ダブルケアに対応できる人材育成とは

2016-05-16

内閣府が公表した「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査結果」が注目を集めています。育児と介護のダブルケアを行なう人は推計で25万3,000人。社会的に晩婚・晩産化が進む中で、今後この数はさらに高まることが予想されます。そうした時代を見据えて考えるべきことは何でしょうか。

ダブルケアニーズの解決には何が必要か?

ダブルケアのニーズが今後さらに高まるとして、課題の一つは社会的な支援のしくみをどう整えるかという点です。保育所と介護施設というハード面をどんなに整えても、そこにかかわる人材が確保できなければ十分な機能は期待できません。また、利用者による社会資源の使い勝手を考えた場合、相談体制の一元化や家族のニーズに沿うための専門職間のしっかりとした情報連携も必要です。

さらに、利用者の「仕事との両立」などを考えた場合、保育と介護の拠点間の距離などが離れていれば、両拠点を行き来するだけでも利用者の労力は大変なものとなります。その点では、拠点の一体化などによる「距離的な不都合」の解消も求められるでしょう。

厚労省のサービス・人材の融合チーム

1年前、厚労省は「介護・福祉サービス・人材の融合検討チーム」で「複数サービスのコーディネート」の基本的方向性をとりまとめました。その旨はニュースでも取り上げています。さらに、今年3月には同チームで「地域の実情に合った総合的な福祉サービスの提供」に向けたガイドライン案や、関連した予算の概要も示されました。果たしてダブルケアニーズに対応できるものなのでしょうか。

上記ガイドラインでは、高齢者、障害者、子ども、その他生活困窮者や見守りが必要な者などに対し、「対象者の分け隔てなく1ヶ所で総合的にサービスを提供する」イメージが描かれています。そのうえで、現行制度上での「兼務可能な人員」「共用可能な設備」「活用可能な基準該当サービス等」を明らかにし、サービス提供を促進しようとしています。

たとえば、高齢者の通所介護+障害者の生活介護+児童の小規模保育事業(b型)を一体的に運営するとします。その場合、現行制度と照らせば、(1)管理者・嘱託医・調理員は兼務可能、(2)食堂・機能訓練室・相談室・医務室などは共用可能、(3)障害者の生活介護は「基準該当障害福祉サービス」として高齢者の通所介護の基準で提供が可能となります。

ただし、基準該当サービスなどは、あくまで自治体判断によるものです。適正な運営の可否や職員等に過剰な負担がかからないかどうかについて、自治体に継続的な検証の責務が生じることは言うまでもありません。なお、厚労省はさらなる規制緩和も視野に入れており、2018年度までに結論を出すとしています。

必要なのは高度なキャリアを積める環境整備

一方、2016年度予算では、厚労省の社会援護局分野における「多機関の協働による包括的支援体制構築事業」に5億円が計上されています。これは、多様化・複雑化する福祉ニーズに対し、ワンストップの相談窓口を設けるなど包括的な支援システムを構築するためのモデル事業を行なうというものです。いわば地域包括支援センターに、障害や子育て、生活困窮などに関する多様な相談対応の機能をプラスさせたものと言えるでしょう。

さらに、この総合相談にかかわる専門職として、高齢者・障害者・子育てにかかる複数サービスをコーディネートできる新たな相談支援職の創設も検討されています。先の総合的な福祉サービス提供機関に包括的な支援システムの窓口を併設し、複数サービスをコーディネートできる人材を配置するというのが、国の目指す究極的な姿なのかもしれません。

いずれにしても、分野を横断してのサービス提供を進めるなら各専門職にも高度な技能が必要です。そのキャリア構築を考えれば、安定した職業人生を積める環境が欠かせません。当然それに見合う継続的な処遇が必要で、そのこと抜きには、どんな斬新なしくみも中途半端で終わってしまいます。それだけのビジョンが国にあるのかどうかが問われます。

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