将来の収入への不安や、空いた時間を有効活用してスキルを磨きたいと考えたりしていませんか。特にシフト制で働く介護職の方にとって、複数の職場を掛け持ちする働き方は身近な選択肢となっています。一方で「税金で損をしないか」「ダブルワークしてもいいのか」と不安を抱える方もいるでしょう。
この記事では、ダブルワークの定義や副業との違い、介護職特有の注意点を解説します。
ダブルワークとは?言葉の意味と副業や兼業との違いを解説
ダブルワークには、法律上の厳密な定義があるわけではありません。一般的には、どちらかを本業と決めず複数の仕事を掛け持つ状態を指します。まずは、似た言葉である副業や兼業との違い、パラレルキャリアや複業についても整理しましょう。
ダブルワークの定義と働き方の特徴
ダブルワークとは、一般的には「2つの仕事を並行して行うこと」を指します。特にアルバイトやパートなど、非正規雇用の仕事を複数掛け持ちする場合に使われることが多い表現です。特定の「本業」を定めず、複数の収入源を並行して維持する働き方が特徴とされています。
厚生労働省のガイドラインを基に副業や兼業との違いを解説
厚生労働省のガイドラインでは、ダブルワークではなく「副業・兼業」という表現が用いられています。法律上の厳密な使い分けはないものの、一般的に副業は本業の就業時間外に別の仕事をすること、兼業は本業と同程度の比重で別の仕事を持つことを指す傾向があります。現在、政府は労働者のキャリア形成や所得増大を目的に、これらの柔軟な働き方を推進しています。
※出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説(p4)」
パラレルキャリアや複業との違い
パラレルキャリアは、報酬のみを目的にせず、自身のスキルアップや社会貢献活動を並行するキャリア形成を指します。一方で「複業」は、それぞれの仕事を独立した専門業務として担う意味合いで使われます。ダブルワークを含め、いずれも「1つの組織に依存しない」という共通点はありますが、その目的や専門性の高さに明確な違いがあるといえます。
介護職がダブルワークをするメリットと働き方の例
介護業界では需要があり、施設によっては「週1回からOK」「夜勤のみ歓迎」といった求人も見られます。そのため、介護職にとってダブルワークは選択肢の1つといえます。
複数の施設で経験を積みスキルアップできる
1つの施設だけで働いていると、その職場のルールやケアの方法に偏りがちです。ダブルワークでデイサービスと特別養護老人ホームを掛け持つなど、異なる形態の施設を経験することで介護技術の幅が広がり、幅広い現場で活かせる応用力が身につきやすくなります。
効率的に収入を増やし生活の安定を図れる
介護職には夜勤手当や資格手当があり、これらをうまく組み合わせることで効率的な収入アップが期待できます。たとえば、休日の前日に他施設で1回夜勤に入るだけで、月に数万円の増収が見込める場合もあります。ただし、多重就労による疲労は予期せぬ介護事故につながる恐れがあるため、無理のない範囲でのスケジュール管理が必要です。
介護現場でよくある掛け持ちのモデルケース
代表的な例としては「訪問介護+施設介護」や「介護職+接客業」があります。介護の仕事は体力を使うため、一方は身体介護のない事務や見守り中心の仕事を選び、身体的な負担を分散させるような組み合わせ方も有効です。ここでは、目的別に合わせた掛け持ちの組み合わせ例をご紹介します。ご自身の体力や目標に合った働き方の参考にしてください。
| 働き方例 | 仕事A(メイン) | 仕事B(サブ) | 期待できるメリット |
|---|---|---|---|
| 専門特化型 | 特養など | 訪問介護 | 1対1のケアスキル向上 |
| 体力温存型 | グループホーム | 介護事務・受付など | 身体的負担の軽減 |
| 高収入型 | デイサービス | 夜勤専従(週1回など) | 夜勤手当による収入アップ |
損をしないために知っておきたい税金と社会保険の注意点
ダブルワークを始めると、税金と社会保険の手続きについて理解が必要になります。特に近年の社会保険の適用拡大などの制度改正も進んでいるため、最新情報を押さえておくことが大切です。
確定申告が必要になる所得20万円のボーダーライン
本業の会社で年末調整を受けている場合でも、副業先での所得(収入から経費を引いた額)が年間20万円を超える場合は、自分で確定申告を行う必要があります。介護職の多くは給与所得者であるため、2か所以上から給与を受け取っている場合は原則として申告が必要になると理解しておくとよいでしょう。
なお、所得が20万円以下で確定申告が不要な場合であっても、お住まいの自治体への「住民税の申告」は必要になる場合があるため、手続き漏れを防ぐため、不明な場合はお住まいの自治体に確認しましょう。
※出典:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
制度改正で変わる年収の壁と新たな加入要件
これまで社会保険(健康保険・厚生年金)には、「106万円・130万円の壁」が存在していました。しかし段階的に進む制度の見直しにより、企業規模の要件や賃金要件の撤廃が進んでいます。現在では年収の額面に関わらず、「週の労働時間が20時間以上」などの条件を満たせば、パートやダブルワークでも社会保険の加入対象となるケースがあります。
また、家族の扶養に入っている場合の「130万円の壁」についても、働き方の多様化に合わせて見直しが続いています。ご自身が希望する手取り額や働き方を維持するためには、年収の調整だけでなく、最新の制度動向を踏まえた「労働時間」を基準とするシフト管理が求められます。
※出典:厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト パート・アルバイトの方への社会保険の適用について」
雇用保険はいずれかの職場で加入するルール
