「触れあうこと」の大切さ vol.1 コミュニケーション

2015-02-27

少子高齢化が進み、核家族化によって家族内での世代間交流の機会が減少し、現代は家族の在り方が変化している。セラピストとして、病気や障がいのある人、その家族や介護職へのトリートメントを行い、それを通じて感じた心の触れ合いや触れることの大切さについて、シリーズでお伝えしていきたい。

高齢者や障がいのある人へのエステティックは、ヨーロッパでは歴史が長い

日本では、一般的に「エステティック」と聞くと、女性のための美容というイメージがあるが、エステティックが発展したヨーロッパでは、老若男女がエステティックサロンを利用する。

セラピストが国家資格となっている国もあるため、美容のためだけではなく健康のためにサロンやスパを利用する人も多いようだ。美容のためだけでなく、健康という予防医学の見地から、エステティックサロンを利用する人が多いのも、日本と異なる特徴の一つであろう。

また、高齢者や障がいのある人へのエステティックの歴史は長く、セラピストは医療や福祉のチームの一員として、医療機関や福祉施設の専門職と協力しながら心療内科やホスピスなどにケアを提供している。

本来、エステティックには、触れる行為による「癒し」の効果があり、ストレス軽減につながる。例えば、認知症の高齢者にエステティックを行うと、ストレスが和らぎ、笑顔が戻って、認知症の症状も軽くなったり、改善した、などという例が多数報告されている。

超高齢社会を迎え、日本でも、アロマセラピーやエステティックの「触れる」というコミュニケーションを通じて、生活の質(QOL)を高めたり、その人らしい暮らし(ROL)を取り戻すことができ、心理的・社会的な面に活かせるようになればよい。私はそう思って、2010年より介護や社会福祉の分野で、セラピストとして活動を始めている。

施設における「触れあう」機会の少なさ

施設を訪問していて、最初に感じたことは触れあう機会が少ないことだった。確かに、できない事があるとそれをサポートしてくれるスタッフはその場にいる。だけど、「何か」が違った。

椅子に座って、テーブルを囲んでテレビを見ている。そんな場面に多く遭遇する。

元気なときには、いろいろな人と話をする機会があり、属性によって話をする内容も異なる。それが、身体の不調が増えてくると外出する機会が減り、人と接する機会も次第に少なくなってくる。対人関係も縮小され、当然、人と触れあう機会が少ない。また、顔を合わす人も限られてくるのではないだろうか。

赤ちゃんのときは、いろいろな人から愛情を持って触れられる。しかし、年齢とともにその機会は少なくなり、高齢になるとますます触れあうことが少なくなってくるのが現実なのかもしれない。

しかし、本当にそれでいいのだろうか?

核家族化が進むまでは、2世帯、3世帯、4世帯・・・と一緒に暮らしていた時代があり、そのころは、おじいちゃんやおばあちゃんになっても孫やひ孫が一緒に暮らし、家族内で触れあうことも多かったのだろう。小さな子どもがする「肩たたき」は家族内で行われる世代間の触れあいであり、タッチングケアであったと思う。

こんな場面があった。1人の女性に手のトリートメントを行っているときである。

「あの人、いつでも話聞いてくれへん」とおっしゃったのだ。

「触れあう」というと身体に直接「触れる」ことをイメージする人も多いと思うが、「会話をする」ということもある意味、「気」のやり取りで、触れあうことだと私は思っている。

その人の心に寄り添い話を聞くと「気」のやり取りができ、「話をした」という満足感につながるのではないかと思う。

触れあうコミュニケーションによる癒し

年齢とともに身体の不調が増え、それまでできていたことができなくなってくる。デイサービスに通ってこられていた男性の足へトリートメントを行っているとき、「ここに来ている人は、みんな不安なんやで」とおっしゃった。

不安と焦り、戸惑い・・・

さまざまな感情が入り乱れ、強いストレスに晒されているのが男性のひと言から想像できる。

人は、お互いの身体が触れていると心の距離が近く感じ、触れるという「非言語的コミュニケーション」いわゆる「触れあうコミュニケーション」による「癒し」がある。「触れること」を通じてストレスの軽減になり、リラクゼーションは心の扉をあける鍵になると言われている。

実際、トリートメントを行っていると、笑顔が戻ることがあれば、逆に涙を流されるときもある。泣きながら心の思いを吐き出すようにおっしゃる人もいる。

「自分のためだけの特別な時間」

「心地よく過ごせる空間」

「心に寄り添ってくれる人がいる」

「手のぬくもりがある」

そういった環境が必要であり、求められているのではないだろうか? 感情が入り乱れたとき、誰かが心に寄り添い、手のぬくもりを感じられる環境が身近にある社会であって欲しい。

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