「逆立ち歩きをする園児」や「漢字を読み書きする5歳児」といった特色から、ヨコミネ式教育法に興味を持たれた方もいるのではないでしょうか。一方で、独自の教育カリキュラムゆえに「保育士としてついていけるか」「指導が厳しすぎるのではないか」と不安を覚えることもあるかもしれません。
この記事では、ヨコミネ式教育法の基本理念や特徴、保育士が導入園で働く際のメリット・デメリットについて解説します。
ヨコミネ式教育法とは?提唱者の思いと基本理念
ヨコミネ式教育法は、横峯吉文氏が保育実践の中で確立した教育メソッドです。単なる英才教育ではなく、子どもが本来持っている可能性を引き出すことを目的としています(下記の情報は、ヨコミネ株式会社の「心の力」を参照しています)。
鹿児島県から始まった独自の教育メソッド
ヨコミネ式教育法は、横峯氏が運営する鹿児島県の「通山こども園」などで、子どもたちの行動を長年観察する中から生まれました。「子どもたちが楽しいと思えることに夢中になって取り組むこと」を大切にしており、独自の「4つのスイッチ」などを通じてやる気を引き出す手法がとられています。その結果、読み書きや計算、体操、音楽など、多様な分野で子どもたちの成長を促しています。
「自立」を目的とする教育のゴール
ヨコミネ式教育法の最終的な目的は、子どもを「自立」させることです。ここでの自立とは、自分の力で生きていくための力を養うことを指します。「自ら考え、自ら判断し、自ら行動・実践すること」のできる大人へと成長するための土台を幼児期に築くことが、この教育法の特徴です。そのため、保育士は子どもを手伝いすぎず、子どもが自分の力で達成できるよう「見守り、導く」役割が重視されています。
ヨコミネ式教育法を支える「3つの力」と「才能開花の法則」
ヨコミネ式教育法では、子どもが自立するために必要な要素として「3つの力」を掲げています。これらは互いに影響し合い、バランスよく育つことで、子どもたちが本来持つ力を引き出せると考えられています。
心の力・体の力・学ぶ力の相関関係
3つの力とは具体的に、「心の力」「体の力」「学ぶ力」を指します。「心の力」は正義感や道徳観など、「体の力」は体力や柔軟性など、「学ぶ力」は「読み・書き・計算」を通して自ら学んでいく力を意味します。たとえば、体操で難しい技に挑戦する過程で、心の力が育ち、それが机に向かって学習する際の学ぶ力にもつながるという相関関係があります。
すべての子どもが天才であるという考え方
ヨコミネ式教育法の根底には、「すべての子どもは天才であり、ダメな子なんて一人もいない」という理念があります。子どもの能力に初期から差があるとするのではなく、大人が適切なアプローチで子どものやる気を起こさせることが大切であると説いています。保育士には、子ども一人ひとりの成長の瞬間に目を配り、適切なタイミングで次のステップへ導く役割が期待されています。
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ヨコミネ式教育法では、子どもたちが自発的に活動に取り組めるよう、子どもの心理的特徴を理解した「4つのスイッチ」と呼ばれるアプローチを重視しています。
スイッチ1:子どもは競争したがる
子どもには、周囲と競い合うことを楽しむ性質があるとされています。ヨコミネ式教育法ではこの競争心を前向きに活用し、かけっこや計算などで順位や記録を意識させることで、「次はもっと上手になりたい」という意欲を引き出す工夫をしています。これは他者との優劣を競うためだけではなく、自らの限界に挑戦し、互いに切磋琢磨する楽しさを知るための手段として位置づけられています。
スイッチ2:子どもはまねをしたがる
子どもは身近な大人や年上の子どもができることを「自分もやってみたい」とまねようとする傾向があります。たとえば、年長児が跳び箱を跳ぶ姿を見て、年下の子が自然とまねをし始める環境を用意します。言葉で教え込むよりも優れた手本を示すことが成長を促すアプローチの1つとされています。
スイッチ3:子どもはちょっとだけ難しいことをしたがる
簡単すぎる内容には飽きやすく、難しすぎることは諦めてしまうことがあります。子どもが興味を持ちやすいのは、「頑張ればできそう」な、少しだけ高いハードルです。ヨコミネ式教育法では、一人ひとりのレベルに合わせた「スモールステップ」の課題を用意します。この「ちょっとだけ難しい」をクリアしたときの達成感を、次の挑戦への原動力としています。
スイッチ4:子どもは認められたがる
課題を達成したとき、周囲に認められることは子どもにとって自信や意欲につながりやすい要素です。ヨコミネ式教育法では単に「褒める」だけでなく、子どもの努力や成果を客観的に「認める」ことを大切にしています。保育士や周囲の友達から認められる経験を積み重ねることで、子どもは自己肯定感を高め、新しいことへ挑戦する姿勢が育まれていきます。
保育士がヨコミネ式教育法導入園で働くメリット・デメリット
ヨコミネ式教育法を導入している園で働くことは、保育士としての自身の保育観やキャリアを考える機会につながります。指導アプローチが異なるからこそ、標準的な保育園との違いや自分自身の適性を整理しておくことが大切です。
指導技術の習得と達成感を共有できるメリット
ヨコミネ式教育法導入園で働くメリットの1つは、子どもの日々の成長を身近でサポートし、その変化の過程を共有できる点です。昨日までできなかった課題をクリアできた瞬間に立ち会えることは、保育士としてのやりがいにつながります。また、体操や学習などの指導手法を体系的に学ぶことで、指導におけるアプローチの選択肢を広げられる可能性もあります。
求められるスキルの高さがデメリットに感じることも
一方で、日々の指導においては、指導内容に合わせたスキルや学習意欲が求められる側面もあります。指導技術そのものだけでなく、子どもの意欲をどのように引き出すかというアプローチの視点が重視されます。導入園では研修制度が用意されていますが、常に自身の指導方法をアップデートし続ける必要があるため、プレッシャーを感じやすい点はデメリットといえるかもしれません。
標準的な保育園とのアプローチの違い
標準的な保育園とヨコミネ式教育法導入園では、日々の活動や保育士の役割にそれぞれ異なる特色があります。標準的な保育園では自由な発想を重視した保育や季節行事などを中心に行う傾向があるのに対し、ヨコミネ式教育法では日々の基本的な活動(読み・書き・計算・体操・音楽)の積み重ねに主眼を置くケースが見られます。双方の特徴を理解し、自分の目指す保育方針と照らし合わせることが大切です。
| 比較項目 | 標準的な保育園(例) | ヨコミネ式教育法導入園 |
|---|---|---|
| 活動内容 | 自由遊び、製作、季節の行事中心 | 体操、読み書き、計算、音楽などの日々の活動 |
| 保育士の役割 | 子どもの意思を尊重しつつ見守る | 環境を整え、子どもの意欲を引き出す |
| 得られるスキル | 生活習慣支援、保護者対応力 | 独自の指導アプローチ、グループ指導技術 |
この記事では、ヨコミネ式教育法の基本理念から、4つのスイッチ、保育士が働くメリット・デメリットまでを解説しました。ヨコミネ式教育法は子どもの「自立」を重視する教育法です。保育士としても、子どもたちの自立を支えながら自身の指導技術を磨くことができる選択肢の1つといえます。まずは自身の保育観を整理し、このような教育メソッドが自分に合っているかを検討してみるのも方法の1つです。この記事が、今後のキャリア形成を考えるうえでの参考になれば幸いです。
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執筆者:ウェルミーマガジン編集部
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