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電動車いすを用いた自立支援

2016-04-20

春の穏やかな風が心地よい季節になってきました。寒い時期は外出を控えていた方も、お花見をきっかけに外出への意欲がわいてきている方々も多いのではないでしょうか? 今回は外出を支援する福祉用具、電動車いすについてお話ししたいと思います。

タイプ別で選択肢がある電動車いす

ご存知のとおり電動車いすには、いろいろなタイプがあります。

車いす本体に、ジョイスティックレバーと呼ばれる操作部と駆動部にモーターが付いたタイプと、ハンドルを操作するカートタイプです。また、ご自身で操作しなくても、介助者の方の押す力を補助するアシストタイプもあります。

使用目的や、操縦能力・判断能力、そして保管場所も考慮して、どの種類を選ぶか、決めるとよいでしょう。

導入事例1:4年前に脳梗塞を発症した80代の女性(要介護1)

80代女性。要介護1。4年前に脳梗塞発症後、体力・筋力低下が目立ち、自宅から30メートルくらいであれば杖歩行できるが、買い物など長距離の移動は呼吸も苦しくなってしまい困難。買い物や近隣の家族の家に一人で行きたい。ご家族も閉じこもりを心配しており、導入に関しては前向き。

操作に慣れるまではご家族の付き添いのもと利用しており、買い物や家族の家にも行けるようになった。ここ何年も行きたくても行けなかった近所の桜並木にも出かけることができて、とても嬉しい。外出することに自信がつき、気持ちも前向きになった。

導入事例2:週3回の人工透析と大腸がんの治療の通院が外出理由の70代の男性(要介護4)

70代男性。要介護4。週3回の人工透析と大腸がんの治療の通院が主な外出理由。近隣は坂も多く、歩行も困難な状況。介助者である妻も体調がよくない。家にいるばかりではなく趣味である麻雀をしに出かけたい。

自宅周辺環境、充電の利便性を考慮し、ジョイスティック型を提案。ご家族立ち合いのもと、細かい操作方法の説明のあと、自宅周辺を実際に操作していただき、評価の上レンタル開始。

自分のペースで外に出られることを喜び、また趣味である麻雀をしに行けて、仲間との交流ができるようになった。妻の付き添いは必要だが、近所のデパートにも行くことができて、とても嬉しい。

長距離を移動する体力がなく、生活範囲が狭まっている人の利用が多い現状

電動車いす専門のある卸会社さんから提供していただいた2015年2月時点のデータをご紹介します。

上記グラフにより、「近距離の歩行は可能であるが、長距離を移動する体力がなく、車の運転や自転車の運転もやめてしまったため、生活範囲が狭まってしまっている」方が利用するケースが多く、「外出への意欲の維持向上」や「自立支援」に役立っていると言えます。

また、具体的な数値はありませんが、ある程度の判断能力が求められるため、電動車いすの利用者は要支援1・2、要介護1の方々の利用(例外給付)が多いということも特徴です。

事故のリスクも忘れてはならない

このように便利なツールですが、しかし、電動車いす利用時に起こり得る事故についても、忘れてはいけません。

警視庁の発表したデータによると、平成27年度中は179件の交通事故事故(単独事故・歩行車との事故は含まず)があり、うち死亡は7名で、その多くは道路横断中という調査結果が出ています。

電動車いすによって外出が気兼ねなくでき、認知症予防にも役立っている

外出するということは、気分転換だけでなく、脳への刺激も多いため、認知症の予防にも効果があると言われています。

何らかの理由で近隣のみの外出となっている方も、利用できる可能性があれば電動車いすを検討することで、生活範囲が広がりQOLの向上にも一役買っていると、期待できるのではないでしょうか?

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