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同居家族が居る世帯の生活援助をどうする? vol.1

2015-11-09

家族と同居する世帯での訪問介護サービスを提供する際は、原則として、生活援助サービスを位置づけることができない。しかし、本人の状況と家族の事情によってはサービス対応できることもあるため、きちんとしたアセスメントと理由づけが重要である。その考え方と方法について事例を通して考えていきたい。

生活環境に変化があったとき、再度アセスメントする

要介護者である女性の一人暮らし世帯に、週に2回生活援助として買い物代行を実施していた。あるとき、体調の変化があり、この女性は、家族の住む二世帯住宅の1階部分に引っ越して生活することとなった。

本人の生活スペースは1階で、寝室、台所、トイレは本人のみが使用。家族は2、3階で生活しており、台所、居室等も区別されている。その家族は、日中仕事をしており不在。

これまで提供していたサービスが継続可能かどうか、担当ケアマネジャーと検討した。担当ケアマネジャーの見解では、生計が別であり、台所、生活空間も別となっているので別世帯と考え、これまでどおりの生活援助の継続ができるのではないか、というものだった。

だが、サービス提供責任者の見解では、生計、生活空間は別であるが、同居世帯と考え、生活援助を位置づけるには、再度アセスメントして、家族が援助できない理由等の確認が必要ではないか、という。

同居家族の有無の判断は、建物の構造だけの問題ではない

同居家族が居る場合、生活援助の位置づけについて、まずは、同居世帯とみなすかどうか、近くに援助できる家族がいないかどうかで判断する。

(1)同居の判断

(2)生活実態を勘案して判断する場合

(3)家族介護が期待できる近い距離に別居家族が居る場合

利用者と別居の家族の居住地が、利用者の援助を行うことが期待される程度に近い距離にある場合には、家族介護が行えるかどうかの検証が必要。

また、同居家族がいる場合では、「同居家族は家事ができないこと」を確認する。

(1)同居家族に障害・疾病がある。

(2)同居家族に障害・疾病はないが、同様のやむを得ない事情がある。

例)本人が認知症のため排便等で汚染する。

上記をふまえ、この時点において、今回のケースでは、同居世帯ではあるが、昼間独居世帯であると判断した。

自立支援の視点から必要性を判断する

しかし、まだこの条件だけでは、生活援助は位置づけられない。本人の生活状況、家族の生活実態についても検討する必要がある。

(1)利用者が一人になる時間帯にサービスを入れる必要性があること。

(2)調理・買い物などを位置づけて『食事を確保』する場合、配食サービスやデイサービス利用など代替案は利用できないか。また、買い物代行においては、家族の買い置きができない物であること。

(3)家族が援助できない理由(時間的な余裕、家事を行う能力など)を検討する。

注意すべき点としては、本人の「家族に迷惑をかけたくない」という感情や、家族が家事に慣れていないという理由だけでは、家族が援助できないという理由にはならないことだ。これらの事情を勘案したうえで、たとえば、本人の調理に関する能力が不十分だが、援助があればできるなど、自立支援につながる生活援助であれば、位置づけも可能である。

サービス担当者会議において、昼間独居の時間帯に生活援助を行うことが必要と判断された場合であれば、それをケアプラン及び介護計画書に明記して対応するのが望ましい。

今回のケースでは、「同居家族が買い物代行を行う」ということで、買い物代行に関するヘルパー援助はいったん休止となった。

本人の生活環境が変わったときに、家族の生活実態についての確認を曖昧にせず、再度アセスメントしたことで、援助の幅が広がり、本当に必要なサービスを見直す機会となった。

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