認知症介護基礎研修と初任者研修の違いは?義務化の背景と選び方を解説

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認知症介護基礎研修と初任者研修の違いは?義務化の背景と選び方を解説

介護現場で働く際、無資格・未経験からスタートするケースも少なくありません。現在も働き始めることは可能ですが、令和6年度より制度が変わり、「認知症介護基礎研修」の受講が完全義務化されました。これから介護職を目指す方や、現場で働き始めたばかりの方は「認知症介護基礎研修だけでいいの?」「介護職員初任者研修(以下、初任者研修)と何が違うの?」と迷うことも多いでしょう。

この記事では、認知症介護基礎研修と初任者研修の違いを、費用、受講期間、将来性などの観点から解説します。

認知症介護基礎研修と初任者研修の主な違い

認知症介護基礎研修と初任者研修は、どちらも介護の基礎を学ぶための研修ですが、その深さと目的が異なります。

研修の目的と対象者の違い

認知症介護基礎研修は、令和6年度から無資格で介護業務に従事する職員に対して受講が完全義務化された「認知症ケアの最低限の知識」を身につけるための研修です。

一方で初任者研修は、介護職としてのキャリアの第一歩となる「介護の網羅的な基礎知識と技術」を習得するためのものです。認知症介護基礎研修が認知症ケアに特化しているのに対し、初任者研修は食事や入浴の介助といった身体介助の技術まで幅広く含んでいます。

受講期間とカリキュラム

受講に必要な時間には大きな差があります。認知症介護基礎研修は、「eラーニング」が主流で、自治体によって違いはあるものの、受講時間はおおむね150分程度です。そのため、標準的なカリキュラムであれば1日で修了可能です。

一方、初任者研修は合計130時間の受講が必要です。期間にすると、週3〜4日の通学で1か月程度、働きながら週1回の通学などであれば3〜4か月程度の期間を要するのが一般的です。

※出典:厚生労働省「介護に関する資格等について(p1)」「介護保険最新情報 (別紙1)」

受講費用の目安

認知症介護基礎研修は自治体や受講方法によって異なりますが、おおむね3,000円前後が相場となっています。初任者研修も、受講先や時期によって異なりますが、3万円〜10万円程度の受講料がかかることが一般的です。

受講方法の柔軟性

前述したように、認知症介護基礎研修は「eラーニング」が主流で、スマートフォンやパソコンを使って自宅で受講できます。一方、初任者研修は、座学の一部は通信学習が可能ですが、おむつ交換や移乗介助などの実技演習が含まれるため、一定日数の「スクーリング(通学)」が必要になります。

比較項目 認知症介護基礎研修 初任者研修
受講時間 約150分 130時間
受講費用の目安 3,000円前後 3万円〜10万円
学習内容 認知症ケアに特化 介護全般の基礎知識・実技
受講形態 主にeラーニング 通信学習 + スクーリング

※自治体や実施団体により異なる場合があります

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完全義務化された認知症介護基礎研修とは

介護現場において認知症ケアの質を底上げするため、令和3年度の介護報酬改定で「認知症介護基礎研修の義務化」が決定されました。3年間の経過措置期間を経て、令和6年4月から完全義務化となっています。

無資格者は受講が必須となる背景

日本の高齢化に伴い、認知症の方は増加しています。こうした状況を受け、専門的な知識を持たずにケアにあたるリスクを防ぎ、認知症への理解に基づいた本人主体の介護を実現するため、認知症介護基礎研修の受講が義務化されました。現在は、新しく入職した無資格者に対して、1年以内の受講が求められています。

※出典1:厚生労働省「認知症介護基礎研修受講義務付けの効果に関する調査研究事業(p1)」
※出典2:公益財団法人介護労働安定センター「介護に関する資格等について(p1)」

受講が免除される資格

すべての介護職が受講しなければならないわけではありません。すでに一定以上の介護知識を有しているとみなされる有資格者は、この研修が免除されます。主な免除対象は、初任者研修修了者、介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)修了者、介護福祉士取得者などです。また、看護師や准看護師、社会福祉士といった医療・福祉系の資格保持者も対象外となります。

受講しなかった場合の法的・実務的リスク

対象となる職員が期限内に受講しなかった場合、運営基準違反とみなされ、運営指導における改善指示の対象となるなどのリスクがあります。また、勤務先から受講を指示された場合、それに従うことが雇用契約上の義務となるケースもあります。多くの事業所では、無資格で入職した職員に対し、早期に受講させる体制を整えています。

