人材確保は地域偏在の問題にも着目を

2018-09-25

日本介護福祉士養成施設協会のまとめによれば、介護福祉士の養成校の入学者が過去最少を更新したことがわかりました。入学者数の減少もさることながら、養成校の定員数も右肩下がりが続いている点が懸念されます。

地域の養成校減少で生じる!?負のスパイラル

養成校の定員の縮小は、当然ながら養成校の経営を悪化させます。事実、養成校自体の減少も見られる中、地域によっては「最寄りの養成校がなくなる」という事態も生じています。このことは、養成校ルートにおける学びの場がなくなるだけでなく、将来的には、実務者研修での面談学習(最低でも45時間)の機会が奪われる懸念も膨らむでしょう。

いずれにしても、「養成校の減少→学ぶ機会の減少→介護福祉士を目指す人のさらなる減少→養成校も連れて減少」という負のスパイラルが迫っています。ここ数年で介護職員数の伸びに急ブレーキがかかっていますが、上記のスパイラルが加速すれば、「マイナスに転じる」状況が訪れるのも間近かもしれません。

問題なのは、介護福祉士養成に追加的な予算措置を講じたとしても、いったん閉鎖・撤退した養成校数が再びプラスに転じるには、一定のタイムラグが生じることです。加えて、養成校を経営する側が「生徒確保の効率性」を重視するようになれば、仮に全体数がプラスに転じても、地域による養成校の偏在が生じる可能性も頭に入れなければなりません。

地域の高齢者人口とのかねあいによっては、介護ニーズの高まりと介護人材の要請インフラのバランスが急激に崩れることも考えられます。そうなれば、介護従事者全体の数字と比べて、実態としての人材不足がより深刻化するという現象も起こりえます。

医療側が打ち出している「医師偏在」対策

ところで、今年7月、国会で医療法および医師法の一部を改正する法律が成立しました。この法律は、地域間の医師の偏在(かたより)を解消することを目的としたものです。

具体的には、都道府県に対して医師の確保を進めるための「医師確保計画」の策定を義務づけました。その内容として、47都道府県をさらに約350の医療圏(二次医療圏といいます)に分け、その医療圏ごとの実情に沿った医師確保の目標を定めるというものです。

加えて注目したいのは以下の2点です。1つは、都道府県から大学の医学部に対して、地域枠や地元出身入学者枠の設定や拡充の要請を行なう権限が付されたこと。医師が足りない地域からの入学者枠設定などを、都道府県が大学に求めることを可能としたわけです。

もう1つは、医師が少ない地域で一定期間勤務した医師に対して、厚労省が新たな認定・評価を行なうことです(仮称・認定社会貢献医)。この認定を受けた医師については、地域医療支援病院(医師少数区域等で医師確保のために必要な支援を行なう病院)等は、原則として管理者としなければなりません。

もちろん、それに見合った報酬も必要です。厚労省からは、経済的なインセンティブやオーバーワークにならないための「グループ診療に資する交代医師派遣」なども提案されています。このあたりは、次の診療報酬改定などで議論の対象になると思われます。

人材の偏在解消という視点からの対策も急務

こうした医療側の改革が「医師の偏在」を解消するうえで有効かどうかについて、異論なども少なくありません。とはいえ、少なくとも人材の地域偏在というテーマに関して、医療側は大きな課題と認識し、医療法・医師法の改正にまで踏みこんだわけです。

振り返って、介護人材についてはどうでしょうか。処遇改善加算の上乗せや実務者研修受講費用の(返済免除付きの)貸付といった施策は出されていますが、地域の実情に沿った対応というと、地域医療介護総合確保基金の活用に主に委ねられています。

たとえば、介護人材についても、地域偏在の状況を(地域の事業者団体や養成校からのヒアリング等を通じて)さらに踏み込んで分析する必要があるでしょう。そのうえで、地域加算のあり方を人材の偏在解消という視点から見直したり、過疎地等における交通費や移動費の補助などにも着目したいものです。実際、被災地においては東日本大震災復興特別会計によって、自動車輸送費用等加算などがありますが、被災地以外にも拡大していくという方法もあるのではないでしょうか。

冒頭で述べたように、地域偏在という状況が深刻化すれば、養成校不足など人材不足を加速させる周辺要因が次々と発生しかねません。予算にかかる費用対効果を考えても、地域ごとの介護人材の「生活実態」などをていねいにとらえていくことが求められます。

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