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市民後見人の現状と問題点

2015-09-18

現在、認知症をかかえていたり、一人暮らしをしていたりといった高齢者が増えています。従来は弁護士や公認会計士などが行っていた成年後見人ですが、高齢者が暮らす地域できめ細かく対応していくために「市民後見人」という制度ができました。ではこの市民後見人、いったいどのような現状となっているのでしょうか。そのメリットやデメリットを踏まえながら考察していきます。

市民後見人とは

成年後見制度が始まった当初は、本人の親族が成年後見人に就任することがほとんどでした。しかし現在は、親族以外の第三者が成年後見人に選任されることが多くなっています。この第三者後見の持つメリットの1つが、公平な立場を取れるという点です。しかしその反面、本人や家族とあまり顔を合わせないというデメリットがあります。

被後見人が暮らしている場所の地域性や環境を良く知っている人がその役割を担う「市民後見人制度」は、このデメリットを解決するための一つの方法です。多くの高齢者が、「詐欺にあう」「病気になって入院する」「施設に入所する」など生活の大きな変化をひとりで迎えています。

高齢者が質の高い生活を送るため、被後見人と同じ目線で見ることができる「市民後見人」の制度が始まりました。弁護士や社会福祉士、公認会計士などの専門家からサポートを受けつつ、市民が個人として後見を受任し活動していくのが市民後見人です。尚、家族間にトラブルがある場合は、弁護士が後見人になることと定めている自治体もあります

市民後見人になるには

「市民後見人」は、後見人になる意志を持った市民が高齢者の生活や人権を守るため、規程の研修を全て修了し、家庭裁判所に推薦されることが条件です。研修内容は自治体によって異なりますが、10日以上かけているところが多く、中には2−3年目の節目で継続的な研修を実施する自治体もあるほど。各自治体とも、しっかりとした研修を行っています。

現状と課題

被後見人の人生にどう関わっていくのか。あるいは、どのような社会資源があるのかといった専門知識を得ることで、後見人の負担感が減ります。弁護士や公認会計士など専門家がしっかりフォローし、市民後見人同士の交流の場をつくるなど、市民後見人を支えていくことが必要でしょう。

また、被後見人の親族や第三者後見でも、要求されているレベルは市民後見人と同じです。そのため、きちんと系統づけられた研修が欠かせないのではないでしょうか。報酬や報奨金が出る自治体もありますが、基本的に市民後見人の仕事には「給料」に該当するものは定められていません。10日近くにおよぶ研修期間やその内容等を踏まえれば、それだけの業務へ「給料」に相当するものがないというのは、やはり問題があると感じます。

後見人は無償で大金を動かす業務であり、月々の出納をかなり厳密にチェックしていかなければなりません。「お金にはかえられない、充実感をもたらす仕事」そういった満足感が本人になければ、続けていくことはできないでしょう。

介護福祉の現場では、ただでさえ悪条件を乗り越えながら従事してくれる「個人の頑張り」に頼っています。さまざまな施策立案に必要なキーパーソンを「善意の無償」を前提にしてつくる制度は脆弱であり、サービスを充実させていくのは難しいことです。

高齢者介護サービスを充実させていくため、あるいは本当の意味で高齢者の生活を支えていくためには、やはり労働量にあった報酬が必要となります。

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