どっちを選ぶ?あなたに合った研修の選び方

あなたのキャリアプランや現在の生活状況によって、優先すべき選択肢は変わってきます。ここでは、それぞれの研修がどのような人に向いているかを整理します。

短期間で手軽に義務化対応したいなら認知症介護基礎研修

「まずは介護の現場を体験してみたい」「自分に合っているか試したい」という未経験者の方は、まず認知症介護基礎研修から受講するのが効率的といえます。最大のメリットは、数時間のeラーニングで修了できるスピード感です。また、勤務先が受講費用を負担してくれる場合もあるため、自己負担を最小限に抑えて介護職としての第一歩を踏み出せます。

長期的なキャリアと収入向上を目指すなら初任者研修

将来的に介護福祉士などの国家資格を目指している方や、少しでも好条件で働きたい方は、最初から初任者研修を受講することを検討しましょう。初任者研修を修了すると、月数千円の資格手当が支給されるケースもあります。また、訪問介護などで働きたい場合は、初任者研修の修了が基本的な条件となるため、選べる求人の幅も広がります。認知症介護基礎研修と比較して、初期費用と時間はかかりますが、長期的に見ればそのメリットは大きいといえます。

認知症介護基礎研修と初任者研修のステップアップの流れ

介護業界においては、段階を追ってスキルアップを目指すことが可能です。研修を一つひとつ修了することで、知識の定着も図ることができます。

認知症介護基礎研修から初任者研修へ進むメリット

認知症介護基礎研修で「認知症ケア」を学んだ後に初任者研修を受けると、具体的な業務と結びつけて学べるため、認知症ケアについてさらに理解を深められるでしょう。たとえば、介助方法を学ぶ際も「認知症の方ならどう声をかけるか」という視点が自然と持てるようになる可能性が高いです。このステップを踏むことで、現場での対応力が高まります。

初任者研修の後に目指せる資格

初任者研修の先には「実務者研修」という上位研修があります。これは、実務経験ルートで介護福祉士国家試験を受ける際の必須要件です。実務者研修では、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアについても学びます。認知症介護基礎研修、初任者研修、実務者研修、そして国家資格である介護福祉士の取得といった段階を踏むことによって、専門性も証明できるようになり、介護現場における欠かせない戦力へと成長していけるでしょう。

認知症介護基礎研修と初任者研修に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、認知症介護基礎研修や初任者研修に関するよくある質問について回答します。

Q.eラーニングはスマートフォンでも受講できますか?

A.はい、現在普及している認知症介護基礎研修のeラーニングの多くは、スマートフォンやタブレットからの受講に対応しています。Wi-Fi環境があれば、自宅や休憩室など、場所を選ばずに学習できます。

Q.不合格になった場合はどうしたらよいですか?

A.これらの研修は「選別のための試験」ではなく「ケアの質を担保するための学習」の意味合いが強いといえます。認知症介護基礎研修の確認テストは、講義を視聴していれば十分に回答可能なレベルです。もし不合格となってしまった場合でも、再受験ができます。

初任者研修の修了試験も同様に、不合格者を出すことが目的ではなく、理解が不足している箇所を補うために行われます。万が一合格点に達しなくても、補講や再試験の体制が整っている学校が多いです。

Q.研修を受けるタイミングは入社前と入社後、どちらがいいですか?

A.どちらのタイミングでも受講は可能ですが、少なくとも入社後1年以内に認知症介護基礎研修は受講する必要があります。事業所が受講時間を業務として扱ってくれたり、費用を補助してくれたりする場合もあるため、事前に確認するのもおすすめです。

一方で、就職活動を有利に進めたい方や、最初から身体介助の仕事に就きたい方は、入社前に初任者研修を修了させておくとよいでしょう。自身の経済状況と、いつから働き始めたいかの希望に合わせて判断しましょう。

この記事では、認知症介護基礎研修と初任者研修の違い、そして制度変更後の適切な研修の選び方などについて解説しました。どちらの研修にチャレンジするにせよ、この介護業界で活躍するための第一歩となります。今後のキャリア決定に、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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ウェルミーマガジン編集部

執筆者:ウェルミーマガジン編集部

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