人材不足を少しでも解消する現場工夫

2015-11-30

深刻な介護人材不足が続く中、11月の「介護の日」前後に、全国のハローワークで「介護就職デイ」として、就職説明会やセミナー、施設見学会などの企画が開催されました。しかし、こうした催しも一時的なものやパターン化されたものでは意味がありません。少しでも「介護業務の魅力」を効果的に発信できる方策を考えてみましょう。

離職防止のために3つの評価を機能させる

介護業界の人手不足は、(1)(特に経験年数が少ない人やリーダークラスの)離職率の高さ、(2)応募が少なく採用率がなかなか上がらないことから生じています。前者については、低賃金・重労働という状況もさることながら、自らの業務に対する「評価」が見えにくく、「何のためにこの仕事をしているのか」という立脚点が揺らぎがちなこともあげられます。

人がやりがいをもって働くためには、(1)組織で体系化された評価、(2)同僚間の評価、(3)利用者からの評価(2)、(3)の場合は、フォーマルなものだけでなく、日々ちょっとしたことで感謝されるなどインフォーマルなものも含む)という3つがバランスよく機能していなければなりません。たとえば、離職動機になりやすい「職場の人間関係」というのは、(2)が十分に機能していないことで生じます。

「ほめあう場」「感謝を伝える機会」など

確かに(2)、(3)の評価のしくみを組織的にマネジメントしていくとは難しいでしょう。最近現場でよく見られるのが、同僚同士が意識的に「ほめ合う」機会を設けることです。ある施設では、部署単位の研修の際に、その部署全員の名前を書いたリストを配布し、各自に「全員の長所だけ」を書き込ませています(他部署に「特に賞賛したい」という人がいれば、特記的な記入もできる)。それをまとめて、対象者の定期面談時に渡しているといいます。法人が大きくなると実行しづらい部分もありますが、やり方次第でしょう。

また、利用者からの評価についても、定期イベントで、利用者や家族から「個々の職員あて」に手紙を書いてもらうといいます。もちろん、利用者側に強制しても意味はないので、「どの職員に誰が手紙を書くか」というのは、家族会などで決めてもらいます。中には、習字の達者な利用者が、リハビリで機能回復が進んだことに対し、自らの意思で「感謝状」を作り、「皆の前で直接渡したい」と申し出たそうです。渡された職員は、感極まって泣いてしまったとか。こうした場面が一つあるだけでも、職員と利用者の絆が強まります。

いずれも、「自分が普段していることを、他者はどう見ているのか」という不安を解消することが、職員のモチベーションを上げるために重要であることを示しています。離職率の低い法人のトップに話を聞くと、「離職を防ぐには、身近な『成功体験』を与え続けることが大事」という言葉がよく出てきます。同僚同士や利用者側の評価を「見える」化することも、この成功体験の一つといえそうです。

人材募集でも多角的なメッセージの発信を

一方、新規で人材の参入を進めていくうえでも、こうした「現場からのメッセージ」が有効になる可能性があります。募集要綱などで、事業者や施設からのメッセージが付されているケースがあります。ここに、「これから同僚となりうる職員、あるいは、利用者・家族からの『これから参入しようとする人材に期待すること』、あるいは『強く歓迎する』という旨のメッセージをプラスするというのはどうでしょうか。つまり、さまざまな立場の人からの発信を形にしていくわけです。

ある事業所では、福祉系学校に人材募集をかける際、その卒業生である職員を送り込み、クラスやサークルの先輩・後輩の関係を利用して事業所のPRを行なっているケースがあります。学園祭や同窓会などの場を利用して、自事業所独自のケアの実績などをアピールすれば、もっと効果が上がるかもしれません。

人材不足解消の道筋は確かに厳しいですが、「ただ募集して待つ」のではなく、現場レベルで仕掛けていけることを考えたいものです。

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