岩佐真悠子さん インタビュー:一歩踏み出す編(#1)

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岩佐真悠子さん インタビュー:一歩踏み出す編(#1)

【New me!Well me!】

俳優として活躍し、現在は介護職として新たなキャリアを歩む岩佐真悠子さん。一見、全く異なる世界への転身に見えますが、その決断の裏にはどのような想いがあったのでしょうか。前編 / 後編でお届けする今回のインタビュー。

前編の<一歩踏み出す編(#1)>では、芸能界での葛藤から介護職への興味、そしてキャリアチェンジを決意するまでの心境の変化に迫ります。聞き手は岩佐さんの友人でもある、介護福祉士の玄さん。

後編の記事はこちら


岩佐真悠子(いわさ まゆこ)

2003年にミスマガジンでデビューし、俳優として活躍。現在は介護士として働きながら、介護タレントの西田美歩と2人で介護の魅力や情報を発信している。

玄(げん)

介護福祉士として働きながら、音楽DJとしても活躍中。介護や障害者施設にて音楽イベントを開催している。


ー 俳優時代の仕事への向き合い方や価値観について教えてください。

岩佐さん : 芸能界にいたときは、本当にふわっとした気持ちで仕事を始めていたので、熱い想いみたいなものが最初からあったわけではないんです。
でも、やっているうちに仕事が好きになって、作品への想いとか「この話の良さを届けたい」という意欲が出てきました。自分が目立ちたいとか売れたいっていう気持ちはあんまりなくて、その作品や主演の方の良さを「皆さんに届けたい!」みたいな。

価値観は今もあまり変わってないです。地元の友達に「真悠子は変わらないね」って言われますし、ずっと自然体のまま過ごしてきた気がします。

ー 主役でいるよりも相手を立てる方が好き?

岩佐さん : そうですね、主役もやらせていただきましたけど、気持ちが前に前に出るタイプではなかったです。誰かをサポートしたり、脇にいるほうが好きでした。

ー その「サポートしたい」という気持ちが、介護の仕事にも繋がってる?

岩佐さん : そうなんですよ。 人を立てるのが好きだから「スナックのママもいいんじゃない?」って言われたりします(笑)。

ー 介護職に興味を持ったきっかけを教えてください。

岩佐さん : 『ミスマガジン』の同期であり、親友でもある西田美歩ちゃんがきっかけです。
ねぇ、ちょっと、ちょっと。(撮影を見守っていた西田さんに手招きする岩佐さん)

(西田さんが飛び入り参加して笑顔があふれるおふたり)

西田さん : どうも、きっかけです(笑)。よろしくお願いします。

岩佐さん : 私が芸能界を引退しようと思ったときに「何したらいいと思う?」と相談をしたんですよね。そしたら、先に介護の仕事をしていた西田が「介護の仕事いいんじゃない?向いてると思うよ。めっちゃ楽しいよ」って話してくれて。

西田さん : 本当に向いているなぁって感じたんです。普段から介護の仕事が楽しいことは真悠子に話していたので、「真悠子にも合うと思うし、楽しいから一緒に働こうよ!」みたいな感じで誘ってましたね。

ー 介護の仕事に対する最初のイメージは?

岩佐さん : 西田はリハビリ中心のところで働いていたので、「(利用者さんと)一緒に運動したり、お話しして楽しいよ」って話を聞いていました。でも、私はもともと、介護に対しておむつ交換みたいな身体介助のイメージが強かったので、食い違いがあって。

ー それでも介護の世界に飛び込んだ?

岩佐さん : はい。どこにどういう仕事があるかわからないから「とりあえずやってみよう!」って、本当に勢いでしたね(笑)。

西田さん : 当時、コロナ禍で家にいる時間が長かったこともあり、たまに公園で会って喋ったりすると、真悠子がモヤモヤ悩んでそうだなとは感じてたんです。だから、外に出て働くきっかけになるといいな、介護だったら体を動かすし向いてるなって。体動かすのは好きだもんね?

岩佐さん : そうね。体を動かすのが好きというより、じっと座ってるのが苦手!(笑)。

ー 岩佐さんが介護職を始めたと聞いてどうでした?

西田さん : いやあ、嬉しかったですね。嬉しかった反面「ああ、誘っちゃった。どうしよう」という気持ちも少しありました。本当に介護職が合っているかもわからないし、大変な部分も結構あるので大丈夫かなって。でも話を聞いてみたら、なんだか楽しそうにやっているようで、よかったって思いましたけど。

ー 芸能界時代のことについて職場で何か言われることは?

西田さん : 「気づかれませんか」「ちやほやされませんか」って聞かれることもあるんですが、マスクしてすっぴんで、髪もボサボサで、目の前のケアでいっぱいいっぱいなので(笑)。

岩佐さん : 時々「あのドラマで一緒に出てた〇〇さんってどう?」とか、私の話じゃないんかーいってことはありますけどね(笑)。

ー ここからは改めて、岩佐さんご自身の人生についてお聞きしたいと思います。キャリアチェンジを具体的に考え始めたのはいつ頃ですか?

