「貯金を増やしたい」「将来に備えて家計を整えたい」と思っていても、毎日の仕事や生活に追われるなかで、家計のことまでしっかり考える余裕がない……という方は多いのではないでしょうか。
医療や福祉現場の仕事は、体力的にも精神的にも負担が大きいものです。日々を乗り切るだけで精一杯で、「節約しなきゃ」「家計簿をつけなきゃ」と思うほど、かえってしんどくなってしまうこともあります。
しかしファイナンシャルプランナー(FP)の中村さんによると、家計改善は何かをひたすら我慢したりやみくもに支出を削ることではなく、「順番に沿って家計を整えていくこと」なのだそうです。
今回は、ムリなく続く家計改善のコツをFP中村さんのアドバイスとともにご紹介します。
家計改善ワークシートをダウンロードして、
まずは今のお金の流れを整理してみましょう。
「何から始めればいいかわからない…」という方でも大丈夫。
自分のペースで、できるところから少しずつ始めてみましょう。
STEP1.「何のために整えるか」を決める
家計を見直そうとすると「何を削るか」から考えてしまいがちですが、中村さんは「ここでつまずく方が多い」と指摘します。というのも、目的があいまいなままでは何をどこまで見直せばいいのか判断がつかず、家計改善が続きにくくなるためです。
まずは「何のために家計を整えたいのか」という目的を先に決めることが大切です。
たとえば、
- 半年後までに10万円の予備費を作りたい
- 毎月5,000円を先取りで貯めたい
- 夜勤が減っても生活が崩れない状態にしたい
このように金額や期限を具体的にすることで、行動に移しやすくなります。
やってみよう!
- 目標を具体的な「金額+期限」で書き出す
- スマホのメモなどに残しておき、毎月1回は進み具合を見返す
- 目標を達成したらどう使うか(貯金・投資・ご褒美など)まで決めておく
家計改善が続かない理由の多くは「目的があいまいなこと」にあります。だからこそ、まずはゴールを具体的にすることが大切です。節約は我慢することが目的ではありません。自分にとって大切なものを守るために、お金の使い方を整えていくものです。
まずは半年後や1年後にどんな状態でいたいかをできるだけ具体的にイメージしてみましょう。
STEP2.家計の現状を把握する
目的が決まったら、次は家計の現状を把握しましょう。ここで大切なのは完璧な家計簿をつけることではなく、お金の流れをざっくりでも見えるようにすることです。家計管理が苦手だと感じている方ほど「ちゃんと記録しなきゃ」と思いがちですが、最初から細かく分類しようとすると面倒になり、結局続かなくなってしまいます。
まずは支出を次の3つに分けるだけでも十分です。
- 固定費(家賃・通信費・保険など)
- 生活費(食費・日用品・光熱費など)
- 自由費(外食・趣味・買い物など)
やってみよう!
- 直近1ヶ月の支出をアプリや明細で確認する
- 「固定費」「生活費」「自由費」の項目にざっくり分ける
分け方は自分に合った方法で構いません。レシートを1か月分取っておく、家計簿アプリを使う、キャッシュレス決済の履歴を見返すなど、続けやすいやり方を選びましょう。
家計簿は完璧である必要はありません。FP相談でも「ざっくり把握」だけで改善につながるケースは多く見られます。重要なのは「自分のお金の流れを把握すること」です。
支出を見直すときは自分を責めないことも大切です。「思ったよりコンビニで使っていた」「ご褒美が多かった」と気づくことがあっても、それは日々を乗り切るための大切な使い方かもしれません。
大事なのは「どんなときにお金を使いやすいのか」という自分の傾向を知ることです。家計の見直しは反省ではなく、これから整えていくための土台づくりです。
もし可能であれば1か月だけでなく直近3か月ほどを振り返るのもおすすめです。平均で見ることでより現実的な家計の姿が見えてきます。
STEP3.「3大固定費」を見直す
家計の流れが見えてきたら、いよいよ具体的な改善に進みましょう。まずは「住居費」「通信費」「保険料」の3大固定費から手をつけるのがおすすめです。これらの固定費が整うことで毎月の支出の“ベース”が下がり、気持ちにも余裕が生まれます。結果として日々の小さな節約に追われることなく、安定した家計を維持しやすくなります。
①住居費(かかる金額の目安=手取りの30%以内)
住居費は、家計の中でも大きな割合を占める支出です。手取り収入の30%を超えている場合は、見直しを検討する一つの目安になります。
やってみよう!
-
今の家賃が手取り収入の何%かを確認する
(例:家賃8万円÷手取り20万円×100=40%) - 更新のタイミングで家賃の見直しや交渉ができないか確認する
- 会社の住宅手当や自治体の補助制度が使えないか確認する
②通信費(かかる金額の目安=月5,000円以内)
スマホ代やネット回線などの通信費は比較的見直しやすく、効果が出やすいといわれています。不要なオプションやプランの見直しで数千円の削減につながることもあります。
やってみよう!
