院内保育のメリット・デメリットは?保育士と保護者の視点で解説

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院内保育のメリット・デメリットは?保育士と保護者の視点で解説

これからの働き方を模索する保育士や、仕事と育児の両立に悩む病院で働く職員にとって、職場に併設された院内保育所は有力な選択肢の一つです。しかし、一般的な保育園と何が違うのか、自分にとって本当にメリットがあるのか不安に感じる方も多いでしょう。

この記事では、院内保育の定義から、働く保育士・利用する保護者それぞれのメリット・デメリットまで解説します。

院内保育とは?認可保育園との違いと動向

院内保育とは、主に病院で働く職員の子どもを預かるために、病院内や近接地に設置された保育施設を指します。一般的な認可保育園とは、設置目的や運営形態、対象となる子どもが異なるため、まずはその基本構造と設置状況を正しく把握することが重要です。

※出典:厚生労働省「院内保育等の推進について

病院内に設置された保育施設の役割と種類

院内保育施設は、病院で働く職員の離職防止や復職支援を主な目的としています。運営方法としては、病院が直接管理する「直営」と、保育専門の法人へ運営を委託する「委託」があります。一方、制度上の区分としては、事業所内保育事業や認可外保育施設に分類されます。

データに見る院内保育所の設置状況

厚生労働省の調査によると、病院で働く職員の確保を目的とした院内保育所の設置は、大規模な病院を中心に進んでいます。令和5年(2023年)の調査では、全国の病院の約半数が、院内保育所の設置や外部施設との提携など、職員向けの保育環境を整備しています。

※出典:厚生労働省「令和5年(2023)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況(p21)

認可保育園や病児保育との違い

一般的な認可保育園との大きな違いは、対象者や開所時間の柔軟性、そして行事の規模です。また、病院に併設されていることから「病児保育」と混同されがちですが、基本的には健康な子どもを対象とした集団保育の場であるという点には注意が必要です。認可保育園との具体的な違いを以下の表にまとめました。

項目 院内保育所 一般的な認可保育園
主な対象者 病院で働く職員の子ども 地域住民の子ども
開所時間 病院の勤務シフトに準ずる(24時間保育対応の施設もあり) 原則として日中(延長あり)
行事規模 小規模・日常的な遊び中心 大規模・準備が必要な行事あり

保育士が院内保育で働くメリットとやりがい

大規模な園での行事準備や書類作成に追われ、子どもと向き合う時間が取れないと悩む保育士にとって、院内保育は魅力的な選択肢となります。少人数制ならではの落ち着いた環境で、一人ひとりの成長を丁寧に見守ることができるため、保育の原点に立ち返った働き方が可能です。

行事や書類業務が少なく子どもと向き合える

院内保育では、運動会や発表会といった大規模な行事が少ない傾向にあります。そのため、行事のための衣装作りや練習に追われることが少なく、自身の業務時間を圧迫しにくいのが特徴です。また、行事に付随する事前の企画書やプログラム、特別なおたよりなどの書類作成も不要になるため、業務の負担が大きく軽減されます。日々の遊びや生活習慣の指導といった「日常の保育」に注力でき、精神的なゆとりを持って子どもたちとじっくり向き合える環境が整っています。

交代制の勤務体制により、オンオフの切り替えがしやすい傾向がある

病院は24時間体制で動いているため、院内保育所でも保育士の勤務は交代制(シフト制)で管理されているのが一般的です。保護者である病院で働く職員の勤務が延長になった場合でも、保育士同士で業務を引き継ぐ体制が整備されている施設もあります。そのため、自身の勤務時間終了後の見通しが立ちやすく、仕事とプライベートの切り替えを明確にしたい人にとって適した環境と言えます。

少人数保育ならではのアットホームな環境

対象となる子どもの年齢層が幅広く、異年齢保育が行われることも院内保育の特徴です。大規模園のようなクラスという枠組みを超えて、異年齢の子どもたちが共に過ごす家庭的な環境の中で保育を行うことができます。子ども一人ひとりの性格や発達状況を深く理解できるため、信頼関係を築きやすく、保護者とのコミュニケーションも円滑になりやすいメリットがあります。

