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「孤独死」を防ぐための取り組み

2015-11-13

最近、インターネットを中心としたメディアで「孤独死」に関する話題が取り上げられています。中には興味本位で「事故物件」を取り扱うものも見られますが、未婚率が上がり「自分もそうなるかもしれない」と深刻に考えている人は多いようです。ここでは「住む場所」という視点から、この孤独死について考えていきます。

「住むところがない」という「孤独」の理由

核家族化が進む現在、子どもの独立をキッカケに夫婦が二人きりとなり、その後、どちらかが亡くなって一人暮らしになるというパターンが多くなっています。さらに一生独身という人も増えており、社会全体で「孤独死」について危機感をもっているようです。

一人暮らしの高齢者には、「民間の賃貸住宅に入れない」または「住んでいた賃貸住宅の建て替えで退去を迫られたが、その後に住む部屋を借られない」というケースがとても多く聞かれます。

なぜなら住宅を貸す側が、孤独死によって「事故物件」となってしまうことを恐れているからです。ときに独居老人の死亡、あるいはアフターケアなどが話題となりますが、最悪のケースではリフォームに80万円かかったという話もあるほど。

ひとり暮らしの高齢者を対象とした施設の一つに「養護老人ホーム」がありますが、入居希望の理由は「住宅関係」が最も多いのです。中でも「住むところがない」という人は、入所理由全体の約3割にも及ぶとされています。

立ち退きにあった人もかなりおり、高齢者の一人暮らしを受け入れてくれる住居はなかなかありません。「ひとりでは厳しい」と思った段階で介護サービスに繋げられなかったことが、高齢者の孤独死を生み出す原因の一つではないでしょうか。

介護サービスにつなげられなかった理由

では、このような事態を防ぐためにどうすれば良いのでしょう。私はこのような関連ニュースを見ると、つい「なぜ介護保険を使わなかったのだろう」と思ってしまいます。

しかし考えてみると、日ごろ外部との繋がりがほとんどなかった高齢者に、果たして「介護保険というものがある」ことを知る機会はあるのか。また、自分が介護サービスを受けられることに気付かない人、「お上の世話になんてなるものか!」というプライドを持っている人もいるでしょう。

こうした人たちをサービスに繋げるためには、テレビのニュースで高齢者が視聴している可能性の高い番組を紹介してもらうこと。そしてその際、きちんと介護料を払っているのだから、医者にかかるのと同じく相手は「お上」ではないことなどを、制度とその特徴を踏まえつつ根気よく知らせていくことが大切だと思います。

支援するには?

郵便や新聞などを配達する際、配達員から「何日分も新聞が溜まっている」と通報されることは、孤独死を放置しないためにとても有益なことでしょう。また、各自治体では、それぞれ「孤独死」への対策をおこなっています。

例えば社会福祉協議会が一人暮らしの65歳以上の希望者から合鍵を預かり、緊急時に安否を確認するというサービスがあります。誰かに合鍵を渡しておくというのは、防犯上のトラブルになることが多いと思われるかもしれません。しかし、「個人」ではなく「機関」が責任を持って管理してくれるなら安心です。オートロック式の鍵がついているマンションでも使えるので、とてもいい方法だと思います。

また民間でも、警備会社を中心にさまざまな取組がなされています。例えばトイレなど必ず行く場所にセンサーをつけ、一定時間使った形跡がないと警備会社に連絡が届くというもの。ただしここでも、「どうやって鍵をあけるのか」が問題になるでしょう。

どこが鍵を責任持って管理するのかは難しい課題です。個人情報にも関わるものですので、やはり福祉事務所や社会福祉協議会などが預かるのがいいと思います。災害時、鍵を預かっている独居高齢者を救出する際にも役に立つのではないでしょうか。深刻な事態に陥る前に、きめ細かく対策をたてていきたいものです。

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