介護職員として働く場合、夜勤を経験する機会があります。「夜勤前の過ごし方がわからない」「出勤前に眠くなってしまう」と悩む方は少なくありません。夜勤の準備不足は、勤務中の集中力低下や、翌日の過度な疲労を招く原因です。
この記事では、夜勤前の理想的な過ごし方や、仮眠・食事のコツについて解説します。
夜勤前日〜当日の午前中までの過ごし方のポイント
夜勤を無理なく乗り切るためには、前日からのリズム作りが重要です。しかし、生活リズムの変化は自律神経の乱れにつながる恐れがあります。かえって疲労がたまる可能性もあるのです。ここでは、一般的な夕方出勤の夜勤(16〜17時頃の出勤)を想定した過ごし方のポイントを説明します。
夜勤前日は普段通りの睡眠を心がける
夜勤に備えて、前日の夜に「寝だめ」する方がいますが、これは逆効果になる場合があります。過度な寝だめは体内時計を狂わせ、当日の夜間に強い眠気を引き起こす要因になるからです。前日の夜は普段通りの時間に就寝し、朝は極端に遅くならない時間に起きましょう。規則正しいリズムを維持し、睡眠の質を上げれば、翌日のパフォーマンスを保ちやすくなります。
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023(p12)」
当日の午前中はリラックスして体力を温存する
夜勤当日の午前中は、激しい運動や長時間の外出を避け、心身ともにリラックスして過ごすのをおすすめします。立ち仕事が多い介護職にとって、出勤前の足腰の疲労をためないことが大切です。読書をしたり、好きな音楽を聴いたりして、心身をリラックスさせましょう。静かに過ごすことは、夜勤に備えて心のゆとりにもつながります。
パフォーマンスを高める仮眠と睡眠のコツ
夜勤で高い集中力を保つためには、出勤前の仮眠が効果的です。ただし、長く寝ればよいというわけではありません。起きた後に頭がスッキリする眠り方には、いくつかのポイントがあります。仮眠の時間と環境を整えることは、夜勤中のパフォーマンス維持につながるでしょう。
夜勤前の仮眠は有効!「睡眠慣性」を防ぐ時間を意識する
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、夜勤前に仮眠をとることは、夜勤中の眠気や仕事効率の低下を防ぐのに有効とされています。ただし、仮眠の「長さ」には注意が必要です。仮眠を60分間に設定した場合、眠りが深くなりすぎて覚醒後に「睡眠慣性(強いぼんやり感)」が生じやすくなると報告されています。
そのため、仮眠をとる際は、眠りが深くなる前の20〜50分程度の短時間で起きるか、あるいは人間の一般的な睡眠サイクルを考慮して、90〜120分程度の時間を確保するのがおすすめです。中途半端な時間で起きるのを避け、自分がスッキリと目覚めやすい時間を探してみましょう。
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023(p42)」、「ノンレム睡眠(のんれむすいみん)」
質の高い眠りのための入眠環境の整え方
日中に眠る際は、脳に「今は夜だ」と錯覚させることが大切です。遮光カーテンを使用して部屋を真っ暗にし、必要に応じてアイマスクや耳栓を使いましょう。また、室温については、夏場はエアコンを用いて寝室を涼しく保ち、冬場は就寝前に過ごす部屋を暖かくしておくなど、季節に合わせて入眠しやすい環境を整えましょう。スマートフォンから発せられるブルーライトは睡眠を促すメラトニンの分泌を抑制するため、仮眠の30分前からは操作を控えると質の高い睡眠が可能です。
※出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023(p24)」、「メラトニン(めらとにん)」
夜勤前の食事で意識すべきポイント
食事の内容とタイミングも、夜勤中のコンディションに影響を与えます。満腹になると消化のために血液が胃腸に集中し、結果として眠気を感じやすくなると言われています。逆に、空腹の場合はエネルギー不足で集中力が切れがちです。夜勤のコンディションを整えるための食事のポイントを解説します。
| 項目 | おすすめの食事・習慣 | 避けるべき食事・習慣 |
|---|---|---|
| 食事内容 | おにぎり、うどん、野菜の副菜、魚、ヨーグルト、ゼリー飲料など | 揚げ物、ラーメン、辛いもの、食物繊維の多いもの |
| タイミング | 仮眠の2〜3時間前まで | 直前のドカ食い、極端な空腹での出勤 |
| 飲み物 | お水、麦茶などのノンカフェイン飲料 | アルコール、過度なカフェイン |
※出典1:公益社団法人 日本看護協会「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン(p48)」
※出典2:厚生労働省「交代制勤務者の食生活に関する留意点」
※出典3:独立行政法人労働者健康安全機構「深夜勤務者のための食生活ブック」
消化しやすいメニューを選び胃腸の負担を減らす
