今年1年間、転居後で経験した認知症の妻の在宅介護の実態を報告しました。私は、以前(2009年)、認知症の人の在宅介護の条件として9つの項目を提言したことがあります(注1)。これらの条件を私の実際の介護経験から再検討して、この連載を終えたいと思います。
厚生労働省は今年1月、2017年度以降の認知症対策として「認知症施策推進総合戦略―認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて―」(通称:新オレンジプラン)を公表しました。この戦略の基本的考え方は「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」とされ、7つの柱を挙げています(注2)。