病院で働く職員を支える社会貢献度の高さ

病院という命を預かる現場で働く人々を支えることは、大きなやりがいにつながります。保護者である病院で働く職員から「安心して業務に専念できる」といった声をかけられる場面もあり、間接的に地域の医療体制を支えているという誇りを実感できます。専門職同士、互いの立場を尊重し合える関係性が、仕事の満足度を高めます。

知っておきたい保育士として働く際のデメリットと注意点

メリットがある一方で、院内保育特有のデメリットと注意点も存在します。特に勤務時間やキャリア形成の面では、一般的な保育園とは異なる適応が求められるため、自身の理想とするライフスタイルやキャリア像と照らし合わせて検討することが重要です。

夜勤や不規則な勤務による生活への影響

病院が24時間体制である場合、保育士にも夜勤が求められることがあります。深夜の預かりや宿泊を伴う勤務は、生活リズムが不規則になりやすく、体力的な負担を感じる場面もあります。夜勤手当による収入アップは見込めますが、自身の体調管理や家庭との調整が、働き続ける上での課題となります。

大規模行事がないことによる経験の限定

行事の少なさは業務負担の軽減につながる反面、保育士としてのスキルアップの面では慎重に考える必要があります。大規模なイベントの企画・運営や、年齢ごとの集団保育スキルを磨く機会は限られるため、将来的に定員数の多い認可保育園への転職や管理職を目指す際には、経験の幅に違いが出る点を考慮しておく必要があります。

運営主体によって雇用条件が大きく異なる点に注意

院内保育の求人を見る際は、運営主体によって給与や休日数などの雇用条件が大きく異なる点に注意が必要です。病院直営か、委託法人による運営かによって雇用主が異なるため、一概に「院内保育はこうだ」と判断できない難しさがあります。主な違いを以下の表にまとめました。

項目 病院直営 委託運営
雇用主 病院・医療法人 保育運営受託法人
待遇・雇用条件 医療法人の規定(賞与・休暇など)に準ずる 受託法人の規定(給与・休日など)に準ずる
福利厚生 病院の施設利用等の優待あり 受託法人の研修制度等が充実

「病院で働くから安心」と思い込まず、基本給だけでなく、年間休日数や特別休暇の有無、手当の条件など、自分の優先したい項目がどう設定されているかを慎重に見極める必要があります

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病院で働く職員が院内保育を利用するメリット

子育てをしながら病院でのキャリアを継続したい保護者にとって、院内保育は心強い味方となります。地域の保育園では対応が難しい特殊な勤務形態をカバーし、心理的・経済的な負担を軽減してくれる利点があります。

職場の近くに子どもがいる安心感と利便性

勤務する病院の敷地内や隣接地に子どもがいるため、送り迎えの時間が大幅に短縮されます。通勤と送迎を一本化できることは、多忙な病院で働く職員にとって負担軽減となります。また、万が一子どもが急に発熱した際も、休憩時間などを利用してすぐに様子を見に行ける距離感は、心理的な安心感につながります。

利用料金の抑えやすさと入園のしやすさ

院内保育所は福利厚生の一環として運営されているため、地域の認可外保育施設と比べて利用料金が抑えられているケースもあります。ただし、料金体系は病院や運営法人によって異なるため、事前の確認が重要です。また、地域の認可保育園を探す場合と比べて、「保活」の負担を軽減しやすい点も魅力です。職員枠が設けられている施設もあり、希望のタイミングで復職しやすいメリットがあります。

夜勤や急な残業にも柔軟に対応できる預かり体制

地域の保育園では19時や20時といった閉園時間が決まっていますが、院内保育所を設置している病院の約半数が、シフトに合わせて夜間保育も実施しています。急なオペの延長や夜勤の際も、外部のベビーシッターを探す手間なく安心して預けられるのは、病院で働く職員のための施設ならではの大きなメリットです。

病院で働く職員が院内保育を利用する際のデメリットと注意点

利便性の高い院内保育ですが、利用にあたっては将来のリスクや環境の違いを理解しておく必要があります。特に自身のキャリアの変更や子どもの教育環境を長期的に考えた場合、地域の保育園の方が適しているケースもあるため、慎重な比較が必要です。

