今回の介護報酬改定では、小規模デイへの減算率が高く、経営難に直面する事業所も多いときく。3回のシリーズで、小規模デイの経営者である筆者が、改定の影響と今後の方向性について考えた。
2月6日の第119回介護給付費分科会にて、平成27年度介護報酬改定の内容が明らかになりました。今回の改正は全体で2.27%のマイナス改定となりました。一昨年あたりから特別養護老人ホームと小規模通所介護への風当たりは強く、この二つは改定率も大きかったです。
小規模通所介護を経営する筆者として思うところを、3回にわたって述べていきたいと思います。
やっぱり一番気になるのは、どの程度収益が落ちるのか? です。今年の1月ベースで試算して年間240万円ほどの減益という結果が出ました。ウチのような零細企業には大変大きな数字です。社会保険の扶養内で働きたいような非常勤スタッフを2名雇える額です。
事業所の収支状況によって、赤字に転落してしまうとこ、ペイラインくらいでとどまるとこ、なんとか黒字を維持できる維持できるとことさまざまでしょうから、今後の対応もまた事業所によってさまざまでしょう。固定費に関しては、スタッフの給与を減らすところもあるかもしれませんし、スタッフの雇用を減らすところもあるかもしれません。役員報酬を減額してなんとかするところもあるかもしれませんし、人件費以外の固定費を削ってなんとかできるところもあるかもしれません。
収入のダメージを減らすためには、新たに創設された認知症加算や中重度ケア加算を算定できればいいとは思いますが、認知症加算については配置基準に常勤換算で+2の職員加配に加え、提供時間を通じて認知症介護実践者研修修了者等の配置など、直ちに算定できる事業所はどのくらいあるものでしょう?
中重度ケア加算についても、サービス提供時間を通じての看護職員の配置など、看護師不足がある中での看護職員の確保もなかなか大変です。特に大変なのは、小規模通所介護だけを運営している法人でしょう。小規模であるがゆえにスケールメリットもなく、スタッフの余裕もなく研修参加もままならなかったりします。特に4日程度続けて参加が必要な認知症介護実践者研修などにスタッフを参加させるのは大変です。
身近なところでもすでに閉鎖を決めているデイサービスもありますし、3月いっぱいデイサービス事業から撤退するとか、要支援認定者の受け入れを停止するとか、いろんな噂も入ってきます。
さて、このように小規模デイは今後かなり苦しい経営を強いられるわけではありますが、一経営者の視点から離れてもっと広い視点でみると、また違った考えも出てきます。そのあたりを次回は述べてみたいと思います。