ケアマネの公務員採用を考えてみる

2015-11-18

各種制度改正により、今年度から自治体にはさまざまな責務が課せられています。新しい総合事業については2017年4月までに、認知症総合支援事業、在宅医療介護連携推進事業については2018年4月までに、それぞれすべての市町村でスタートさせることが必要です。大きな負担が自治体行政にかかる中で、「付け焼刃」ではなく、真に地域のためになる施策設計を進めていくことが求められます。

市町村に課せられたさまざま事業の進ちょく

厚労省の調査では、新しい総合事業を2015年度中にスタートさせた、あるいはその予定という市町村は約13%となっています。地域医療介護連携推進事業は、「実施していない(年度内実施予定も含む)」あるいは「7事業のうちスタートさせたのは2つ以下」の市町村が5割以上という状況です。多くの市町村が「まだ準備段階」にあるといえます。

制度改正以前から何らかの関連事業を進めてきた市町村では、スタートに向けた下地はある程度整っています。逆に、医療、介護を含めた地域の多資源間の連携の下地がまったくないというケースもあり、そうした地域では、たとえば協議体一つ作るのでも「多資源間の顔合わせ」という段階からスタートせざるをえないという光景も見受けられます。

土台がしっかり築かれていない中で、慌ただしくスタートしたとしても、しばらくは混乱が続くことになるかもしれません。

行政と現場の「パイプ役」人材がさらに必要

地域状況を見ると、多資源間の「つなぎ役」となる人材が育成されているか、あるいは、そうした人材を地域からしっかりと抜擢できているかがポイントになっています。

どのような地域でも、さまざまな可能性を秘めた人材がいて、独自に多職種連携などを進めているケースは多いものです。問題は、市町村側がそうした現場側の動きに無頓着で、せっかくの既存資源を活かせないという状況です。総合事業の場合、都道府県からのコーディネーター派遣も見られますが、各市町村が自前で行政と現場のパイプ役を早急に育成していくことは欠かせないでしょう。

今後、国の介護施策が地域支援事業へと移行する流れが強まるとして、市町村内の体制も、民間からの専門職採用を拡大するなどの構造改革がさらに求められるでしょう。総合事業では、「地域支え合い推進員」などが地域資源開発にかかわりますが、医療、介護、その他の業界も含めて、より横断的に多資源をコーディネートできる人材も必要です。

市町村人材に「ケアマネ有資格者」の登用を

これまでも、市町村による保健師や社会福祉士などの専門職採用は、地域支援事業の拡大とともに少しずつ拡大してきました。これにプラスする形で、「ケアマネの公務員採用」を積極的に考えるべきではないでしょうか。

現在も、主任ケアマネ資格を有する人材が、直営型包括などに勤務するべく行政に出向・採用されるケースはあります。これを一歩進め、高齢者支援関連の部署において、一定程度ケアマネの有資格者を採用することを市町村に義務づけるわけです。もちろん「施策形成力」も必要ですから、事前にそうした分野のカリキュラムを修得する要件を付します。

「そうなれば、人件費として地域支援事業交付金の引き上げなどが必要になる」という意見もあるでしょう。しかし、財務省などが進めようとする改革を見ると、地方行政がやがて人材難に陥りかねません。そのたびにツギハギ的な人材登用を進めるより、「すべての地域ニーズは個別ケースから生じる」という観点で、ケアマネジメントに精通したケアマネを登用する方が効率的ではないでしょうか。

もちろん、そのためにはケアマネ自身も日々の業務の中で精進し、地域全体を見据えつつ、幅広いコーディネートができる目を養わなければなりません。逆に言えば、それによって「ケアマネの社会的価値」の向上にもつながります。大胆な発想かもしれませんが、そうしたビジョンも必要な時代になりつつあることを業界全体で考えていくべきでしょう。

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