夜勤前の食事は、できるだけ胃腸に負担をかけない消化しやすいものを選びましょう。脂肪分や食物繊維が多い食品は消化に時間がかかり、胃もたれを起こしやすくなります。炭水化物を中心に、タンパク質を少量組み合わせるのがベストです。たとえば、卵入りのうどんや低脂質のサンドイッチなどは、エネルギー補給と消化のしやすさを両立できるバランスのとれたメニューと言えます。栄養をしっかり摂りつつ、お腹を休ませる意識を持ちましょう。
食べるタイミングは仮眠の2〜3時間前が理想
食べた直後にすぐ横になると、消化活動が睡眠を妨げ、眠りの質が低下します。食事は、仮眠をとる2〜3時間前までに済ませましょう。胃の中の食べ物が消化され、睡眠中に体がしっかりと休息モードに入りやすくなります。どうしても時間が取れない場合は、ゼリー飲料やスープなど、液状に近いものを摂取する程度にとどめましょう。
介護職員・ヘルパーの求人情報はこちら夜勤中の睡魔と疲労を軽減するテクニック
万全の準備をしていても、深夜3〜6時頃にかけては強い眠気が起こりやすい傾向があります。安全なケアを提供するためにも、この時間帯の眠気にうまく対処することが大切です。ここでは、夜勤中に取り入れやすい眠気対策と疲労軽減のコツを紹介します。うまく使って、心身の負担を和らげましょう。
※出典:公益社団法人 日本看護協会「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン(p48)」
休憩時間を活用した短時間仮眠とカフェイン摂取
休憩時間には、15〜30分程度の「パワーナップ(戦略的仮眠)」がおすすめです。短い仮眠でも、脳の疲労をリセットする効果があります。カフェインの覚醒効果が現れ始めるのは、摂取してから約20〜30分後と言われています。休憩の直前にコーヒーや緑茶を飲んでから仮眠をとると、起きたタイミングでカフェインが効き始めてスッキリと目が覚めやすくなります。これは「コーヒーナップ」と呼ばれ、覚醒を促す手法として知られています。
※出典1:札幌市「パワーナップで午後もすっきり働こう。」
※出典2:広島大学 / 林 光緒「昼寝の功罪とパワーナップ(p6)」
軽いストレッチとスタッフ間での会話による覚醒
眠気が強いときは、意識的に体を動かして血流を促進させましょう。その場でできる肩回しや足首のストレッチ、屈伸運動などは血流を促して筋肉の緊張をほぐし、疲労を軽減するとともに交感神経を刺激して覚醒を促す効果が期待できます。また、他のスタッフがいる場合は積極的に会話するのもおすすめです。言語を使う作業は脳を活性化させるため、一人で黙々と作業するよりも眠気を感じにくくなります。お互いに体調を確認し合うことでチームワークを強め、ミスの防止にもつながります。
どうしても夜勤の大きな負担を感じるときの働き方の見直し
どれだけ過ごし方を工夫しても、体質や生活環境(育児や介護など)によって、夜勤が心身に大きな負担を与える場合もあります。無理を続けて健康を損なう前に、働き方の選択肢を広げるのも大切です。介護業界には多様なサービス形態があり、夜勤の有無や頻度は職場によって異なります。
| 働き方の種類 | 主な施設・形態 | 特徴・メリット |
|---|---|---|
| 日勤勤務が中心 | デイサービス、訪問介護、地域包括支援センターなど | 生活リズムを整えやすく、家族との時間を確保できる |
| 夜勤専従 | 有料老人ホーム、グループホームなど | 夜勤手当により、少ない出勤日数で効率的に収入を得やすい |
| 宿直(夜間待機) | 養護老人ホーム、小規模多機能など | 実労働が少なく、身体的な負担が軽い傾向 |
自分の生活スタイルに合った施設形態を検討する
夜勤の負担は、施設の種類によって異なります。たとえば、日中型のデイサービス(通所介護)であれば夜勤はありません。また、訪問介護も基本的には日中の時間帯を中心に働けます。自分の体調や家族との時間を優先したい場合は、夜勤がない、または夜勤が少ない施設形態へ目を向けてみましょう。また、養護老人ホームや小規模多機能型居宅介護などでの宿直(夜間待機)であれば、実労働が少なく、夜間の身体的な負担を減らしながら働くことが可能です。無理のない働き方は、長期的なキャリア構築につながります。
夜勤専従という選択肢
「夜勤のリズムの方が自分に合っている」という場合は、夜勤専従という働き方もあります。事業所によっては1回の勤務で2日分(日勤換算)の給与を得られることもあり、出勤日数を減らして休日を多く確保することが可能です。昼夜逆転はしますが、シフトによって勤務の時間帯が変わるよりも体調管理しやすいという方もいます。負担が少なく、長く働ける職場を見つけるには、悩みを解消できる職場を探してみるのも1つの手です。
この記事では、夜勤前の適切な過ごし方や、仮眠・食事のコツ、夜勤中の対策を解説しました。夜間のパフォーマンスを維持し、自身の健康を守るには、事前のちょっとした工夫や準備が大切です。まずは夜勤の際に習慣づけていることを見直してみましょう。もし今の環境で夜勤がつらいと感じるなら、働き方そのものを見直すことも検討してみてください。
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執筆者:ウェルミーマガジン編集部
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