最新介護職必要数、2つの気になる点

2018-06-12

将来的な介護人材の必要数(2025年までの見込み)について、厚労省から新たな推計値が示されました。これは、第7期(18〜20年度)介護保険事業計画に基づいた数値です。第6期と比較した場合の変動など、気になる点を2つ取り上げてみましょう。

介護職員数の推移の最新データも公開

まず確認したいのは、今回示された資料の中に近年の介護職員数の推移が含まれていることです。介護給付費分科会で示された直近資料では15年度までのデータにとどまっていましたが、今回は新たに16年度の数値も加わりました。つまり、15年度の介護報酬改定後の動向が現れたデータと言えるわけです。

それによれば、15年度の183.1万人に対して16年度は183.3万人。1年間での増加は2000人で、伸び率はわずか0.1%となっています。ちなみに、前2回(09年度、12年度)の報酬改定後1年の動向を見ると、09年度(136.3万人)→10年度(142.7万人)でプラス6.4万人(伸び率4.6%)、12年度(163.0万人)→13年度(170.8万人)でプラス7.8万人(伸び率4.7%)となっています。

09年度、12年度の介護報酬はともにプラス改定で、翌年度にかけての介護職員数の伸び率も4%台後半を維持しています。この数字と比較して、15年度後の介護職員の伸びがいかに低水準であったかがわかります。

このデータが分科会に提示されていたら…

上記の数字については、中期的に見た景気動向や労働力人口不足などの要因もあるでしょうが、15年度のマイナス改定が影響していることは容易に想像できます。しかもその影響は、かなり甚大です。18年度改定はわずかにプラスとなりましたが、今回の最新データが介護給付費分科会で提示されていれば、議論の流れにも影響(改定率のさらなる上乗せを図るなど)を与えていたかもしれません。

確かに、17年度の中期改定による処遇改善加算の上乗せや18年度のプラス改定で、その後の介護職員数の上積みが図られている可能性はあるでしょう。しかし、15年度のマイナス改定がこれだけ大きな影響を与えた点を考えれば、その埋め合わせにはかなり思い切った施策が必要です。18年10月に予定される「勤続10年以上の職員への月額8万円相当の処遇改善策」が、本当にその埋め合わせになるのかどうか。費用対効果を検証した場合に、「15年度のマイナス改定の必要はなかった」などの見方も浮かびかねません。

さて、もう1つ気になるのは、介護人材の推計必要数が、新たな介護保険事業計画の反映によって変動が生じている点です。しかも、その変動は決して「わずか」ではなく、たとえば、20年度の必要数では、第7期は第6期に比べて15万人少なくなっています。

介護人材の推計必要数はなぜ減ったのか?

上記の推計値の主なベースとなっているのは、各年度の介護保険事業計画で定められた「介護サービスの見込み量」です。この「見込み量」については、第6期と第7期で算出に際しての考え方が変わっています。

たとえば、第7期の介護サービス見込み量について、医療計画との整合性が求められました。具体的には、地域医療構想に基づき、一般病床等で対応していたニーズのうち介護サービスで対応する分を上乗せするものです。「それならば推計値はむしろ(第6期より)上乗せされるのではないか」と思う人も多いでしょう。ここで考えられるのは、医療側の機能を担っていた医療・看護・リハビリ等の人材がそのまま介護現場に移ってくることが想定されているのではないかという点です。その分、介護人材数が少なく見積もられている、つまり、ここでも医療等主導による介護保険の変質が垣間見えることになります。

もう1つは、第7期計画策定の基本指針の中に、被保険者の重度化防止や介護給付等の適正化への取組み・目標設定が組み込まれたことです。そうした目標との整合性を取る中で、サービス見込み量にも「下げ圧力」がかかった可能性があります。ちなみに、第6期までは現状の給付実績や将来の年齢別人口変化にもとづく「自動計算結果」がベースとなっていましたが、ここに保険者としての「目指すべき目標」の反映が求められています。

もちろん、この新たな推計値が地域ニーズの実態をきちんと反映したものならば問題はないでしょう。しかし、保険者の考え方が色濃く反映される中で、果たして被保険者の真のニーズと符合しているのかどうかは、きちんと検証する必要があります。目標値が実態よりも低く設定されていたりすれば、介護人材推計そのものの信頼が揺らぎかねません。

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