こども家庭庁「「放課後児童健全育成事業」の実施について(p4)」
【目的別】放課後児童クラブの選び方と確認ポイント
預け先や就業先を選ぶ際、「子どもを預けたい保護者」なのか、それともご自身が「働きたい求職者」なのかによって、重視すべき項目は大きく変わります。それぞれの目線で、ミスマッチを防ぐための必須チェックポイントを整理しました。
【保護者目線】預け先として選ぶ際の3つのチェックポイント
保護者の方が確認すべき点は以下の3つです。特に長期休暇中の対応は、自治体や施設によって差が出やすいため前もって確認しましょう。
- ①預かり時間:残業や通勤時間を考慮し、無理なくお迎えに行ける時間設定か。夏休みなど長期休暇中は朝から預かってもらえるか。
- ②安全性:学校から施設まで、および施設から自宅までの移動ルートの安全が確保されているか。
- ③教育内容と理念:自由遊び中心か、学習サポートがあるかなど、施設の過ごし方が家庭の教育方針と合っているか。
【求職者目線】就職・転職先として選ぶ際の3つのチェックポイント
求職者の方は、給与などの待遇面だけでなく、働きやすさに直結する以下のチェックポイントを確認しましょう。余裕のない現場はスタッフの負担が大きく、離職の原因になります。
- ①運営主体と方針:公営の委託先(安定性重視)か、独自に運営する民間企業(新しいプログラムに携わる)か。
- ②人員配置のゆとり:急な休みでも対応できるスタッフ数が確保されているか。
- ③研修制度の有無:特に無資格・未経験からスタートする場合、業務を学びながらステップアップできるサポート体制が整っているか。
見学や求人探しに向けて次に取るべきアクション
ご自身の目的に合わせて、次のステップへ進みましょう。どちらの場合も、実際の現場の雰囲気やスタッフの様子を知るため、事前の施設見学を強くおすすめします。
- 預け先を探す場合:住んでいる自治体のホームページや広報誌で施設一覧を確認し、市区町村の児童福祉担当窓口へ相談する。
- 就業先を探す場合:ハローワークや、保育・教育業界に特化した求人サイトを活用して希望の条件を絞り込む。
この記事では、放課後児童クラブと学童保育の名称の違いをはじめ、運営主体による月額利用料や給与の違い、働くために必要な資格について解説しました。
呼び方が違っても目的は同じですが、自治体が関わる施設か、完全に民間が運営するサービスかによって、預ける際の条件や働き方は大きく異なります。地域や施設によって実際の利用条件や採用基準は異なるため、まずは自治体の窓口や求人情報を確認し、ご自身の目的に合った施設を探してみましょう。
関連キーワード
執筆者:ウェルミーマガジン編集部
介護・医療・障害福祉・保育に関連するお役立ち情報や楽しいコンテンツを随時発信中!みなさんの『自分に合った「ここで働きたい!」に出会える』を目指します。求人サイト<ウェルミージョブ>は会員登録数180万!