- 契約中の料金プランを確認し、不要なオプションがないかチェックする
- 毎月のデータ使用量を把握し、適切な料金プランになっているか見直す
-
特にスマホは格安SIMへの乗り換えでどのくらい安くなるか試算する
(例:現在8,000円→格安SIM3,000円の場合、月5,000円の削減)
③保険料(保障と貯蓄は分けて考える)
保険料は、固定費の中でも見直しの効果が出やすい項目の一つです。ただ内容が複雑なため、よく分からないまま加入しそのまま払い続けているケースも少なくありません。一度立ち止まって、今の自分に合った保障内容になっているか、ほかの保険と保障が重複していないかを確認してみましょう。
▼固定費の見直しで月2万円以上の余裕ができたAさん(30代・医療職)のケース
医療職として働く30代女性のAさんは、忙しさから家計を見直す余裕がなく「なんとなく支払い続けている出費」が多い状態でした。そこで3大固定費を順番に見直してみることに。
まず住居費では、更新のタイミングで通勤手当の支給範囲内でより郊外の住居へ引っ越しました。通勤時間はやや長くなったものの、始発駅から座って通勤できるため負担は少なく、結果として月15,000円の削減に成功しました。
次に通信費ではスマホのプランを見直し、格安SIMへ変更。不要なオプションも解約したことで、月8,000円かかっていた通信費が3,000円ほどに下がりました。
そして保険は内容を見直したところ必要性の薄い保障に加入していたり、保障内容が重複している保険に加入していたことが判明。必要な保障だけを残して整理したことで、月7,000円ほどの削減につながりました。
その結果、毎月2万円以上の固定費削減に成功しました。Aさんは「家計改善というと自炊をして食費を削ったり、自由に使うお金を減らしたりしなければいけないのかなと思い、忙しい自分にとってはストレスになりそうだと感じていました。ですが固定費を見直しただけで一気に余裕が生まれ、驚きました」と話しています。浮いたお金は半分を将来のための積立に、残りは自分へのご褒美に充てているそうです。
やってみよう!
- 加入している保険内容(入院日額・死亡保障額など)、保険料を整理する
- 医療保険やがん保険など、同じリスクに対する保障が重複していないか確認する
- 現在の家族構成や働き方に照らして、本当に必要な保障かを見直す
保険は「貯蓄もできるから」と積み立て型の保険に加入し、毎月数万円の保険料を支払っているケースも少なくありません。もちろん、目的に合っていれば問題ありませんが、家計全体で見ると「保障」と「積み立て」を分けたほうが整理しやすい場合もあります。
保険は仕組みが複雑で、自分だけでは判断が難しいこともあります。迷ったときはセカンドオピニオンとして中立的な立場のFPに相談してみるのも一つの方法です。大切なのは「なんとなく続ける」のではなく、自分の家計に合っているかを見直すことです。
1ヶ月でできる!「家計改善チェックリスト」
家計改善は一度にすべてを見直そうとすると負担が大きく、なかなか続きません。そこでおすすめなのが「1ヶ月を4つのステップに分けて少しずつ取り組んでいく方法」です。
- 1週目:支出を確認して分類する
- 2週目:固定費を見直す
- 3週目:不要な支出(サブスク・ラテマネー(※)等)を整理する
- 4週目:浮いたお金の使い道を決める
※ラテマネー…日々のコーヒー代やコンビニでの買い物など、何気なく使っている少額の支出のこと。一回あたりは小さくても積み重なると大きな金額になるため、家計見直しのポイントになります。
まず1週目は支出を確認し、「固定費」「生活費」「自由費」に分類してみましょう。現状を把握することが家計改善の第一歩です。
2週目は住居賃・通信費・保険料の3大固定費の見直しに取り組みます。一度見直すと効果が続くため、優先的に取り組みたいポイントです。
3週目は、3大固定費以外の細かな支出を見直します。利用頻度の低いサブスクリプションや、1杯500円前後のカフェ代(ラテマネー)、コンビニでの「なんとなくのついで買い」などを振り返ってみましょう。一つひとつは小さくても積み重なると大きな金額になります。こうした“チリツモ”の支出を整理していくことがポイントです。
そして4週目は見直しによって浮いたお金の使い道を決めます。貯金や積立に回すだけでなく、自分へのご褒美を少し取り入れるのも無理なく続けるコツです。
このように週ごとにテーマを分けて進めることで、負担を抑えながら着実に家計を整えていくことができます。
今回ご紹介したチェックリストは、こちらからダウンロードできます。印刷してチェックしながら使いたい方は、ぜひご活用ください。
家計改善ワークシートをダウンロードして、
まずは今のお金の流れを整理してみましょう。
「何から始めればいいかわからない…」という方でも大丈夫。
自分のペースで、できるところから少しずつ始めてみましょう。
まとめ
ここまでムリなく続く家計改善のコツとお金の整え方について見てきました。最後に今回の記事のポイントを整理しておきましょう。
この記事の3つのポイント
- 家計改善は「目的」から考えることが大切
- 家計の見える化はざっくりでOK
- 「見直すなら固定費から」が効果的
本記事でご紹介したように、家計改善は「節約を頑張ること」ではなく順番に整えていくことが大切です。
まずは「何のために整えるのか」を決めること。そして自分のお金の流れを知り、無理のないところから見直していくこと。
その小さな一歩がお金の不安を少しずつ減らし、安心につながっていくのかもしれません。
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監修者:中村俊介
大手教育系会社にてマーケティングに従事した後、個人の人生を「より深く長期的にサポートしたい」という想いからソニー生命保険株式会社へ。FPとして保険商品だけでなく家計改善・資産形成などマネープラン全般に応えるスタイルで多くの顧客から支持され、「年間新人賞」等も受賞した。13年間にわたり約500世帯をサポートし、現在は独立して多方面で活躍中。