「将来、親の介護が必要になったらどうすればいいのだろう」「給与から介護保険料が引かれているけれど、実は詳しい仕組みを知らない」といった疑問や不安をお持ちではないでしょうか。介護は予期せず始まることもあるため、あらかじめ制度の概要を知っておくと、いざというときの安心につながります。
この記事では、介護保険法の基本から保険料、サービスを受けるまでの流れをわかりやすく解説します。
介護保険法とは?制度の目的と作られた背景
介護保険法は、加齢に伴って介護が必要となった方々を社会全体で支えるための法律です。まずはこの法律が作られた背景や、他の制度との違いといった基本情報を整理しましょう。
介護保険制度の目的と社会全体で支え合う仕組み
介護保険制度は、要介護状態となった方が自立した日常生活を営めるよう、必要な給付を行うことを目的としています。かつては家族が担っていた介護を、社会保険方式によって国や自治体、そして国民全員で支え合う仕組みへと転換しました。
※出典:厚生労働省「介護保険制度の概要(p3)」
以前の老人福祉法との違いと利用者さんのメリット
介護保険法が施行される前は「老人福祉法」による措置制度が中心でした。違いは、利用者さんが自らサービスを選択できる契約制度になった点です。以下の表で、それぞれの特徴を比較してみましょう。
| 項目 | 老人福祉法(措置制度) | 介護保険法(契約制度) |
|---|---|---|
| サービスの選択 | 行政が決定する | 利用者さんが意向に沿って選択できる |
| 対象者 | 所得や家族状況による制限あり | 要介護認定を受けた全員 |
| 費用負担 | 所得に応じた負担 | 原則としてサービス費用の1〜3割 |
※出典:厚生労働省 老健局「公的介護保険制度の現状と今後の役割(p9)」
3年ごとに見直される法改正の重要性
日本の高齢化や社会情勢の変化に対応するため、介護保険法は3年ごとに改正が行われます。これにより、サービスの質の向上や、将来にわたって制度を維持するための財政調整が図られています。
介護保険の対象者と気になる保険料の仕組み
介護保険の対象者は年齢によって区別され、保険料の支払い方法も異なります。ここでは、現役世代にとって特に関わりの深い、40歳からの保険料負担について解説します。
年齢で区分される第1号と第2号被保険者の違い
介護保険の被保険者は、年齢によって「第1号」と「第2号」に分かれます。65歳以上が第1号、40歳から64歳までが第2号です。第2号被保険者の場合、加齢に伴う「特定疾病」が原因で介護が必要になった場合に限り、サービスを利用できます。
※出典:厚生労働省「介護保険制度の概要(p4~6)」
給与明細から引かれる保険料の決まり方
会社員などの第2号被保険者は、加入している健康保険とあわせて介護保険料が徴収されます。保険料率は加入先の健康保険組合や協会けんぽによって異なりますが、原則として事業主(勤務先)と本人が折半して負担する仕組みです。
※出典:厚生労働省「介護保険制度について(p2)」
40歳から支払い義務が生じる背景と制度を支える意義
40歳から支払い義務が生じるのは、ご自身や家族が将来介護サービスを受けるための備えであると同時に、現在の高齢者を社会全体で支える相互扶助の精神に基づいています。保険料を負担することで、誰もが安心して暮らせる仕組みを維持することにつながります。
求人一覧はこちら利用できる介護サービスの種類と自己負担額
介護保険が適用されると、さまざまなサービスを経済的な負担を抑えて利用できます。生活環境や身体状況に合わせてどのような選択肢があるのかを確認しておきましょう。
自宅で受ける居宅サービスと施設サービス
サービスは大きく分けて、自宅で生活を続けながら利用する「居宅サービス」と、施設に入居して受ける「施設サービス」の2つがあります。訪問介護(ホームヘルプ)や通所介護(デイサービス)などは居宅サービスに、特別養護老人ホームなどは施設サービスに分類されます。
※出典:厚生労働省「介護保険の解説-サービス編-」
地域密着型サービスとケアプランの役割
住み慣れた地域での生活を支えるため、市区町村が主体となって提供する「地域密着型サービス」があります。利用者さんの状態に合わせて、これらのサービスをいつ・どれくらい利用するかを計画するのが「ケアプラン」であり、介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)が作成を担当します。
所得に応じて変わる1割から3割の自己負担割合
サービスを利用した際の自己負担額は、原則としてかかった費用の1割です。ただし、一定以上の所得がある方は、2割または3割負担となります。また、月々の負担が上限額を超えた場合に払い戻される「高額介護サービス費」という軽減制度も用意されています。
※出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料」、「高額介護サービス費の負担限度額が変わります」
介護サービスを受けるまでの具体的な流れ
介護が必要だと感じたら、まずはお住まいの市区町村の窓口へ相談することから始まります。ここでは、申請から実際にサービスを利用し始めるまでの流れを、3つのステップに分けて解説します。
ステップ1:市区町村の窓口で要介護認定の申請をする
まずは市区町村の介護保険担当窓口や、地域包括支援センターで「要介護認定」の申請を行います。ご本人が申請に行けない場合は、ご家族や地域包括支援センターなどに申請の代行を依頼することも可能です。
※出典:厚生労働省「介護保険制度について(40歳になられた方へ)(p3)」
ステップ2:訪問調査と審査・判定を受ける
申請後、調査員が自宅を訪問し、ご本人の心身の状況を聞き取る「訪問調査」が行われます。あわせて市区町村は主治医に「意見書」の作成を依頼します。これらをもとに、介護認定審査会が審査を行い、介護の必要性を判定します。
ステップ3:ケアプランの作成を依頼し、サービス利用を開始する
認定結果が出た後は、居宅介護支援事業者と契約し、ケアマネジャーにケアプラン作成を依頼します。ご本人や家族の希望を聞き取り、どのサービスを組み合わせるかを考えた「ケアプラン」を作成し、それに基づいて各事業者と契約し、サービスの利用を開始します。
介護保険制度を賢く活用するために
介護保険制度は、実際に介護が必要になったときにスムーズに活用できることが大切です。いざというときに慌てないための、いくつかのポイントをお伝えします。
早めの行動が鍵となる申請時期のポイント
要介護認定の効力は、申請日にさかのぼって発生します。認定が出る前であっても、暫定的にサービスを利用することが可能です。介護が必要かもしれないと感じたら、できるだけ早く申請することが重要です。
日常のなかでできる小さな知識の備え
介護は予期せぬタイミングで始まることも少なくありません。給与明細で引かれている保険料の額を確認したり、近所にある地域包括支援センターの場所を調べておいたりといった小さな備えが、将来の安心につながります。
一人で抱え込まず専門家や公的窓口に相談する
「こんなことを相談してもいいのかな」と一人で悩まず、地域包括支援センターなどに早めに相談しましょう。専門のスタッフがご本人の希望や状況に寄り添い、適切なサポートやケアプランの作成を支援してくれます。
※出典:厚生労働省「介護保険制度について(40歳になられた方へ)(p4)」
この記事では、介護保険法の目的や保険料の仕組み、サービスを受けるまでの流れについて解説しました。介護保険は、誰もが安心して老後を迎え、自立した生活を維持するための大切な社会制度です。まずは身近な相談窓口や最新の情報をチェックすることから始めてみましょう。
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執筆者:ウェルミーマガジン編集部
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