平成27年度介護報酬改定解説vol.2−ケアマネのあり方が問われる改定に

2015-02-16

ケアマネにとって気になる、居宅介護支援の報酬改定に着目してみましょう。あらゆるサービスを通じてもっとも収支差率が低い(マイナス1.0%)ことを受け、基本報酬は引き上げとなりました。しかし、認知症加算・独居高齢者加算が基本報酬に組み込まれた分がどうなるのか。新しい特定事業加算も含めて、事業所・利用者への影響を考えてみます。

基本報酬はプラスだが、実際はどうなった?

基本報酬は、居宅介護支援Iを取り上げてみます。要介護度の区分にかかわらず、3.6%前後の引き上げとなっています。一方、単位数で計算すると、要介護1・2で37単位、要介護3以上で47単位の引き上げとなりました。これを要介護度別の利用者割合(平成25年度の介護給付費実態調査のデータより)でならしてみると、利用者1人あたりプラス45単位という数字になります。

一方、認知症加算・独居高齢者加算について、算定している利用者の割合(平成26年5月の介護給付費実態調査分)で計算すると、前者で32.6単位、後者で18.2単位、合計で50.8単位分が消えることになります。単純計算なのではっきりとは言えませんが、基本補修との差し引きで見ると、ほぼ現状維持かややマイナスということになりそうです。

以上の点から考えた場合、現状で苦しい収支を改善するには、(1)中重度(要介護3以上)の利用者割合を増やすか、(2)新設・再編された特定事業所加算を取得していくことが必要となります。なお、介護予防支援の基本報酬も上がっていますが、上昇分は16単位なので、利用者算定数が2分の1であることを考慮すると32単位となります。総合事業のマネジメント費用がどうなるのかは流動的ですが、いずれにしても軽度者を増やすことは収支の改善にあまり結びつきそうもありません。

小規模事業所はますます厳しさが増す!?

仮に重度者を増やしていくという選択肢をとった場合、病院との連携の中で入院時情報連携加算や退院・退所加算も増えていくでしょう。もちろん、状態が不安定な利用者も増えるので「入院リスクが増える」となれば稼働率は問題となります。ただし、国は診療報酬の改定も含めて、病院から在宅へという流れを強めています。これに対応できるリスク管理ができるかどうかがカギとなるでしょう。

しかし、こうした流れへの対応を強めていった場合、「重度者対応ができる事業所規模があるか」「訪問看護などとの連携をスムーズに行なうノウハウがあるか」によって、事業所間の収支格差が広がる可能性があります。

仮に新たな特定事業所加算の取得を目指したとします。Iについては「重度者要件」は10%緩和されたので「ボーダーライン」だった事業所はIIからIへと移行できるでしょう。ただし、I・IIでは常勤専従のケアマネ・主任ケアマネの配置数のハードルが上がり、I〜IIIで「法定研修等における実習受け入れ事業所となる」といった要件が加わりました。

これを考慮すると、いずれにしても1人ケアマネなどの小規模事業所がどんなに重度者対応に力を入れても、なかなか収支の改善にはつながりません。むしろ、ケアマネが疲弊してしまう可能性が高く、事業所の大規模化が促進されていくことになりそうです。

ここでも「重度化防止」の行方が問題に

問題なのは、軽度の利用者です。訪問・通所介護の解説でも述べましたが、ある程度の規模がある事業所なら「将来的な顧客の重度化」を見込んで軽度者も受け入れる動きは見せるでしょう。その意味で「軽度者がケアマネジメントからはじかれる」などの流れは、早々には生じないかもしれません。

しかし、気になるのは、「軽度の人を重度化させない」というインセンティブが、今回の改定ではほとんど見られない点です。むしろ、ケアマネが重度化防止のために頑張ろうとすると、採算が少しずつ悪化しかねなにしくみとなっています。ケアマネとして、利用者支援へのモチベーションをどうやって保てばいいのかを真剣に考える必要があります。

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