雇用保険は社会保険と異なり、複数の職場で二重に加入することは原則としてできません。「週の労働時間が20時間以上」などの条件を満たしているメインの職場で加入するのが一般的です。
※出典:厚生労働省「Q&A~事業主の皆様へ~」
介護職員・ヘルパーの求人情報はこちらダブルワークを始めるためのチェックポイント
トラブルなくダブルワークを続けるためには、事前に確認しておくべきことがいくつかあります。現職のルールや各種手続き、そして自分自身の健康を守るためのポイントを見ていきましょう。
チェック1:本業の就業規則で副業規定を確認する
原則として、就業時間外の行動は個人の自由とされていますが、就業規則によって副業や掛け持ちを制限しているケースもあります。職務専念義務に反してトラブルになるのを防ぎ、安心して働き始めるためにも、まずは自身の勤め先の規則を確認し、必要に応じて上司に相談することが大切です。
チェック2:住民税や社会保険の手続きへの影響を把握する
掛け持ちをすると、本業の勤務先に税金や社会保険の手続きで影響が出る場合があります。確定申告時に住民税を「自分で納付(普通徴収)」にしようとしても、自治体の運用によっては認められないケースがあります。また、両方の職場で社会保険の加入条件を満たした場合は「二以上事業所勤務届」の提出が必要になるなど、雇用元をまたいだ手続きが発生する点に留意しましょう。
※出典:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
チェック3:無理のないスケジュールと休日を確保する
体力を要する介護の仕事では、2つの職場を行き来することで休息時間が減りがちです。労働基準法では、異なる職場であっても労働時間は通算されるという原則があります。予期せぬ事故やけがを防ぎ、安全に働き続けるためにも、自分自身で意識的に休日を確保し、無理のないスケジュールを組みましょう。
チェック4:介護職員等処遇改善加算などの手当や支給条件を比較する
介護職特有の介護職員等処遇改善加算などは、職場ごとに支給ルールが異なります。パートやダブルワークの介護職にも支給される職場もあれば、一定の労働時間を条件としている職場もあります。副業先を選ぶ際は、基本給や時給だけでなく、各種手当の有無や支給条件も事前に確認しておくと安心です。
自分に合ったダブルワークを見つけるステップ
最後に、ダブルワークの始め方をまとめます。自身の目的を明確にしてから仕事を探すことが、無理なく継続のコツです。
希望する月収と労働時間のバランスを明確にする
「月にあと3万円ほしい」のか「社会保険に加入する範囲で働きたい」のか、目標を決めましょう。それによって、選ぶべき職種や勤務回数が見えてきます。目標額を決める際は、税金や社会保険料の負担が増える可能性も考慮して計画を立てることが大切です。
介護業界特有の加算制度や手当を事前に確認する
求人を見る際は時給だけでなく手当の内容も確認しましょう。介護職員等処遇改善加算などの加算金が、介護職にどう配分されるかは職場によって異なります。また、交通費の支給上限もダブルワークでは重要な比較ポイントになります。
専門家のアドバイスを活用して理想の働き方を目指す
働き方に関する制度を正確に把握し、自分に合った職場を探すには手間がかかる場合があります。介護業界に詳しいキャリアアドバイザーや求人サイトを活用すると、ダブルワークに理解のある職場をスムーズに見つけやすくなるでしょう。働き方に関する不安もプロに相談することで、安心して新しい一歩を踏み出せる可能性があります。
介護現場のダブルワークに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、介護現場でダブルワークを検討している方から寄せられる、よくある疑問にお答えします。働き方の多様化に合わせて、労務や社会保険に関するルールも変化しているため、最新の情報を把握しておくことが大切です。
Q.派遣社員やパートの掛け持ちは可能ですか?
A.法律上、派遣社員やパートの掛け持ち自体は禁止されていません。ただし、派遣会社によっては契約で他社での就業を制限しているケースがあります。また、複数の仕事を組み合わせる場合は、合計の労働時間が長くなりすぎないよう、ご自身での適切な時間管理が求められます。
Q.夜勤専従と日勤のダブルワークは法律的に問題ありませんか?
A.掛け持ち自体は可能ですが、労働基準法で定められた休憩時間や休日の確保が前提となります。特に、夜勤明けにそのまま別の職場で日勤に入るような連続したシフトは、疲労による予期せぬ事故につながる恐れがあります。そのため、労働者の健康と安全を守る観点から、十分な休息が取れないシフトの組み合わせは控えるのが一般的です。
Q.掛け持ちが勤務先に知られる可能性はありますか?
A.税金や社会保険の手続きの過程で、掛け持ちの事実が本業の勤務先に伝わる可能性はあります。確定申告時に住民税を「自分で納付(普通徴収)」にしようとしても、給与所得に関しては自治体の運用によって認められないケースもあります。また、両方の職場で社会保険の加入条件を満たした場合は「二以上事業所勤務届」の提出が必要となり、事務手続き上、勤務先に通知が届くことになります。トラブルを避け、安心して長く働くためには、柔軟な働き方を認めている職場や、掛け持ち歓迎の求人を選ぶのが確実な方法といえます。
この記事では、ダブルワークの定義や副業との違い、介護職が知っておくべき税金や社会保険の注意点について解説しました。段階的に進む制度改正により働き方のルールは今後も変化していきますが、最新の仕組みを正しく理解することで、ダブルワークはあなたの収入とキャリアを支える心強い選択肢の1つとなるでしょう。まずはご自身の理想とする働き方をイメージし、無理のない範囲で新しい職場探しを始めてみませんか。
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執筆者:ウェルミーマガジン編集部
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