#3 老後資金をシミュレーション!プロが教える!自分に必要な金額を知る方法

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#3 老後資金をシミュレーション!プロが教える!自分に必要な金額を知る方法

「老後のお金って、結局いくら必要なんだろう…」
「老後資金が不安だけれど、何から始めればいいかわからない」

そんなふうに、将来のお金に漠然とした不安を感じていませんか?

本連載の第1回では貯蓄のコツ第2回では家計改善についてお伝えしてきました。第3回となる今回は「老後資金」をテーマに、自分に必要な金額の考え方や備え方についてご紹介します。

今回もファイナンシャルプランナー(以下、FP)の中村俊介さんに、老後資金の考え方について教えていただきました。

老後資金は本当に2,000万円必要?

「老後資金は2,000万円必要」といった話を聞いたことがある方も多いかもしれません。しかし実際には「老後に必要なお金」は人によって大きく異なります。

なぜなら、どのような暮らしをしたいか、家族構成はどうか、持ち家か賃貸か、などによって必要な生活費が変わるからです。

ライフプラン 就活

また、介護士、看護師、保育士など医療・福祉業界の仕事に就いている方の中には、定年後も短時間勤務やパート勤務など、働き方を変えながら仕事を続ける方も少なくありません。

そのため「老後資金はいくら必要か」を考えるときは、世間で言われる金額に当てはめるのではなく、自分自身の状況に合わせて考えることが大切です。

まずは、ご自身に必要な老後資金を考えるために「毎月の不足額」を確認してみましょう。

自分自身の「毎月の不足額」を計算してみよう

老後資金を考える際にまず確認したいのが「毎月の不足額」です。計算方法はとてもシンプルです。

【老後の収入(勤労収入・年金など)】−【日々の支出】=【過不足分(毎月の赤字額)】

例えば老後の収入が月15万円、支出が月18万円の場合、不足額は月3万円となります。

年金収入だけで生活費をまかなえる方もいますが、多くの方は何らかの不足額が発生します。だからこそ、まずは「自分の場合はどうなのか」を確認することが老後資金を考える第一歩になります。

公的年金の受給見込み額は、毎年の誕生月近くになるとに届く「ねんきん定期便」で確認できます。最近は、ねんきん定期便に記載されている二次元コードをスマートフォン等で読み取れば、厚生労働省が提供している「公的年金シミュレーター」にアクセスでき、生年月日などを入力するだけで将来の受給額が試算できます(ねんきん定期便が手元になくても、ご自身のデータを入力することで利用可能です)。

いつまで現役の時と同じような体力で働き、同じ収入を得られるか分からないからこそ、「公的なベースとしていくら入ってくるのか」をこの機会に知っておくことが非常に重要です。

ねんきん定期便

老後の支出は減る?大きな分かれ目は「住まい」

老後になると、「子どもの教育費がなくなる」「住宅ローンの返済が終わる」などの理由から、今より生活費が下がると思っている方もいるかもしれません。

確かに教育費や住宅ローンなどの支出は減る可能性があります。しかし、それ以外の支出については、よほど意識して自制しない限り、あまり減らないのが現実です。仕事から離れて時間ができる分、趣味や旅行、交際費にかけるお金が増える可能性もあります。

そのため「老後は今よりお金がかからないだろう」と考えるのではなく、自分がどのような暮らしを送りたいのかをイメージしながら支出を考えることが大切です。

その中でも特に大きな影響を与えるのが、「住まいにかかるお金」です。

持ち家の場合は、住宅ローン完済後も固定資産税や修繕費がかかります。マンションであれば、管理費や修繕積立金も継続して必要になります。

固定資産税納税通知書

一方、賃貸の場合は老後も家賃の支払いが続きます。将来的な家賃の値上がりや更新料なども考慮しておくと安心です。

老後にどのような住まいで暮らしたいのかを考えておくことで、より現実的な支出のイメージが見えてきます。

やってみよう!

