保険外サービスを優先させる流れ?

2015-04-13

経済産業省が「次世代ヘルスケア産業」の創出をテーマとした協議会を開催しています。その中で示されているのが、地域包括ケアシステムとの連携。具体的には、平成27年度から順次スタートする「新しい総合事業」を念頭におきつつ、民間事業者による介護保険外サービスをどのように位置づけるかをポイントとしています。こうした動きを、介護保険のあり方と関連させつつ掘り下げてみます。

ガイドラインに示された気になる文言

経産省は、「民間事業者が市町村と連携しつつ、公的保険外サービスを推進する事例は全国的には十分に広がっていない」としています。そのうえで、「地域包括ケアシステム構築のための公的保険外サービスの活用促進ハンドブック(仮称)」の策定を進めるとしています。これをもとに「地域版協議会を通じて、公的保険外サービスの拡大を図る」わけです。

注意したいのは、新しい総合事業の財源構成は(上限額が設定されているとはいえ)介護・予防給付と同じだということです。その中で「公的保険外」をうたうことの位置づけはどうなっているのか。総合事業のガイドラインでは、以下の文言を見ることができます。

「総合事業によるその他の生活支援サービスは、市場におけるサービス提供の活用を補足するものとして提供するものである」 「総合事業は、市場において提供されるサービスでは満たされないニーズに対応するものであることから、市場における民間サービス(総合事業の枠外のサービス)を積極的に活用していくことが重要である」

総合事業は保険外サービスを補完するもの?

言い回しがやや分かりにくいですが、要するに、(1)総合事業における「その他の生活支援サービス」は(保険外の)市場サービスを補完するものであり、(2)総合事業の枠外となる市場サービス活用を優先する──と解釈できます。つまり、生活支援のニーズが生じた場合、最初に「保険外の民間サービス」をあて、まかない切れない場合に「総合事業によるサービス」で補完する流れになるわけです。

ちなみに、生活支援・介護予防の基盤整備に際しては、市町村ごとに協議体を設けることになっています。その参画例の一つには、民間企業も含まれています。ちなみに、この協議体の設置は、地域支援事業における包括的支援事業に位置づけられています。

以上の点をまとめると、新しい総合事業にあたる「介護予防・生活支援サービス事業および一般介護予防事業」は、地域の生活支援体制の一部に過ぎないという位置づけが見えてきます。もっと言えば、民間による保険外サービスをどのように活用していくかが、市町村にとって大きなテーマとなります。

今回の総合事業を含めた「地域支援事業」の改革は、言ってみれば「地域の生活支援ニーズを、できる限り介護保険外のサービスへと結びつけていくこと」が、目玉の一つとして位置づけられているわけです。

低所得者・重度者以外は「保険外」となる!?

地域には、介護保険だけではまかなえないニーズがたくさんあります。それを支えるために保険外の民間サービスを拡充させることは、確かに重要なテーマと言えるでしょう。

問題は、本来は介護保険に向けられたニーズを、保険外の資源へと移行させる議論がワンセットになりつつあるのではないかという点です。たとえば、一定以上の所得・資産がある人は、「介護保険を使わずに、まず保険外のサービスを使うようにする」流れが少しずつ整えられているのではないでしょうか。

そのうえで考えたいのは、財務省などが議論している「軽度の要介護者も地域支援事業に移行させる」という案です。そうなった場合、介護保険を使える人は(低所得者や重度者など)ごく一部に限定されてくる可能性もあります。当然、「何のために介護保険料を払っているのか」と考える人も出てくるでしょう。仮に、「保険外資源を優先させる」ビジョンがあるとするなら、もう少し国民に分かりやすく示すことが求められます。

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