退職や転職時に退園を余儀なくされるリスク

院内保育所は「病院の職員であること」が利用の条件です。そのため、自身のキャリアアップや家庭の事情などで病院を退職・転職する場合、施設によっては一定期間利用を継続できる場合もありますが、原則として退園が必要となります。年度の途中であっても新しい預け先を急いで探す必要があり、子どもの生活環境が変わってしまう点は、事前に想定しておくべきリスクといえます。

園庭の有無や集団生活の規模など設備環境の違い

病院内の限られたスペースを活用している施設が多く、専用の園庭がない場合があります。屋外遊びのために近隣の公園まで移動する必要があったり、遊具が少なかったりと、一般的な認可保育園と比べて設備が限定的になるケースがあります。また、異年齢保育はアットホームな良さがある反面、同年代との大規模な集団生活を経験させたいと願う保護者の希望とは合致しない場合も考えられます。

幼児教育・保育の無償化対象に関する確認事項

3歳児から5歳児(非課税世帯は0〜2歳児も含む)を対象とした「幼児教育・保育の無償化」において、院内保育所は主に以下の2つの施設形態に分かれ、それぞれ無償化の仕組みが異なります。

  • 一般的な認可外保育施設として運営されている場合
    自治体に届出を行い、国の定める「指導監督基準」を満たしている施設のみが補助の対象となります。3歳から5歳までの子どもは月額3.7万円まで、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額4.2万円までの利用料が無償化されます。
  • 企業主導型保育事業として運営されている場合
    国からの助成を受けている施設のため、対象となる年齢・世帯では、基本的な保育料が無償化の対象となります。ただし、延長保育料や食事代、行事費などは別途負担となる場合があります。

どちらの施設形態であっても、無償化の適用には保護者自身が自治体から「保育の必要性の認定」を受ける必要があるなど、事前の手続きが必須です。検討している院内保育所がどの形態にあたり、どのような手続きが必要になるのか、事前に病院の人事や自治体の窓口へしっかりと確認しておきましょう

※出典:こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化

院内保育が向いている人の特徴チェックリスト

これまでのメリット・デメリットを踏まえ、院内保育という選択が自分に合っているかどうかを判断するための指針をまとめました。現状のライフスタイルや理想のキャリア像と照らし合わせて、最終確認を行ってみましょう。

院内保育の適性確認チェックリスト

【保育士として働く場合の適性】

  • □大規模な行事の準備よりも、日々の丁寧な保育に注力したい
  • □交代制(シフト制)による勤務時間の管理や、オンオフの切り替えを重視したい
  • □異年齢の子どもたちが触れ合う家庭的な環境で働きたい
  • □夜勤や不規則な勤務形態に対して、自身の体調管理や生活の調整が可能である

【保護者として利用する場合の判断基準】

  • □送迎時間を短縮し、子どもとの時間や自身の休息を少しでも確保したい
  • □夜勤や急な残業が発生した際、柔軟に対応してもらえる安心感を優先したい
  • □退職・転職に伴う「退園リスク」を理解しており、現在の職場で長期的に働く意思がある
  • □園庭の有無など、施設の設備環境が自身の教育方針と合致している

【運営形態・条件の最終確認】

  • □病院直営か委託法人運営か、それぞれの雇用条件や福利厚生の違いを確認した
  • □検討している施設が「幼児教育・保育の無償化」のどの区分に該当するか確認した
  • □実際の園の雰囲気や外遊びの状況を、見学などを通じて把握している

この記事では、院内保育のメリット・デメリットを保育士と保護者の両方の視点から解説しました。院内保育は、丁寧な保育を実践したい保育士や、安心してキャリアを継続したい病院で働く職員にとって、非常に魅力的な選択肢です。一方で、夜勤の負担や退園リスクなど、特有の注意点も理解しておく必要があります。まずは気になる病院や運営法人の情報を集め、ご自身のライフスタイルに合うか検討してみましょう。

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ウェルミーマガジン編集部

執筆者:ウェルミーマガジン編集部

介護・医療・障害福祉・保育に関連するお役立ち情報や楽しいコンテンツを随時発信中!みなさんの『自分に合った「ここで働きたい!」に出会える』を目指します。求人サイト<ウェルミージョブ>は会員登録数180万!

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