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物忘れ外来ではどのような治療をするの?

2016-03-04

最近、規模の大きい病院で、「物忘れ外来」「認知症外来」などの診療科を見かけるようになりました。ここでは認知症の発症や悪化を防ぐため、投薬やリハビリテーションなどさまざまな取り組みがなされています。本人や家族にとっては、「少しでもつらい症状を緩和できるなら」と気にかかるところ。実際にどのようなことが行われる場所なのか、調べてみました。

薬物療法

認知症に対して、四種類五品目の薬が使われています。現在薬でできる治療として挙げられるのが、次のようなものです。

しかしいずれの薬も、神経細胞が死滅することを止めたり、失われた神経細胞を再生したりする効果はありません。アルツハイマー病の進行を遅らせる効果はありますが、「治る」というレベルではないのです。

そこで、リハビリテーションプログラムやホリスティック医療と上手く組み合わせ、少しでも病状の悪化を防ぐために工夫されています。

リハビリテーション

物忘れ外来や通所リハビリテーション施設では、適度な刺激を繰り返し与えるリハビリテーションを、楽しめる形で取り入れています。その目的は、脳の働きを高めることです。2つのことを同時に行ったり、左右で違う動きをしたりなど。脳を活性化させるための運動が工夫されています。

リハビリテーションプロクラムが「お遊戯」に感じられるプログラムだと、特に男性が参加意欲をなくしてしまうことがあります。そのため、“楽しめる”ことは重要ですが、参加したいと思えるような工夫も必要でしょう。

読み書き

読み書きは、手の動きや手本を注視するなどの動きをするため効果があります。「天声人語を書き写して読む」というプログラムが多く見られますが、最近若い世代にリラクゼーションとして流行っている写経もよさそうです。あるいは、「平家物語」なども良いのではないでしょうか。

もともと音読するための文章ですから、響きが美しく朗読にはぴったりです。古典については、職員よりはるかに得意という人も多いと思います。そのため、職員が現代語訳を教えてもらうという形にするのも良さそうです。そうすれば「自分にはまだ教える能力がある」と感じられ、脳の活性化につながるではないでしょうか。

また、外来治療や通所リハビリテーショでよくあるプログラムが「料理」です。皮をむく、同じ大きさに切るなど、調整しながら手を動かすこと。あるいは段取りを考える 、盛り付けを考える、さらに仲間と助け合いながら作るという作業は、脳を活性化させます。

ホリスティック医療の効果

ホリスティック医療とは、中国医学やインド医学など、各国の伝統医学や心理療法、自然療法、栄養療法、手技療法を、西洋医学と組み合わせることで効果が期待できる治療法です。ここでは、その中から「アロマセラピー」をご紹介しましょう。

「香り」は嗅細胞に刺激を与え、大脳嗅皮質に送られます。そして学習や記憶を担う海馬、あるいは大脳皮質を活性化させる効果があるとのこと。現在注目されているのが、毎朝ローズマリーカンファーとレモンのエッシェンシャルオイル、夜はラベンダーとオレンジのエッセンシャルオイルを使って芳香浴を行うもの。患者の抽象的思考力が改善されたということです。

起床前後に2時間の芳香浴を行うと、交感神経が刺激されて身体を活動的に。就床前後に2時間の芳香浴を行えば、鎮静効果によって不眠に効果があります。

また、脳の中で最初に衰えるのが嗅覚といわれているため、芳香浴によってこの衰えを早期発見ができるという期待もあるようです。慣れている匂いを12種類嗅いでもらい、嗅ぎ分けができるかどうかを検査。これによって、本人が自覚するより早く治療を始められるという点で注目されています。香りと脳の働きについては、まだまだ研究が始まったばかり。しかし現時点でも、脳にはとても良い影響があるようです。

患者さんの症状に合わせて、少しでも効果が感じられる、続けていける療法を組んでいく。そんな現在の物忘れ外来を効果的に行いながら、高齢者の日々の生活に組み込んでいけるといいですね。

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