老障介護とは?意味や課題、利用できる支援制度を解説

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老障介護とは?意味や課題、利用できる支援制度を解説

自分が動けなくなったら、障害のある我が子はどうなってしまうのだろう。そんな不安を抱えながら、子の日々の生活を支え続けている家族は少なくありません。高齢の親が障害のある子を介護する老障介護は、現代日本が抱える深刻な課題の一つです。

この記事では、老障介護の意味や背景、利用できる相談窓口や支援制度について解説します。

老障介護とは?言葉の意味と老老介護との違い

まずは老障介護について、その基本的な意味や現状に加え、「8050問題」との関係性、老老介護や認認介護との違いについて整理し、理解を深めましょう。

高齢の親が障害のある子をケアする現状

老障介護とは、一般的に高齢の親が障害のある子を支えている状況を指します。障害者数は増加傾向にある一方で、親も高齢化しており、親子ともに年齢を重ねた世帯が増えていると指摘されています。

また、内閣府の資料によると、在宅で生活する障害者の多くは家族と同居しており、特に知的障害者では親や兄弟姉妹と暮らしているケースが多いとされています。

※出典:内閣府「第1編 障害者の状況等(基礎的調査等より)」

8050問題との関係

老障介護は、80代の親が50代の子を支える「8050問題」と同様に、家族内で長期的に支援を担う構造という共通点があります。8050問題はひきこもりや就労の課題、老障介護は障害のある方へのケアといった違いもありますが、いずれも家族だけで問題を抱え込みやすく、孤立や負担の増大につながる可能性があります。

※出典:新宿区「コラム 8050問題(p1)」

老老介護や認認介護との違い

似た言葉に老老介護がありますが、これは高齢者が高齢の配偶者や親を介護することを指します。一方、老障介護は対象が「障害のある子」であるため、支援の枠組みが介護保険法だけでなく障害者総合支援法にもまたがる点が特徴です。また、認知症の高齢者の介護を、同様に認知症である高齢の家族が行う状態は、認認介護と呼ばれています。

用語 主な対象者 適用される主な制度
老障介護 高齢の親と障害のある子 障害者総合支援法(必要に応じて介護保険法)
老老介護 高齢者同士(配偶者・親など) 介護保険法
認認介護 認知症の高齢者同士 介護保険法

老障介護における主な課題と負担のリスク

老障介護の現場では、支え手である親の体力的な負担や、将来への不安が課題として挙げられます。一方で、こうした課題に対応するための公的な支援制度や相談窓口も整備されています。状況によっては生活面への影響が大きくなる可能性もあるため、どのような問題があるのかを理解するとともに、利用できる制度や支援を早めに検討することが重要です。

身体的負担の増大と親自身の健康悪化

加齢に伴い、介護を担う親の筋力や体力は低下しやすくなります。車椅子への移乗や入浴介助といった身体的な負担の大きいケアは、腰や関節への負担につながる場合があります。また、子のケアを優先するあまり、自身の通院や体調管理が後回しになり、結果として親の健康に影響が及ぶ可能性もあります。

社会的孤立による相談先の欠如

老障介護世帯は「近所に知られたくない」「他人に迷惑をかけたくない」という思いから、周囲との交流を断ってしまう場合もあるでしょう。その結果、制度の変更や新しい福祉サービスの情報が届かず、限界まで誰にも助けを求められない状況が生まれます。地域社会からの孤立は、虐待の発生や孤独死といった重大なトラブルを引き起こす引き金にもなりかねません。

親が亡くなった後の生活基盤に対する不安

老障介護の中では、「自分がいなくなった後、子の生活をどのように支えていくか」といった将来への不安が挙げられます。金銭管理や住まいの確保、日常生活の支援など、これまで家族が担ってきた役割について、誰がどのように関わるのかが明確でない場合、見通しを立てにくいと感じることもあるでしょう。このような不安に備えるためには、早い段階から利用できる制度や支援について情報収集を行い、少しずつ準備を進めていくことが大切です。

知っておきたい介護保険サービスと障害福祉サービスの併用

老障介護においては、年齢や心身の状態に応じて、介護保険サービスと障害福祉サービスのいずれか、または両方が関わる場合があります。制度ごとに利用条件や内容が異なるため、どのサービスが利用できるのか迷う場面もあるでしょう。制度の基本的な仕組みや関係性を理解しておくことで、状況に応じた適切な支援を検討しやすくなります。

65歳の壁とは?制度の優先順位と注意点

障害のある方が65歳になると、それまで受けていた障害福祉サービスから介護保険サービスへの切り替えが求められる場合があります。これを「65歳の壁」と呼びます。原則として介護保険サービスが優先されますが、介護保険サービスにはない独自の障害福祉サービス(同行援護など)は継続して利用できる場合があります。自治体や制度の切り替えによって自己負担額や受けられるサービス内容が変わるため、事前の確認が必要です。

※出典:厚生労働省「高齢障害者の介護保険サービスの円滑な利用(p1)」

共生型サービスによる支援の継続性

平成30年の制度改正により、介護保険サービスと障害福祉サービスの両方の指定を受けやすくする「共生型サービス」が導入されました。これにより、障害者が65歳になっても通い慣れた事業所で引き続きサービスを受けられるようになり、環境の変化による混乱を防ぎやすくなりました。制度の壁を越えて、親子が共に同じ施設を利用できるケースもあります。

