送迎サービスを確立するためには、利用者が安心でき、かつ働く職員もまた安心して携われることが重要です。また、サービスの質を確保するためには「送迎マニュアル」が必要で、職員の専門性が求められてくるということについては、前回のリスク管理のなかでもお話しました。今回は、さらに送迎サービスを確立するための「必要な書類」について2回にわたり、触れていきたいと思います。
数人の職員がスムーズに働くためには仕組みづくりが必要です。
仕組みには、
の3つが挙げられます。
1については、前回のリスク管理のなかでお話ししましたので、今回は2の車輌運行計画(予定)表についてお話します。
車輌運行計画(予定)表は、通所介護施設運営上、必要な様式となっており、事前にこの「計画」を立てたうえで、業務を遂行することが求められます。
車輌運行計画(予定)表には、運行日時、運行車輌に伴う乗車予定利用者(乗車する順番にそって記載するのがよい)の記載が必要です。
その他、追記の項目として記入をすると役立つのが、「送迎時に関する利用者ごとの支援内容」です。ご利用者の自宅環境、介護力を踏まえたスタッフの対応方法、乗車時・乗車後の留意点等を記載します。これにより計画的にサービス提供ができるため、利用者・職員も安心して送迎業務に取り組めます。
日々の送迎乗車人数が多ければ多いほど、送迎の実績管理が必要になります。記録は、毎日更新し常に新しいもので確認できるようにします。施設内では、運行実績を「データ」として活用することによって、さまざまな局面で役立ってきます。
たとえば、ご利用者・ケアマネジャーから「送迎時間」等を聞かれたことはありませんか? ご利用者のなかには、「せっかく行き帰りの送迎に来ていただいているのだから、極力スタッフを待たせたくない」と、すぐに出れるよう支度をして待っていてくださるといったふうに、スタッフに対してていねいな対応を心がけている方もいらっしゃいますし、送迎乗車前にヘルパーが入っている方等にとっても送迎時間は大事です。このように、ご利用者さんサイドでは、さまざまな心情や事情があります。そんな状況下での、通所介護への外出です。ですから、事業所としては、日ごろより「的確な送迎時間」を伝えられる仕組みが重要になってきます。
運行実績をスタッフ間で「見える化」するようにしましょう。ご利用者からの質問のタイミングは、日時・場所を問わずさまざまで、回答に急を要する事例も多くあります。介護保険業界も、年々、連絡調整にスピードが求められるようになってきています。そのため、質問に対して決まった職員しか回答できないことより、他の職員も回答できるほうが、質問への回答がすばやく行え、連絡調整のサービスの質向上にも役立ちます。
その他にも、「見える化」によって、送迎効率を検討する際にも役立ちます。
皆さんは、事業所内で送迎効率化について検討したことはありますか? 運行実績表がないと、各職員の経験値によって議論するため、アイディアは出ても、結論となる具体的な送迎時間について、話がまとまらないことが往々にしてあります。
運行実績という根拠あるデータを参照にすることにより、具体的な送迎時間についても共有ができ、議論の決定にまで届きやすくなるのです。
さて、運行実績表は、いつだれがどのように作成したらよいのでしょう?
(1)「いつ」
(2)「だれ」
(3)「どのように」
次回は、3の送迎運転手・介助者予定表について、お話ししたいと思います。