保育士の労働時間は長い?平均残業時間や施設形態別の違いを解説

最終更新日
保育士の労働時間は長い?平均残業時間や施設形態別の違いを解説

保育士として働きたいけれど、長時間労働や残業の実態が気になって一歩踏み出せない方も少なくありません。また、現役で働いている方も「職場の労働時間は適切なのか」と疑問に思うこともあるでしょう。

この記事では、保育士の労働時間に関するデータやシフト例、施設形態ごとの違いなどについて解説します。

保育士の労働時間の現状

保育士の労働環境を理解するためには、公的なデータを確認することが大切です。ここでは、厚生労働省の調査に基づいた平均的な労働時間や残業の実態、近年の処遇改善による変化について解説します。

データから見る平均労働時間の推移

厚生労働省の調査によると、保育士(常勤)の1か月あたりの超過勤務を含まない所定内実労働時間は162時間となっています。これは一般的なフルタイム労働者と同水準ですが、園の行事や人手不足の状況により変動します。

※出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」

残業時間の平均値とサービス残業

公表されている月平均の残業時間は3時間程度ですが、あくまで支払われた残業代に基づく数値です。実際の現場では、書類作成などのサービス残業が問題視されている場合もあり、園によって差があります。

※出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」

処遇改善による労働環境の変化

近年、国は保育士の配置基準を見直し、4歳・5歳児に対する職員配置を30:1から25:1へ改善する方針を打ち出しました。これにより保育士の負担軽減が期待されているほか、ICT導入により事務作業などの効率化も進められています。

※出典:こども家庭庁「こども未来戦略」

保育士の一般的な勤務時間とシフト制

保育園の多くは開所時間が長いため、職員はシフト制であることが多いです。ここでは、保育士の代表的な働き方を紹介します。

早番・中番・遅番のシフト例

保育士のシフトは、早番・中番・遅番の3つが一般的です。以下の表でそれぞれのシフト例を確認しましょう。なお、下記はあくまで例であり、実際の時間は勤務先によって異なります。

シフト名 勤務時間例 主な業務内容
早番 7:00〜16:00 開園準備、登園対応、自由遊びの立ち会い
中番 8:30〜17:30 主活動、昼食・午睡(昼寝)の介助、降園対応
遅番 10:00〜19:00 延長保育の対応、園内の清掃、閉園作業

休憩時間のルール

労働基準法では、6時間を超える勤務で45分、8時間を超える勤務で60分の休憩が義務付けられています。しかし、午睡中も連絡帳の記入や会議があるため、離席して休む時間を確保しづらい職場もあるでしょう。休憩が取れない状況は労働基準法に抵触する可能性があるため、注意が必要です。

※出典:e-Gov「労働基準法(第三十四条)」

固定勤務制と時短勤務の仕組み

子育て中や介護中の方に配慮し、勤務時間を一定にする固定勤務制や、1日6時間程度に抑える時短勤務を導入している保育園もあります。正規職員でも、一定の条件を満たすことで、こうした柔軟な働き方を選べる場合があります。

保育士などの求人情報はこちら

施設形態別の働き方の違い

施設の種類によって、開所時間や業務量、休日の仕組みが異なります。自分に合った環境を選ぶために、それぞれの特徴を比較してみましょう。

私立保育園と公立保育園の違い

私立保育園と公立保育園では、運営主体や制度の違いにより、働き方に差が見られる場合があります。公立保育園は自治体が運営しており、勤務条件は公務員としての規定に基づいて定められます。一方、私立保育園は社会福祉法人や株式会社などが運営しており、就業規則や給与体系、行事の内容などは各保育園の方針により異なります。

幼稚園教諭と保育士の勤務環境の違い

幼稚園は、学校教育法に基づく教育施設であり、標準的な教育時間は1日4時間程度とされています。一方、保育園は児童福祉法に基づく福祉施設であり、保護者の就労などに対応して長時間の保育を行うことが一般的です。

そのため、幼稚園教諭と保育士では、子どもと関わる時間帯や業務の構成に違いが見られる場合があります。ただし、具体的な勤務時間や業務内容は、施設の運営方針や地域の実情によって異なります。

※出典:文部科学省「保育所と幼稚園の比較」

小規模保育所や企業内保育所の特徴

定員19名以下の小規模保育所や、社員の子どもを預かる企業内保育所は、一般的な保育園に比べて規模が小さく、業務の負担が少ない傾向があります。密度の高い保育ができる一方、少人数ゆえに急な欠勤の調整が難しい側面もあるでしょう。

持ち帰り仕事への対策と休日休暇の実態

多くの保育士が悩む「持ち帰り仕事」や、しっかりと休める環境の有無は、長く働くために確認が必要です。

持ち帰り仕事の負担軽減に向けたICT活用の推進

保育現場では、連絡帳や日誌、登降園管理などの業務について、ICTを活用したデジタル化が推進されています。こども家庭庁の資料でも、保育士の業務負担軽減や業務効率化を目的としたICT活用の重要性が示されています。

※出典:こども家庭庁「保育DX関連予算資料」

有給休暇の取得と産休・育休制度

有給休暇の取得については、厚生労働省の調査において、全産業で取得率が年々上昇傾向にあることが示されています。保育分野においても、働き方改革の影響を受け、休暇取得を促進する取り組みを行っている保育園もあります。

また、産休・育休制度については、法律に基づく制度として整備されており、保育園においても同様に適用されます。

※出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況(p8)」

土日祝日の勤務と振替休日

保育園の休園日は土曜・日曜・祝日が一般的ですが、土曜保育を実施している園では交代で出勤があります。平日に「振替休日」を取得できる仕組みがある保育園を選ぶと、週の労働時間が安定するでしょう。

保育士が働きやすい職場を見極めるポイント

求人票では見えない労働環境を判断するには、チェックすべきポイントがあります。無理なくキャリアを積むために、入職前に確認すべき項目と制度について解説します。

残業なしの職場を探す際のチェック項目

まずは平均残業時間だけでなく、ICTの導入状況や、保育補助や事務作業を担う職員が配置されているかを確認しましょう。業務を分担できる体制が整っているかどうかは、残業の発生しにくさに関わる要素の一つと考えられます。

また、見学時には職員の働き方や業務の進め方を観察することで、忙しさの傾向を把握する手がかりになります。

配置基準の緩和が働き方に与える影響

前述したように、令和6年度から保育士の配置基準が見直され、4歳・5歳児の保育士1人あたりの児童数が減少しました。この基準を満たす保育園では、子どもに向き合いやすい環境づくりが制度面からも進められています。結果として、残業の抑制にもつながる可能性があります。

※出典:こども家庭庁「保育提供体制の強化(p2)」

働きやすい環境を見極めるための相談先

現在の職場で労働時間に悩んでいる場合は、まず園長や主任に相談することが大切です。それでも改善が見られない場合は、各自治体の「保育士・保育所支援センター」など、公平な立場でアドバイスをくれる専門機関を活用する方法もあります。

この記事では、保育士の労働時間やシフト例、施設形態ごとの違いなどについて解説しました。国の制度改正やICTの普及により、長時間労働を減らし、より働きやすい環境へ整える動きがあります。この記事を参考に、自分の理想とするライフスタイルに合った職場環境を見極めましょう。

関連キーワード

ウェルミーマガジン編集部

執筆者:ウェルミーマガジン編集部

介護・医療・障害福祉・保育に関連するお役立ち情報や楽しいコンテンツを随時発信中!みなさんの『自分に合った「ここで働きたい!」に出会える』を目指します。求人サイト<ウェルミージョブ>は会員登録数180万!

保育士などの求人情報はこちら

関連記事