※出典:厚生労働省「高齢の障害者に対する支援等について(p3)」

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利用できる相談窓口や支援制度

将来の不安を安心に変えるためには、親が元気なうちから専門機関とのつながりを作っておくことが重要です。相談窓口は、状況に応じて利用できる支援制度やサービスを整理し、適切な支援につなぐ役割を担っています。一箇所で解決しようとせず、複数の窓口を組み合わせて活用することで、より強固な支援ネットワークを構築できるでしょう。

基幹相談支援センターへの相談

地域における障害福祉サービスの総合的な相談窓口の一つが、基幹相談支援センターです。ここでは福祉サービスの紹介だけでなく、住まいや就労など生活全般に関する相談が可能で、状況に応じて適切な支援機関につないでもらうことができます。親が高齢であることを伝えることで、将来を見据えた支援の方向性について助言を受けたり、必要なサービスの利用に向けた調整を行ってもらえる場合もあるでしょう。

※出典:厚生労働省「基幹相談支援センターの役割のイメージ(p35)」

地域包括支援センターへの相談

親自身の介護や健康に関する内容は、地域包括支援センターへの相談が効果的です。老障介護のように複数の課題が関わる場合には、基幹相談支援センターなどの障害福祉分野の相談支援機関と連携し、それぞれの制度を活用しながら支援が行われます。このように関係機関が連携することで、親と子それぞれの状況に応じた支援につながりやすくなります。

令和6年度報酬改定による支援体制の変化

令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定では、地域生活への移行支援や、グループホームにおける一人ひとりのニーズに応じた柔軟な支援がより評価されるようになりました。これにより、重度障害者や強度行動障害がある方でも、地域で安心して暮らせる体制整備が進んでいます。最新の制度を活用することで、より質の高い生活環境を選べるようになっています。

※出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(p2)」

金銭管理や契約を支える支援制度

親が亡くなった後の金銭管理や契約行為を支援する仕組みとして、成年後見制度や福祉型信託などがあります。これらを活用することで、本人の財産を守り、必要なサービスを契約し続けることが可能になります。ただし、以下の点に留意が必要です。

準備の手段 主な留意点
成年後見制度 後見人への報酬が発生する。原則として途中でやめることができない。
福祉型信託 運用コストがかかる場合がある。信頼できる受託者の確保が必要。
任意後見 判断能力があるうちに契約する必要がある。実際に制度が開始された後は、任意後見監督人が選任され、報酬が発生する場合がある。

※出典1:厚生労働省「成年後見制度とは」
※出典2:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会(JSRPD)「福祉型信託とは?親なき後問題との関係性について解説」

親が亡くなった後の住まいと生活を支える選択肢

親が亡くなった後に「どこで暮らすか」も大切な問題でしょう。近年では、障害者が地域の中で自立して暮らすための受け皿として、グループホームなどの選択肢が広がっています。

障害者グループホーム(共同生活援助)の役割

障害者グループホームは、数人の障害者がスタッフの支援を受けながら共同生活を送る場所です。夜間の見守りや食事の提供があり、住まいの選択肢として代表的なものの一つです。近年では、重度の障害や高齢化に対応した「日中サービス支援型」のホームも増加傾向にあり、より手厚いケアが可能になっています。

※出典:厚生労働省「障害者の地域生活支援も踏まえた障害者支援施設の在り方について(p43)」

入所施設や民間介護施設の活用可能性

障害の程度や特性によっては、障害者支援施設(入所施設)を選択することもあります。また、65歳以上であれば有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの介護施設への入居も選択肢の一つでしょう。障害者を受け入れている民間施設もあり、介護保険サービスを利用しながら、専門的なケアを受けることが可能です。

孤立を防ぎ将来に備えるための心構えと行動

老障介護における不安に備えるためには、現在の状況を整理し、外部の支援や情報を適切に活用していくことが大切です。ここでは、家族だけで抱え込まないための考え方や行政情報の確認方法を紹介します。

家族だけで抱え込まないための心構え

「自分が面倒を見なければならない」という強い責任感は、時に親子を追い詰めてしまいます。外部の支援を受けることは、決して親としての責任を放棄することではありません。むしろ、介護の負担を分担することで、親子の時間をより大切にできる可能性があります。子が親から自立し、社会の中で生きていくための「自立準備」であると前向きに捉えてみましょう。

行政の最新情報を定期的に確認する方法

福祉制度は数年ごとに見直され、新しいサービスや補助金が新設されることがあります。市区町村が発行する広報誌やホームページをチェックするほか、定期的に相談支援専門員と面談を行い、最新の情報を得る習慣をつけましょう。自分から情報を取るのが難しい場合は、家族会や親の会に参加して、同じ悩みを持つ仲間と情報交換をすることも有効な方法の一つです。

この記事では、老障介護の意味や背景にある課題、そして利用できる相談窓口や支援制度について解説しました。まずは、お住まいの地域の基幹相談支援センターや地域包括支援センターへ、現状の不安をありのままに話してみることから始めてみましょう。

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ウェルミーマガジン編集部

執筆者:ウェルミーマガジン編集部

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