保育士の仕事に興味があるけれど、男性が少ない職場で長く続けていけるのか、将来の生活に十分な収入を得られるか不安ではありませんか。周囲に相談できるロールモデルが少なく、ひとりで悩みを抱える方も少なくありません。
この記事では、厚生労働省やこども家庭庁などの公的な統計データに基づいた男性保育士の現状や年収、キャリアアップについて解説します。
男性保育士の現状と将来性
保育現場における男性の割合は増加しており、かつての「女性の職場」というイメージは変わりつつあります。多様化する保育ニーズに応えるうえで、男性保育士の視点や、体力・防犯面での頼もしさは大きな強みです。ここでは、男性保育士を取り巻く現状や、求められている背景について解説します。
男性保育士の割合と推移
現在、保育士登録者に占める男性の割合は、こども家庭庁の調査によると全体の約5.2%です。保育士登録者全体が増加傾向にある中、男性の登録者数も平成26年の54,423人から令和6年には98,676人へと、過去10年間で約1.8倍に増加しており、着実に伸びていることがわかります。
※出典:こども家庭庁「保育士登録者数等(男女別)」
なぜ今男性保育士が求められているのか
保育ニーズの多様化に伴い、母子・父子家庭を含む多様な家族への対応、男性の保護者が相談しやすい環境づくりなどの役割が期待されています。
※出典:夙川学院短期大学「男性保育者が抱える課題の動向―日本における男性保育者研究レビューを通して―(p13)」
男性保育士は将来性のある仕事か
待機児童を減らすための対策から質の高い保育を実現する動きへと転換が進む中、保育士の需要は高い状態が続いています。令和8年1月時点の保育士の有効求人倍率は3.88倍であり、全職種平均である1.27倍を大きく上回っています。このような売り手市場を背景に、専門性を活かして働く男性保育士への期待も高まっています。政府による処遇改善も継続的に実施されており、男女問わず長期的なキャリアを築ける環境づくりが進んでいます。
※出典:こども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」
気になる男性保育士の給料と待遇
仕事を選ぶ上で、収入面は多くの方が重視するポイントです。厚生労働省の調査を基に、男性保育士の平均的な給料水準や、収入を底上げするための各種手当、支援制度について具体的に紹介します。
データで見る平均年収と男女差
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、男性保育士の平均年収は約450万円となっています。女性保育士と比較すると、勤続年数や役職の違いにより平均年収に差が出る場合もあります。
具体的な男女別の給与の目安と、全職種平均との比較は以下の通りです。
| 比較対象 | 年収の目安 | 月収(きまって支給する現金給与額) |
|---|---|---|
| 男性保育士 | 約450万円 | 約30万円 |
| 女性保育士 | 約427万円 | 約29万円 |
| 全職種平均 | 約428万円 | 約29万円 |
※「きまって支給する現金給与額」の12か月分+「年間賞与その他特別給与額」にて算出
※出典:厚生労働省(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」
処遇改善手当による収入アップの仕組み
保育士の給料を改善するため、国は処遇改善等加算という制度を設けています。経験年数や指定の研修を修了することで手当が加算される仕組みです。具体的な支給額や配分方法は事業所によって異なりますが、スキルを磨いて職務分野別リーダーや副主任保育士などを目指すことが、着実な収入アップにつながります。
※出典:こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について(p56)」
自治体独自の家賃補助や支援制度
保育士の確保に力を入れる一部の市区町村では、「保育士宿舎借り上げ支援事業」を実施しています。自治体によって設定額は異なりますが、月額最大7万5,000円の家賃補助を受けられるケースもあり、実質的な手取りの金額を増やせます。ご自身の就職・転職の際には、勤務を検討する地域の制度を確認してみましょう。
※出典:こども家庭庁「令和8年度保育関係予算概算要求の概要(p10)」
男性保育士として働くメリットと現場での注意点
男性が保育現場に加わることは、子どもの遊びを豊かにするだけでなく、保護者や同僚との関係性においても多くのメリットをもたらします。一方で、女性が多い職場特有の配慮すべきポイントもあります。具体的なメリットと、現場で意識したい注意点は以下の表の通りです。
| メリット | 具体的な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 体力・防犯面の強み | ダイナミックな外遊びを楽しめる・不審者対策での安心感がある | 体力仕事を一人で抱え込まず、周囲と分担する |
| 多様な視点 | 男性保護者の悩みに対する共感や、男性視点のアドバイスが可能 | 自身の価値観(男性視点)に偏らず、女性保育士と方針をすり合わせる |
| キャリアの安定 | 運営法人や園の規模によっては、将来のリーダーや管理職へのキャリアアップの機会がある | 昇進やマネジメントのみに気を取られず、現場での実務スキルも着実に磨く |
体力や防犯面で頼りにされる存在
男性保育士は、動きの大きい外遊びや緊急時の不審者対応など、体力と体格を活かした活躍が期待されます。重い荷物の運搬や行事の設営といった場面でも、現場運営を支える頼もしい存在となります。
男性保護者との信頼関係の築きやすさ