  • 今の生活費から、将来なくなる支出(教育費・住宅ローンなど)を書き出してみる
  • 老後の住まい(持ち家・賃貸)をイメージし、住居費がどのくらいかかりそうか考えてみる

一般的な高齢世帯の不足額を見てみよう

ここまで、ご自身の老後の収入と支出をイメージしながら、老後のお金について考えてきました。では、一般的にはどのくらいの不足額が発生しているのでしょうか。

総務省統計局「家計調査報告」などによると、65歳以上の無職世帯では、年金などの収入だけでは生活費をまかないきれず、毎月一定額の不足が発生しているケースが見られます。

65歳以上の夫婦のみの無職世帯:毎月約4.1万円の不足
65歳以上の単身無職世帯:毎月約3万円の不足

仮に、この不足額が65歳から90歳までの25年間続くとすると、

【夫婦世帯の場合】約4.1万円×12か月×25年=約1,230万円
【単身世帯の場合】約3万円×12か月×25年=約900万円

となります。

もちろん、これはあくまでも平均的なデータです。実際には、働き方や住まい、生活スタイルによって必要な金額は大きく変わります。

そこで次に、医療・福祉の現場で働く方をイメージしたケースで考えてみましょう。

中村さんからのアドバイス

不足額を見ると不安になるかもしれませんが、まずは「見えない不安」を「具体的な数字」に変えることが大切です。数字が分かれば、あと何年働けばいいのか、毎月いくら積み立てればいいのかという具体的な対策が立てられるようになりますよ。

ケースで考える!自分に近い老後資金をシミュレーション

あくまでも一例ですが、「自分だったらどうだろう?」と考えながら読み進めてみてください。

ケース①55歳・単身・介護職の場合

介護職として働く55歳のBさん。現在は賃貸住宅に住んでおり、「65歳以降は週2〜3日程度働きながら暮らしたい」と考えています。65歳以降の年金受給見込み額は月11万円、パート収入は月3万円を想定。老後の生活費は月16万円ほどかかる見込みです。

この場合
【14万円(年金+勤労収入)-16万円(支出)=▲2万円】
となり、毎月2万円の不足が発生します。

仮に65歳から90歳までの25年間、この状態が続くとすると、
2万円×12か月×25年=約600万円
がひとつの目安になります。

「何歳まで働くか」を考えることも、老後資金を考える上で大切なポイントです。


介護職として働く55歳のBさん

ケース②夫婦で暮らす介護職の場合

介護職として働いてきたCさんご夫婦。年金受給見込み額は夫婦合わせて月20万円です。

老後の生活費を月24万円とすると、
【20万円(収入)-24万円(支出)=▲4万円】
となり、毎月4万円の不足が発生します。

同じく25年間で計算すると、
4万円×12か月×25年=約1,200万円
が目安となります。

もちろん、実際には働き続けるかどうか、住まいの状況、趣味や旅行にどれくらいお金を使うかによって必要な金額は変わります。

大切なのは平均額に当てはめることではなく、自分自身の状況に合わせて考えることです。

知っておきたい!老後にかかる「生活費以外」のお金

老後資金というと毎月の生活費に目が向きがちですが、実際には病気や介護、自宅の修繕など、まとまった出費が発生する可能性もあります。

例えば、公的な調査では以下のような費用がかかるケースがあるとされています。

  • 医療費(65歳~90歳の自己負担額):約200万円
  • 介護費:約500万円
  • リフォーム費:約100万円以上
費用がかかるケース

もちろん、実際にかかる金額は健康状態や住まいの状況によって異なります。

そのため、毎月の不足額から計算した老後資金に加えて、「もしものための予備資金」も意識しておくと安心です。

中村さんからのアドバイス

「生活費のためのお金」と「万が一のためのお金」を分けて考えることで、老後資金の計画はぐっと立てやすくなります。まずはそれぞれにどのくらい必要かを整理することから始めてみましょう。

必要額が見えたら、少しずつ備えよう

ここまでで、ご自身に必要な老後資金のおおよそのイメージが見えてきたのではないでしょうか。

「25年間で600万円必要」
「25年間で1,200万円必要」
と聞くと、その金額を定年までにすべて貯めなければならないように感じるかもしれません。しかし実際には、65歳になった瞬間に老後の生活費をすべて支払うわけではありません。

