平成27年度介護報酬改定解説vol.3−制度変化に流されない特養の気概を

2015-02-23

引き続き、平成27年度からの介護報酬改定について考えてみます。今回は、やはり基本報酬が引き下げとなった介護保険施設についてふれてみましょう。特に、制度改正で入所要件の変わった特養ホームが、どのように位置づけられたのかを掘り下げます。

基本報酬が下がり重度化関連の加算に焦点が

特養ホームも、老健も、そして介護療養病床も、(従来のタイプに限れば)軒並み基本報酬が引き下げられています。他のサービスと同様、各施設は加算などで何らかの「重点化」策がほどこされており、それに対応できない施設は減収となるしくみになったわけです。

中でも特養ホームは、新規の入所要件が「原則して要介護3以上」に限定されました。そして、基本報酬は、居室の種類に限らずおおむね5~〜6%引き下げとなっています(平成27年8月以降に室料相当の負担が生じることで、多床室はさらに引き下げが加速します)。

国は「収支差率が高い」ことを引き下げの根拠としていますが、マイナスの施設も25%以上あります。となれば、基本報酬が下げられた分、重度化を想定した加算の取得に動くことが欠かせなくなります。重点化のポイントは、まさにこの点に集約されています。

日常生活継続支援加算と看取り介護加算

まず、新規入所を中重度に特化したという点に合わせた加算が、日常生活継続支援加算です。加算自体は引き上げられたのですが、その要件が少し変わっています。これまで重度者要件は「入所者」を対象としていたのですが、これが「新規入所者」となりました。つまり、これからの入所要件が「原則要介護3以上」になることに合わせたわけです。

気になるのは、「特例的に要介護2以下でも入所可能」という部分に影響が出ないのかということです。重度者要件の中には、「認知症の程度」はありますが、たとえば「家族による虐待リスクがある」といった項目はありません。仮に施設側に「加算に頼る部分が大きくなる」という意識が働いたとき、「特例」というセーフティネットが機能するでしょうか。

中重度者への特化という点では、看取り介護加算が「早期」(死亡日以前4日以上30日以下)の段階で大きく引き上げられました。看取りの方針を、入所段階から本人や家族に説明して同意を得る。そして、その方針を過去の看取り実績をふまえて見直しを行なう。こうした要件が強化されています。

看取りのケアというのは、家族の不安、職員の精神的負担をどうカバーしていくかが大きな課題の一つです。その点で「施設としての方針」をしっかり固めていくという方向性自体はいいでしょう。しかし、これまで以上に重度者受け入れに重点化し、看取りに集中化していくという傾向が強まる中では、施設の考え方がいっそう問われるとも言えます。

特養ホームの風景は変わっても理念の堅持を

介護の基本は、どんなに重度化しても、たとえ死期が間近に迫っていようとも、最期まで本人の意向をふまえて「その人らしさ」を支えていく点にあります。このビジョンがしっかりしていないと、介護職は「自分たちのなすべきこと」の方向性を見失い、「容態が急変したときにどうすればよいか」といった部分だけに縛られてしまう可能性があります。

これまで特養ホームは、比較的軽度の人であっても、重度で看取りの時期が近づいている人であっても、同じ生活空間の中でお互いをいたわり支え合うという「共同生活の場」でした。その中で、入所者の「その人らしさ」の実現をフォローするのが、職員の役割だったはずです。ユニットケアの理念は、まさにそこにあったのではないでしょうか。

今回の改革をきっかけに、特養ホームの持つ風景は徐々に変わっていくかもしれません。それでも、先のような理念を堅持し続ける気概が施設側にあるかどうか。これは、特養ホームの存在意義さえ左右する問題とも言えます。法人トップとしては、単にそろばんをはじくだけでは済まない転機に差し掛かっていることを自覚することが必要でしょう。

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