送り迎えに来る父親にとって、男性保育士は相談しやすい相手です。特に男性保護者からの相談においては、同性である男性ならではの視点で答えられる強みもあり、園に対する保護者の信頼感を高める役割を担います。
男児にとってのロールモデルとしての役割
家庭でも園でも女性と関わる機会が多い男児にとって、身近にいる大人の男性は貴重なロールモデルとなります。また、さまざまな大人と触れ合う経験は、子どもが自分らしさを肯定し、多様性を認める心を育む土壌になります。
保育士などの求人情報はこちら解決しておきたい悩みと注意点
男性保育士として働くうえで、特有の悩みや配慮すべきポイントも存在します。女性中心の職場環境でスムーズに仕事を進め、リスクを回避するためのアドバイスをまとめました。
周囲とのコミュニケーション不足は誤解を招く原因です。職場での立ち振る舞いに配慮し、子どもへの接し方のルールを確認しましょう。
女性中心の職場での人間関係のコツ
保育現場は女性の比率が高いため、丁寧な言葉遣いや清潔感のある身だしなみが重要です。あいさつや声かけを欠かさず、チームワークを重視した行動を心がけましょう。これらを意識することで、スムーズに信頼関係を築けます。
女児への介助や着替えに関する配慮
着替えや排泄の介助について、保護者の意向や園の方針を確認しておく必要があります。園によっては「男性による女児の介助」を制限している場合もあるため、事前に担当範囲を確認しましょう。特定の業務は女性スタッフと交代するなど、リスク管理と配慮を両立させる働き方を徹底することで、予期せぬトラブルを回避できます。
男性トイレや更衣室など設備面の確認
古い施設では男性用の更衣室やトイレが十分に確保されていない可能性があります。入職前の見学時に、プライバシーを守れる設備が整っているか、または代替手段があるかを必ず確認してください。
長く活躍するためのキャリアパス
保育士として長く働くには、将来の明確なビジョンが不可欠です。主任や園長といった役職を目指す道や、専門性を極める道など、キャリアアップの具体的なステップについて解説します。
キャリアアップには、実務経験に加えて制度を活用した研修の受講が欠かせません。以下の表は、一般的なキャリアの流れと、それに伴う待遇変化の目安を示したものです。
| ステップ | 必要な経験年数 | 目指せる資格・役職 | 手当の目安 |
|---|---|---|---|
| 若手・中堅 | おおむね3年以上 | 職務分野別リーダー | 処遇改善等加算の対象 |
| 副主任クラス | おおむね7年以上 | 専門リーダー・副主任保育士 | 処遇改善等加算の対象 |
| 管理職 | 10年以上 | 主任保育士・園長 | 役職手当など |
※出典:こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について(p22)」
保育士等キャリアアップ研修の活用
役職に応じた処遇改善手当の対象となるには、指定の「保育士等キャリアアップ研修」を受講する必要があります。「乳児保育」「障害児保育」「マネジメント」などの分野から必要な研修を選択して修了し、園からリーダーや副主任などの役職に任命されることで、キャリアアップと着実な昇給につながります。
※出典:こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について(p22、58)」
主任や園長を目指す管理職への道
運営法人や園の規模によっては、将来の園長候補として期待されるケースもあります。現場での保育スキルに加え、予算管理やスタッフ育成、保護者対応などのマネジメント能力を磨けば、年収アップにつながります。
専門性を高めてスペシャリストになる
管理職を目指す以外にも、療育や心理学、体育指導などの専門分野を極めるキャリアもあります。突出したスキルを持つ保育士は市場価値が高く、特定のニーズを持つ園への転職においても有利に働きます。
男性保育士に向いている人の特徴
自分に保育士が務まるのかと不安を感じる方へ、現場で活躍している男性に共通する資質を紹介します。保育は技術的なスキルも大切ですが、それ以上に「子どもと向き合う誠実さ」が求められる仕事です。誠実な姿勢があれば、経験やスキルは後から必ずついてきます。
以下のリストを参考に、ご自身の適性や強みをあらためて確認してください。
- 子どもが好きで、予想外の行動にも忍耐強く寄り添える
- 同僚や保護者と、相手を尊重した柔軟なコミュニケーションがとれる
子どもが好きで忍耐強く接することができる人
子どもは常に大人の思い通りに動くわけではありません。時には根気強く見守り、子どもの気持ちに寄り添い続ける忍耐力が不可欠です。子どもの成長を支えることにやりがいを感じられる人は、保育士に向いています。
柔軟なコミュニケーション能力がある人
保育はチームプレーです。同僚とスムーズに連携して子どもを守ったり、保護者の不安な気持ちに寄り添ったりするコミュニケーション能力が求められます。相手の立場を尊重しながら協力体制を築ける人は、どの園でも信頼される存在となります。
この記事では、男性保育士の現状から給料、キャリアパス、現場での注意点について解説しました。保育現場では多様な人材が求められており、処遇改善やキャリアアップ研修の充実によって、長く働ける環境が整っています。職場での立ち振る舞いに注意し、子どもへの配慮を怠らなければ、あなたの強みを活かして活躍できます。まずは、保育士として活躍できる園の求人情報を確認し、理想のキャリアへの第一歩を踏み出してみませんか。
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執筆者:ウェルミーマガジン編集部
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