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通所介護の送迎サービスに求められる専門性とは? vol.2 乗降方法や乗降場所

2015-03-13

前回は、送迎サービスの運転手として、心構えをもつことの大切さや押さえておくべき接客・接遇サービス、運行ルートの効率化の観点からお伝えしました。今回は、「各利用者の乗降方法や乗降場所」について、お話ししたいと思います。

トラブルや事故は乗降前後に起こりやすい

各利用者の乗降方法や乗降場所が、送迎サービスの専門性を考えるうえでの重要なポイントとなるのはなぜでしょう? それは、トラブルや事故が、車両への乗降前や乗降時に起こりやすいからです。それを回避するためにも、送迎サービスを行うスタッフに周到な事前準備やしっかりとした介護技術が備わっていることが大切です。

それが利用者にとっての安心した乗降へとつながり、送迎サービスの質向上へと結びつくのです。

安全かつ効率的に利用者に乗降してもらうためには

利用者により安全でかつ効率よく乗降していただくためには、何が必要なのでしょうか? 情報把握と介護技術といった2つのポイントが挙げられます。以下、それぞれについて説明してみましょう。

乗降する前と乗降時の2点に着目し、事前に情報収集することが大事です。大雑把ではありますが、情報把握は、類別すると以下の4つに分かれます。

久しぶりの乗車で不安な方、乗車中にトイレにいきたくなるので不安が強い方、脳疾患等を患い片側が不自由な方や睡眠の量や質、杖やカート使用・車椅子使用で乗車する方(補助具の車両に乗せられるかも大事な視点です)、車両への乗降が機能的に難しく転びそうな方等を把握します。

生活スタイルの情報が主です。例えば、1人暮らし・2世帯同居などの場合ですが、ヘルパーが入っている時間帯や、外出時の鍵の開閉有無等を把握します。

近隣の一方通行の箇所、集合住宅や一軒家か、集合住宅なら何階の何号室か(万一のために知っておくこと)、送迎車両の待機場所や乗降場所等を把握します。

また、車両が入る際のルール等を設けている集合住宅もあるため、場所・時間面でのルールやマナーも事前に把握しておきたい情報のひとつです。

これに関してはさまざまなケースがあり、特記事項がたくさんある方もいます。例えば、自宅の鍵の保管有無、車酔いの有無、乗車席の希望有無、自宅到着前や前日に電話が必要な方、利用者専用の時刻表作成の有無等を把握します。このように情報把握は、ひとりひとり安心した満足度の高い「乗降」を目ざすために、さまざまな課題やニーズを確認します。

送迎車両は、事業所ごとにセダンやワンボックス等、さまざまな種類があります。また、利用者の心身状況もさまざまであるため、どうしても乗降の際に事故の危険性が発生します。それらを回避するためには、スタッフの介護技術のレベルが高いことが必要不可欠です。

乗降方法は、ご利用者のからだの状況や動作の得意・不得意を考慮したうえで、スタッフが自らの介護技術をフィットさせていくのが望ましいでしょう。

こういうと言葉では簡単ですが実際には、利用者によって難しい場合もあり、日々勉強になります。

地道な実践が専門性の高い送迎サービスを確立する

このように、デイサービスの各利用者の乗降方法や乗降場所について、さまざまな下準備から始まって介護技術の実践に至るまでを、日々行っているスタッフの方々は、本当にすばらしいと思います。

しかし、それらの実践は、ご利用者や社内から、なかなか見えにくいのが難点で、続けていくことは、根気のいる作業でもあります。

この地道な作業工程を踏まえているからこそ、各ご利用者が安心して送迎サービスを利用できるわけで、送迎サービスの質向上へと結びつくのです。送迎サービスの専門性は、こういった地道な実践から確立されていきます。

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