例えば、毎月3万円不足する場合、そのお金は25年かけて少しずつ必要になります。そのため、老後資金を考えるうえで大切なのは、「定年までに必要額をすべて現金で用意すること」ではなく、「必要なときに使えるお金を計画的に準備しておくこと」です。

ポイントは、現役時代にできる限り資産形成をして「資産の山」をつくり、老後はそれを安全に運用しつつ少しずつ切り崩していく、という考え方です。これを「貯水池(ダム)」に例えてみましょう。

現役時代:川から水を引いて、ダムにたくさんの水を貯める時期。
老後:貯めた水を、干からびないように少しずつ計画的に放出して使う時期。
貯水池(ダム)

ダムの水を一度に使い切るのではなく、必要な分だけ少しずつ取り出して使うように、老後資金も計画的に活用していくという考え方です。そのため「定年までに必要額をすべて現金で用意しなければならない」と考える必要はありません。

また、老後もすべてのお金を預金のまま持っておくとは限りません。資産を運用しながら取り崩すことで、お金をより長く活用できる可能性があります。

もちろん投資にはリスクもあります。そのため、預貯金だけでなく、NISAなどを活用した長期・積立・分散投資を組み合わせながら、自分に合った方法で資産形成を進めることが大切です。

毎月の不足額だけでなく、こうした予備資金についてもあわせて考えておくと安心です。

やってみよう!

  • ご自身の老後資金の目標額を考えてみる
  • その目標額に向けて、毎月いくら準備できそうか考えてみる
  • 不足が大きい場合は、働く期間や支出の見直しもあわせて考えてみる

数字が見えたことで働き方を選べたAさんの事例

「老後資金」と聞くと、漠然とした不安を抱く方は少なくありません。40代の独身女性・Aさん(看護師)もその一人でした。

Aさんは「夜勤を続けるのが体力的に厳しくなってきたものの、収入が下がると老後が不安で転職に踏み切れない」と悩んでいました。そこで、将来の年金受給額や生活費をもとにシミュレーションを行ったところ、老後は毎月約6万円不足する見込みであることが分かりました。

一方で、必要な金額が見えたことで「毎月いくら積み立てればよいか」「毎月いくら準備すればよいか」といった具体的な計画を立てられるようになりました。

その結果、Aさんは将来への見通しを持てるようになり、自分に合った働き方を選択。現在は日勤中心の職場で働きながら、計画的に老後資金の準備を進めています。

40代の独身女性・Aさん(看護師)

Aさんは、「いくら必要なのか分からないことが一番不安だった。でも数字で見えるようになったことで、将来への見通しが持てるようになりました」と話しています。

老後資金は、不安のまま抱え続けるものではなく、具体的な数字に置き換えることで対策を考えられるものなのです。

中村さんからのアドバイス

老後資金に不安を感じる方の多くは、「いくら必要なのか分からないこと」に不安を感じています。まずは必要な金額をシミュレーションし、目標を具体的な数字にすることが大切です。

数字が見えるようになると、「何をすればいいのか」が分かり、不安は少しずつ行動に変わっていきます。

まとめ

ここまで、自分に必要な老後資金の考え方や備え方について見てきました。最後に今回の記事のポイントを整理しておきましょう。

この記事の3つのポイント


  • 老後資金に必要な額は人それぞれ。まずは「収入-支出」で毎月の不足額を確認する
  • 老後の支出を考える際は、住まいにかかる費用も忘れずに考える
  • 不足額が見えたら、貯蓄や働き方、支出の見直しなど、自分に合った方法で少しずつ備える

老後資金は世間で言われる金額ではなく、「自分の場合はいくら必要なのか」を知ることが大切です。まずは収入と支出を書き出し、必要な金額を見える化することから始めてみましょう。

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中村俊介

監修者:中村俊介

大手教育系会社にてマーケティングに従事した後、個人の人生を「より深く長期的にサポートしたい」という想いからソニー生命保険株式会社へ。FPとして保険商品だけでなく家計改善・資産形成などマネープラン全般に応えるスタイルで多くの顧客から支持され、「年間新人賞」等も受賞した。13年間にわたり約500世帯をサポートし、現在は独立して多方面で活躍中。

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