岩佐さん : 芸能界でのモヤモヤは1、2年間ぐらいずっとありました。「今後どうしていこうかな」って。明確に辞めようと思ったわけじゃないけど、漠然と悩んでいて。

「よし、キャリアチェンジしよう」って決意したのはコロナ禍です。コロナで芸能界の仕事がほぼストップして、ちょうど事務所との契約形態を変える話もあったので「いいタイミングだから、これを機に」って。私も30歳を過ぎていたし「今かな」と。地に足をつけた生活がしたかったという想いが強かったんです。

ー キャリアについて、ずっと悩まれていたんですね。

岩佐さん : 自分のやりたい役と、自分に対する世間のイメージとのギャップに悩んでいました。正解がない中で、どこを目指せばいいのかわからなくなってしまって。「売れたい」って気持ちももともとないから、終着点が見つからなかったんです。「私、一体どこに向かえばいいんだろう」って。

それに「綺麗」とか「可愛い」とか、人に見られる自分でいることにちょっと疲れたのもありますね。30歳過ぎて老けたりもするし、美容に時間とお金をかけるのも好きじゃない。「老けた」とか「太った」とか言われるのも、もう面倒くさいなって。

ー いざ介護の世界に飛び込むにあたって葛藤や迷いは?

岩佐さん : あんまりなかったです。今の事務所を辞めるなら、芸能界にはいないって即座に決めたので。ただ「辞めて何をするか」は悩みました。仕事の影響で高校も中退していたし、社会経験も偏っているので、できることの選択肢が少なかった。だから逆に、介護だって決めたあとは、迷わずに進めた気がします。

ー 介護職を始めたときの周囲の反応はいかがでしたか?

岩佐さん : うーん、「すごいね」「偉いね」って言われることが多かったんですが、私自身はただ仕事を変えただけという感覚でしたね。「芸能界を辞めてもったいない」という意見もありましたが、モヤモヤくすぶっていた頃の自分より、現場で仕事をしながら、介護の世界をよくしていきたいと西田と一緒に活動している今の自分のほうが、自由で充実した生活を送っています。

ー 素敵ですね。岩佐さんは物事をフラットに見られる方だとお見受けします。

岩佐さん : そうかもしれません。年齢、国籍、立場とかあまり気にしないし、例えばすごくお金持ちで偉い人がいたとしても特別扱いするのは好きではなくて。その人自身がどうかということにしか興味がないですね。

ー 転職活動はどんな風に進められましたか?

岩佐さん : コロナで外に出られるような状況でもなかったし、まずは『介護・仕事・探す』みたいな感じでネット検索しました。
そうすると「デイサービス」など色々出てくるんですが何が何やらわからないんですよ。だから、とりあえず『給料の高い近場』という条件しか付けなかったです(笑)。

私、介護業界で何回か転職をしてるんです。派遣もあれば、転職サイトのスカウトが届くようなサービスを使ったり、あとは直接電話をしてみたりとか……いろんな転職の仕方をしましたけど、自分に何が合っているかを教えてもらえるのは有難かったですね。

ー いざ、介護の仕事が始まって、初めて現場に入ったときの印象を教えてください。

岩佐さん : めちゃめちゃ戸惑いました! 最初は特別養護老人ホームで働いたんですが、初日に「90%以上の利用者さんが認知症の方です」と言われて。でも、どうやってコミュニケーションをとればいいのかわからない。「こんにちは」と挨拶しても何も答えが返ってこなくて「どうしよう……」って。

あとから考えれば「耳が遠かったのかな」「私の声が小さかったのかな」といろいろ理由は思いつくんですが、当時は知識が全くないからうろたえてしまって。
結局、お話ししやすい利用者さんのところにずっといっちゃうんですよね。そうすると「ダメだよ」って怒られる。だから、現場業務より研修のほうが、やることが明確で気が楽でした(笑)。

ー 入社当時はハードだったんですね!

岩佐さん : 利用者さんの顔と名前を覚えるのも大変でした。皆さん大きなマスクをしていて、(お顔が見えづらいので)髪型でなんとなく覚えていたら、突如髪を切っちゃったりして。「あれ!?」ってめちゃくちゃテンパりましたね。アドバイスとしては「髪型で人を覚えちゃいけない」(笑)。



編集後記

「気楽な気持ちで飛び込んだ」と語る岩佐さん。しかし、実際に足を踏み入れた介護の現場は、想像を超える出来事の連続でした。後編の<輝け、ワタシ編(#2)>では、特別養護老人ホームでの衝撃的な初日体験や、介護の仕事のリアルな大変さ、そしてそれを上回るやりがいや魅力について、さらに深く語っていただきます。お楽しみに!

後編の記事<輝け、ワタシ編(#2)>

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ウェルミーマガジン編集部

執筆者:ウェルミーマガジン編集部

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