介護現場を信じることが離職を防ぐ

2015-07-08

「上の人間に言っても何も変わらない」と言われた上司は、ダメ上司と烙印を押されたようなもの。現場スタッフの裁量だけでは回らないことがある介護現場では、往々にしてこのような状況が起こりやすい。ここで管理者・経営者は発想を転換して、現場スタッフの力を信じ、任せられることを増やしていってはどうか? 現場を信じることこそが介護現場の離職を防ぐのではないか?

現場スタッフの裁量で決められることは実は少ない

先日、家電が壊れたので量販店に行きました。性能や価格等で悩んでいると、販売コーナーのスタッフがいろいろと説明してくれて、値引きまでしてくれました。家電量販店でよくある光景だと思います。製品についての知識などは教育によるものでしょうが、値引きというのは販売スタッフによる裁量によるものだと思います。“この金額までは、あなたの裁量で値引きしてもいいよ”と前もって言われているんでしょうね。

これを介護職員に置き換えるとどうでしょうか。

介護保険サービスの値引きはできることになっていますが、届出等が必要なので、その日その場で価格を変えるということは現場スタッフはおろか管理者でもできません。ただ、それ以外なら現場スタッフで決めたほうがいいことってたくさんあると思います。

しかし現場スタッフの裁量で決められることは、実際は少ないのではないでしょうか?

利用者に一番近いところにいる現場スタッフが決めていいことはもっとあるはず

“利用者さんがこんなことやりたいって言っていたので、やってみたい”、“こんな新しい方法があるようなのでやってみたい”などもあれば、勤務表を見て“この日はこんなにスタッフ要らないのに、なんで別のこの日は出勤者が少ないんだろう”など、現場で働いていて思うことはたくさんあると思います。

そして、介護職員の離職率が高いので、“自分たちの思うようにはできない”という理由も大きいと思います。

厚生労働省が調査した介護職員の離職理由の第一位は「施設・事業所の理念や運営に不満があった(24.4%)」だったことがその証左です(財団法人介護労働安定センター「平成23年度介護労働実態調査」より)。

介護保険サービスの理念や運営基準は国などが定めています。以前も書きましたが「自立支援、レスパイト、社会的孤立感の解消」などが挙がっています。これらの理念は、利用者本位でなければいけません。

そして、利用者に一番近いところにいるのが介護スタッフです。現場のことを一番知っているのも現場スタッフです。現場を動かすための決まり事は、シフト、ルーチンワーク、サービス内容、予算などいろいろとありますが、その中で現場スタッフの裁量で決めて良いことはどのくらいあるものでしょうか。

有休取得の決済や勤務表の作成などは現場職員に任せてもよいのでは?

統計的なデータが見つからないので自分の周りから聞く感覚的な印象になりますが、これは施設・事業所によってかなり開きがあると思います。

例えば、“有給休暇が取れない”という課題。

有給休暇を取るときは事前に届け出が必要でしょうが、それを誰に提出し、どんな理由で決裁され、それが納得行く理由なのかどうかは現場スタッフにはとても大事なことです。人員配置や加算関係は、現場スタッフでも分かることです。そして現場の必要人員に関してはそれこそ現場スタッフが一番分かっていることです。ならば、有給休暇取得の決裁はいっそのこと現場職員に任せていいのではないかと思います。

実際弊社ではそうしており、「明日○○さん有休取りまーす」と報告が来ます。始めのうちは管理者の私の決裁でしたが(今も形式上はそうですが)、“自分たちでやり繰りしていいよ”と言ってからは、有休をとりたいときは、現場スタッフ間で相談しながら出勤日を調整しうまいことやってくれています。

勤務表の作成についても、素案は管理者が作成し、「あとは都合のいいように自由に組み替えてみてください」と現場スタッフに渡せば、かなりの部分が修正されて返却され、それをそのまま決裁します。すると希望休が取りやすくなりますし、お互いに譲り合いをすることでチームとしての力も磨かれてくるように感じます。

利用者さんへの支援方法や活動・イベントなどもなるべく現場スタッフの裁量でできるようにしています。

「上の人間に言っても何も変わらない」では離職が進むだけ…現場スタッフを信じて任せることこそが、上司の勇気の表れ

これは管理者にとって、ある意味楽でありながらも、ある意味苦しいもので、任せる分仕事が減るので楽ですが、責任は自分にあるのでその分心配もあります。口を出したくなるのを我慢しなければならないですからね。

しかし、慣れればwin-winです。心配をよそにうまくやってくれます。不安→信用→信頼という順序で現場スタッフへの信頼が生まれてきます。現場スタッフにとっても「自分たちで決めていい」というのは大きなやりがいを生みます。

「上の人間に言っても何も変わらない」

よく聞く言葉ですが、この言葉が聞かれる職場ほど離職率が高いのではないかと思います。現場スタッフを信じ、任せること。上司の“勇気”ひとつで職場の雰囲気がガラリと変わるような気がします。

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