肩の痛み、シルバーカーの高さが原因では?

2015-05-11

今回は、シルバーカー・歩行器などの高さを大きく間違った設定にしてしまった場合に身体へ与える影響を、実体験を踏まえてお話ししたいと思います。

町でよく見かける風景…身体が前傾姿勢になって歩いている高齢者の姿

最近、ケアマネジャーさんからの依頼で、「利用者さんが、現在シルバーカーを利用しているが、背中が曲がってしまうので、高さが出せる歩行器を提案してほしい」という相談をよく受けます。それに対して、まずは訪問し、ご利用者の身体状況のアセスメントと、現在利用している福祉用具の活用状況をモニタリングし、何が課題で、何が原因か? 解決方法は何か? を探ります。

シルバーカーは特性上、ハンドル部分が横一線になっているものが多く、また、後輪と後輪の間もバーが通っていることが多いため、身体をしっかり覆って移動することができません。そのために、特に円背の方は、身体に近づけての利用は困難です。前に前にとシルバーカーを押し出してしまい、身体が前傾姿勢になって歩いている高齢者を町でよく見かけませんか?

円背をなおす=高さのある歩行器を使う なのか?

「歩行時に姿勢が曲がってしまうから、高さを上げれば姿勢も伸びるんでしょ?」「これで一番高く設定しているのだけど、これ以上高くできるものはないか?」訪問時によく質問される言葉です。

すぐに高さは合わせず、一度そのままの状態で一緒に歩きます。できればご本人に許可をとり、そのときの姿勢を写真や動画で撮ります。

だんだんと腕は伸び、姿勢は前傾し、顔は下を向いてしまいます。ハンドルの高さは、高ければ高いほど前に押し出す力が働いて、そのような不良姿勢を誘発する原因となります。その後、適正と思われる高さに合わせ(ほとんどの場合、現状より低くすることが多い)、もう一度一緒に歩きます。その際も、できれば写真と動画を撮ります。

そのビフォーとアフターの写真や動画を比較しながら、ご利用者に感想を聞きます。「どちらが楽ですか?」と。ほとんどの方が、「低くした方(適正位置に合わせた)が楽! 写真で姿勢や肘の伸びを見比べても全然違う」とおっしゃいます。上腕や肩の筋肉の張り具合も全然違います。

身長÷2+3が高さの目安

では、適正な高さとはなんでしょうか?

シルバーカー・歩行器の場合、ほとんどが杖と同じく「身長÷2+3」と言われています。円背などで前傾姿勢の方は、前傾のままの身長から測ります。他の測り方としては、「手首内側の出っ張り部分に合わせる」「15cm前外側に杖をついた際に肘が30度曲がる」などが言われています。

まずこの基準に合わせて高さの微調整をするのですが、高すぎると肘が浮いてしまい、腕から肩への負担が強くなってしまいます。これを読んでいる皆様も、「適正な高さと言われているところに腋を閉じて下方向に負荷を掛ける」のと「適正よりも高いところに腋を開き腕を伸ばし下方向に負荷を掛ける」ことを比較しながら腕・肩の筋肉の張り具合を試してみてください。高くなればなるだけ、筋肉の張りは強くなっていると思います。

さらに刺激を与えるのが小さい車輪です。シルバーカーは「コンパクト」「軽量」を謳っています。小さい車輪では振動を受ける力が大きくなり、腕〜肩にかけてその振動を受けてしまうため、痺れや痛みの原因となります。

シルバーカーで対応が難しくなったら歩行車などへの機種の変更を

実際、私が担当したケースでは身長144cmの方がハンドル高さ91cmのシルバーカーを利用しているケースがありました。背は前傾に、腕・肩の痛みを訴えています。ご友人から「高ければ高いほうがいい」とお薦めされたそうです。

その方のご利用されているシルバーカーは、ハンドル部分を一番低くしても86cmだったため、デモンストレーションとして、高さ64cmから91cmまでが調整でき、身体も中に入れることが出来る歩行車を持参し、評価しました。適正と呼ばれる75cmを目標に現在の91cmから徐々に下げて行くと、どんどんと腋が閉じ、姿勢も伸びていくことを体感してもらいます。結果、まずは80cmから当面スタートすることになりました。

ご本人の感想としては、「肩の痛みが以前よりも軽減された」とのことでした。

上記のように、誤った情報や勘違いから腕や肩の痛み、そして円背などを起こしてしまう方がたくさんいます。痛みの原因などは、専門の先生などにお聞きいただきたいのですが、シルバーカーで姿勢保持が困難になってきたら、ハンドル部分を横で持ち、後輪と後輪の間にバーがなく身体を中に入れて歩行できる歩行車への変更(介護保険レンタル可)もお勧めします。

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