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スムーズな施設入所には在宅と施設の連携がカギ

2015-07-13

施設入所となる場合、背景にはさまざまな事情があるが、利用者本人の思いや気持ちが置き去りにされがちだ。その思いや気持ちを、在宅スタッフと入所先の施設スタッフとの間でも、引き継ぎ擦りあわせる「場」を設けることが大事であり、それがひいてはケアの連続性・継続性につながるのではないかと考える。

入所に至るまでの本人の思いや気持ちはどこまで現場の介護スタッフに伝わっているか?

特別養護老人ホームで介護スタッフとして働いていたころ、施設入所して来られる方に対しては、「どういう疾患があるのか?」「どんな部分に介助が必要か?」「今までどういう生活をしてこられた方なのか?」といった様々な情報を収集しアセスメントしていました。

しかしながらそうは言っても、年間十数人入所されるうちの1人、という捉え方が当時は強く、どういう経緯で入所に至ったかまではあまり気にしていなかったように思います。

在宅生活中にどのようなサービスを利用していたのか、自宅からの入所か病院からの入所かなどはチェックしていましたが、入所に至るまでのご本人やご家族の思いや気持ち、状況の変化、居宅サービス事業所やケアマネジャーなど、周囲で支援している人たちの思いなどについては、あまり知ろうとしていませんでした。

しかし、自分が居宅サービス(デイ、居宅、訪看)を始めてからは、施設入所に至るまでにはいろんな人の、いろんな葛藤があることを肌で感じています。

本人に何の説明もなく、突然入所となるケースも…

脳梗塞などで救急搬送され、入院先から施設入所となる人。在宅介護を行っている家族の疲弊によって、長い時間をかけて悩み、考え抜いて施設入所に踏み切る人。家族の急病や急死などで独居となり、施設入所に踏み切る人。独居でもなんとか生活していたが、心身状態の低下により施設入所する人。そして数は少ないですが本人の意思で施設入所する人。

さまざまな理由で施設入所する人がいますが、入所が決まると(特に特養の場合は)、たいていの場合は死ぬまでそこで生活することになります。そして自由に自宅に帰ることはできません。

施設入所の意思決定者はほぼ家族です。

ただ家族も家族間だけで決めるのではなく、担当のケアマネジャーやサービス事業所の提案・助言なども考慮すると思います。とはいえ、施設入所になることをご本人に伝える場合、どの程度説明するかはそれぞれで、まれにですが、ご本人に何の説明もなく、ある日突然施設入所になったというケースもあります。

在宅で関わった人たちの思いと迎える施設スタッフの思いを擦りあわせる「場」が求められている

「これで良かったんだろうか?」と、家族や利用者に関わった人たちの気持ちがいつまでもモヤモヤしていることが多く、施設入所こそ最良の選択だったと言えるケースは少ないように感じます。

もう少し在宅生活ができたかもしれない。もうちょっとなんとかできなかっただろうか?

ご本人が施設入所を望んでいなかったり、自宅での生活を希望していたケースほど、ケアマネジャーやサービス事業所にとっては、無力感に捉われてしまうのではないでしょうか。

在宅で関わった人たちの思い、そして迎える施設スタッフの思いを、それぞれに擦り合わせる「場」というのがあってもいいのかもしれません。

施設・居宅サービス事業所、ケアマネジャー、本人、家族など交えて、入所前カンファレンスなどやっているところもなかにはあるかもしれませんが、それがもっと開かれることで、本人や家族にとってはもちろん、そこに関わった人たちにとってもスムーズな施設生活への移行が可能となり、サービス事業所同士の連携という部分においても、よりいっそう強化されていくのではないかと思います。

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