ささやかながら難しい「家に帰りたい」という思いの実現

2016-02-19

これまで問題視されていた「機械による延命治療」が減り、現在はQOL「ターミナルケア」の重要性が高まっています。看取り加算もつき、「住み慣れた自宅で看取る」という方向性が明らかになりました。ではこの動きに、ケアマネージャーはどう関わっているのでしょうか。

退院後の行先は?

医療的処置としてできることがないと退院することになったら、次はどこへ行けばいいのでしょうか。以前入所していた施設か、それとも自宅か。あるいは療養型病床群、老人保健施設などいくつかの選択肢があります。この中で「無理だろう」と諦められがちなのが、本当は一番の望みである「家に帰りたい」ということ。この望みがかなえられない理由としては、次のようなものが挙げられます。

しかし逆に考えれば、これらができるようになったら、「家に帰りたい」という望みを叶えることができるのです。

ターミナルケアとケアマネージャーの役割

医学的治療では回復が見込めず、QOLを維持することもできない。こうした状態の高齢者に、できるだけ苦しい思いをさせず自然に近い死を迎えてもらおういう視点が、近年主流となってきました。そのため、「ホスピス」への入院を待っている方が多く見られます。

しかしその反面、「自分の家で看取られたい」というニーズに応えるため、在宅での看取りもまた必要とされてきました。このとき退院した患者が在宅で過ごすに当たりもっとも恐れているのが、「誰もいないときに、具合が悪くなったらどうしよう」ということです。

そこで、「医師・看護師や介護者、あるいは食事を作ってくれる人などが訪問するから、心配しなくてもいいですよ」といえる環境を準備しておくのが、ケアマネージャーの大切な役割です。

患者とケアマネージャーが確認すること

尊厳死対応のスタッフや家族は、何が「延命措置」になるのかを話し合っておくことが大切です。栄養補給や水分補給、人口呼吸器の使用。また、患者や家族にとって大きな不安である「痛み」への対応と、そのために使用される薬剤について。患者を支えていく本人家族とスタッフが、しっかり納得できるように確認しておかなければいけません。

そして話し合いを終えたら、患者本人も同意している旨を文面に残しておくことが望ましいでしょう。

必要と思われる書面は?

本人の望みをできる限り医療スタッフが叶えることは、必ずしも本人の「長生き」に繋がらないことがあります。ここで、1つ例を挙げてみましょう。

Aさんが「○○選手が出場する試合を、最後にどうしてもみたい」と希望しました。この望みをかなえるべく、スタッフ全員ができる限りの措置準備を行って出かけたとしましょう。念願の試合が見られて、本人は本当に嬉しそう。

しかし、もしかしたらこれが原因で、余命1か月のところ2週間で亡くなってしまうかもしれません。でもAさんの外出を認めていなければ、Aさんが感じた幸福度は大きく違ったことでしょう。これは、簡単な話ではありません。家族とよく話し合い、「患者本人の意思に基づいた処置である」ということを文面に残しておくことが必要かもしれません。

また、急に状態が悪化して救急車を呼んだ際には、救急救命士が延命措置を行います。このとき「栄養補給、水分補給、人口呼吸器などの延命の措置はとらない」という意思があれば、救急救命士にそれを知ってもらうための連絡方法を検討していく必要があるでしょう。

あるいは、「献体」や「移植」の意思を持っている人もいます。この気持ちを生かすことも大切ですから、カードに書いていつも持ち歩く財布へ入れておくと良いかもしれません。

慣れた家で最期まで過ごしたい。そのためには、関係すべき社会資源がたくさんあります。しかしケアマネージャーにとっては、なんとかその思いを叶え、実施したい仕事の一つだと思います。

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