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すぐできる!身近な住環境整備〜介護職の視点から〜

2015-07-22

高齢者の方々に自宅で安全に過ごしてもらうためには、どのような気づきが介護職として必要でしょうか。今回は、住環境整備という切り口から考えてみます。

高齢者の転倒事故で多いのは「屋外よりも室内」

高齢になり、下肢の筋力の低下や立位バランスがとりにくくなると、転倒リスクが高くなります。また、骨密度の低下もあるため一度の転倒で骨折のリスクが高まります。

東京消防庁によると、平成25年度の転倒事故の発生場所のうち「住居等居住場所」が56.7%と、道路等屋外よりも多いことが発表されています。

屋内の転倒場所として一番多いのは「寝室・居室」、次いで「玄関・勝手口」、「廊下・縁側」となっています。

つまずきやすい室内の段差を解消しよう

バリアフリーの基準では5ミリメートル以上を「段差有り」ととらえます。室内には各部屋との仕切りなどさまざまな段差があります。この段差がつまずきの原因となることが多く、予防としては、以下の2つの方法があります。

一番シンプルな解消法です。既製品のすり板を使う場合、扉の開閉を伴う場所では傾斜があることも考慮し、段差を計る際に「左端・中央・右端」と3ヵ所の段差を計り、一番低い部分に合わせることで扉の開閉時に当たってしまうのを回避します。ネジで床面に固定する工事は「介護保険住宅改修」、ゴム製で置くだけのものは「介護保険でレンタル(要支援1〜可)」できます。レンタルで対応する場合は、ズレを防止するために床面のホコリなどを掃除した後、両面テープなどで固定することもあります。

段差となっている間仕切り部分の敷居の取り外しが可能な場合は「介護保険住宅改修」で敷居の撤去をします。開き戸の場合は撤去した敷居の高さの分だけ扉の下に隙間が出来てしまうため、扉を外し敷居の高さ分の板を取り付けて隙間を埋めることもあります。

転倒のリスクは、平坦な場所にもある

寝室での転倒が多い理由としては、立ち上がり時のふらつきが起因していることが考えられます。起立性低血圧などのリスクが高い方は、特に、立ちあがった際にすぐに動かないなどの注意が必要です。

また、和室にベッドなどを設置している場合、畳の目の向きによっても大きな影響が出てきます。ベッドサイドに端座位になった際に、足の向きと畳の目が同じ向きの場合、足元がすくわれて滑ってしまうことがあります。床面に置いてある雑誌や新聞、電化製品のコードやカーペットや部分マットの浮いてしまっている部分も足が引っかかってしまい、転倒リスクが高まります。

介護従事者として、最初に訪問した際に転倒リスクの高そうな場所を見極め、事故を未然に防ぐ力が必要になります。

照明器具の調整や手すりの設置も転倒予防に

転倒はこのほかにも、さまざまな原因で起こります。

たとえば、高齢になると筋力だけでなく視力の低下もあるため、照明器具を調整するだけでも大きな効果があります。最近では、電池式で人感センサー付きの小型照明も安価で販売されています。100円ショップでも「蓄光テープ」が販売されています。寝室からトイレまでの廊下などに設置や取り付けをしておくのも効果的です。

また、家のなかの壁や建具が部分的に黒ずんでいる場合、そこは利用者の方が「よく手をついている場所」で、つまり「手すりがあるといい場所」の大きなヒントとなります。長年住んでいる場所だからこそ、生活の跡として着実に記されているのです。

リスクを見極め、転倒せず安全に生活できるように、身近な住環境を整備する視点をもつことも、身近にできる介護予防ではないでしょうか?

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