通所介護の送迎サービスに求められる専門性とは? vol.8 事故報告書・ヒヤリハットの取り組みの流れ

2016-02-10

前回は、送迎サービスの質の向上を高めるための、事故報告書やヒヤリハットの活用の必要性についてお伝えしました。今回は、事故発生予防、再発防止のためのしくみ、マニュアル作成、事例検討と記録の実施、職員間の研修を通じて知の共有をはかり、職場で普及させるための委員会を設けることについてお話しします。

事故の内容と起きるタイミングを踏まえ、取り組みの流れを押さえる

送迎サービスでの事故(リスク)・ヒヤリハットについての取り組みを考えるにあたり、まずは事故の内容について、考えてみましょう。

起きるタイミングとしては、乗降前、乗降中、乗車中が挙げられます。

事故の内容としては、どんな種類があるかというと、ご利用者の転倒・心身状態の変化、ご利用者同士のいざこざ、送迎中の交通事故(物損事故・人身事故)等々があります。

まずは、これらを踏まえたうえで、以下、取り組みの流れについて押さえていきましょう。

職員は事故が発生する前に危険性を察知し、対策を講じます。

たとえば、車輌内で利用者が安全に移動できるよう、障害物の撤去や手すりの設置等を行うなど、安全な動線の確保が必要です。その際に、事業所としての取り組み措置について、フローチャート等で「見える化」することが大事です。

事故が発生した後の検討はもちろんのこと、利用者の声を幾つか聞いたうえで、事例検討を開催するなどして、対策を講じ、その内容を社内共有する流れをつくります。

また、他事業所との連携部分としては、できることなら、他事業所の送迎車輌内での事故事例を参考にして、介助方法の見直しなどを実施し、介護技術を向上させて、事故を未然に防ぐ取り組みを行うことも、学習方法のひとつです。

マニュアルを作成してスタッフ間で共有します。マニュアルには、送迎に関する理念をはじめ、事故報告書・ヒヤリハットに関しての姿勢のあり方や取り組み措置の種類(報告書、事例検討等)、また、交通事故時の対応の流れ等々を記載します。

事例検討会議を開催し、自社内での予防策について協議します。

その際の検討素材は、身近に感じる内容がふさわしく、自社内での過去の事例、または同地域の他事業者での事例が適しています。

開催時期は「事故発生後」が特にお勧めです。

発生後すぐに職員間で検討会議を開催し、再発防止について協議します。そうすると、良い案が出やすく、次の対策にも移りやすいです。

事例検討時間は、長くダラダラしやすいので注意が必要です。会議時間を「10分」などと決めて、スポーツ感覚で開催すると、テンポも良くなり、アイデアも出やすくなります。

また、事例検討会議によって新たな予防策が生まれ、「マニュアル更新」の必要性が生じた場合には、忘れないよう、すぐに更新します。これは忘れやすいので、特に注意してください。今いる職員はもちろんのこと、今後入社してくる職員を即戦力にするためにも、「マニュアル更新」をその都度行って、いままでの知恵を生かしたより良い「マニュアルづくり」が必要です。

それによって、職員間の研修を通して知の共有を行い、組織全体のレベルアップを狙って、より良いサービス作りにつなげるげるように努めます。

研修の際にも、新たな気づきや予防策のアイデア等が生まれた際は、「マニュアル更新」を忘れないようにします。

これらのすべての実施記録に、「日時・参加者名・題目・話した内容・新たな気づき・予防策」等を記します。また、その保管場所にも気を使い、全職員が手に取りやすくて見やすいところに置きます。全職員が共有してこそ、記録も効果を発揮すると思います。場合によっては確認後のサインも、必要かもしれません。

送迎サービスリスクマネジメント委員会を設けて、社内に浸透させる

その他には、社内での取り組み措置を上手く運用し、普及させる。さらに、「リスク(危険)回避」をするためのしかけとして、再発防止・予防の流れをマネジメントし、そのための「送迎サービス リスクマネジメント委員会」等の組織をつくる必要もあります。

そこで選出される委員については、社内職員全体の底上げを目的としているので、同じ職員ばかりに偏るのではなく、適宜違う人に変更することも大切です。

このように、送迎サービスにおける事故報告書・ヒヤリハットを社内で普及させるには、入浴・食事等の主たるサービスとは、質が異なることもあって、当初は力を入れて行う必要があるとは思います。しかし、次第に取り組んでいくにつれ、組織に浸透し始めると、自社内でも良い方向で確立していくと思います。

また、同時に、利用者、家族においても、送迎サービスに対する安心感が高まり、見送り出迎え時の、笑顔や安心な表情にもつながってくると思います。ですから、すこしでもこれらの取り組みの活用をお勧めしたいと思います。

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